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NOSFERATU: PHANTOM DER NACHT
1978年/西ドイツ・フランス/107分 監督・製作: ヴェルナー・ヘルツォーク ドイツ映画の古典であり、ドラキュラ映画の元祖であるF・W・ムルナウがブラム・ストーカー原作を映画化した「吸血鬼ノスフェラトゥ」(1922)を、ニュー・ジューマン・シネマの旗手であるヴェルナー・ヘルツォークがリメイク。 「本作のリメイクは冒険だ。」と語るヘルツォークは、さらに本作について「ドイツ表現主義映画とニュー・ジャーマン・シネマのパイプ役でもある。監督個人の作品以上に意味があるものだ。」自ら位置づけている。 そう語るヘルツォークの思いはムルナウの映像表現を踏襲しながらも、役者の演技とか映像要素をギリまで削ぎ落とし、舞台を思わせるような映像演出に、独自の様式美を追求しようとするヘルツォークの姿勢を感じる。 ペストの蔓延を吸血鬼に擬え、ムルナウは生命が奪われることの恐怖、不安そのものを描き、人間感情を表出させたその映像に、様式美として完成された構図をみる。ヘルツォークはムルナウの映像美学をさらに広げ、生気を喪い、死の匂いが蔓延した空気そのものを耽美的な映像として表出させ、そして人の死によって自身は生き続けるという宿命を負った者の孤独、救いのない悲惨な現実を描きあげている。 そんなムルナウからヘルツォークへと繋がるその映像表現に、ドイツ表現主義映画から継承された映映像世界、その美学をみる。 人が次々と死んでいき家畜が野放しになった町。その町を覆いつくすネズミの群れのおぞましさ。 ネズミを媒介して人間に感染するペスト。かつては高い致死率と罹患すると皮膚が黒くなる事から黒死病と呼ばれ恐れられたペスト。14世紀のヨーロッパで全人口の3割が死亡している。猛威を振るうペストを吸血鬼になぞった「ノスフェラトゥ」。「アギーレ/神の怒り」でアギーレの筏を占領しつくしたあの猿たちの映像以上に、町を死で貪り尽くすかのようなネズミの群れが寒々とした光景を描き出している。 ![]() ![]() ![]() なんといってもドラキュラ伯爵を演じた白塗りのクラウス・キンスキー! 吸血鬼であるがために数百年も無為に生き続ける宿命を負った男の孤独、寂寥感が忍び寄るように伝わってくる。イザベル・アジャーニが我が身を犠牲にしてドラキュラの餌食になるシーンでは、不気味さ、怖れよりも哀れを感じる。 アジャーニも怪奇なほどに美しい。 アジャーニが生贄となってドラキュラを滅ぼしたにもかかわらず、アジャーニの夫ジョナサンはすでにドラキュラの刃にかかり、新しいドラキュラとなって甦った……。 ジョナサンを演じたブルーノ・ガウツ。 「映画を作ることは自分と向き合うことだ。痛みを伴う。私の作品は常に痛みから生まれる。喜びからは決して生まれない。」そう語るヘルツォークは、その映像からもドイツ表現主義を継承する人でもあるだろう。
by mchouette
| 2009-07-14 00:00
| ■映画
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