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2009年/日本/127分
at:梅田ガーデンシネマ 監督・原作・脚本: 西川美和 山間の過疎の村。住民の大半は老人。そんな村で村人たちから信頼され慕われていた一人の医師が、ある日突然失踪した。 伊野治と名乗り、村の看護婦と二人で医療活動を続けていたこの男は、実は偽医者であることが判明。伊野治について二人の刑事が調査を開始する。 そこから浮かび上がってくる医療現場の歪、終末医療、ターミナルケア、医療とは、そして親子の情愛……そういったものが、声高に叫ぶでなく、リキをいれるるでなく、山間ののどかな自然と村人たちの素朴さの中で、静かに、しかしグサリと本音を描いている。 伊野治を演じた笑福亭鶴瓶のあの顔と大阪弁が、本音の生々しさをほんわりと包み込んでいる。 「俺、ニセ医者なんや。資格ないねん。」病院を経営する医者の息子で研修医でこの村にやってきた瑛太にポロリと事実を打ち明ける鶴瓶。 「資格ってなんなんですか? 俺のオヤジなんか経営のことしか頭にないですよ。俺だって本当のところニセモノじゃないですか。資格ってなんなんですか?」伊野と患者との関係に生きた医療活動を見出し、伊野を尊敬する瑛太は力説する。 そんな彼の熱弁を聞きながら、ない眼をさらに細めながら泣き笑いのような表情で彼に応えるように、同意するようにポロリと一言発した言葉。 「うっとおしいなぁ~」この言葉に無言の本音が続いていくような。 堅苦しく、理屈だらけの鬱陶しい世の中の悲喜こもごももごもの本音が、黙ったままでこの映画で描かれている。 ![]() 「あの人だったら、母をどのように死なせたのだろうか? あの人を捕まえたら、それだけは必ず聞いてください。」 東京の大病院で医師として働いている井川遥は、この村で一人で暮らす母、八千草薫が末期癌であることを知りながら、その事実を隠蔽していた伊野の心境にまで諮ろうとする。 「おとうさん 治です。」 失踪した伊野が両親に電話をする。 二言三言の言葉の中に、父のようになりたかった、父の期待に応えられなかった息子の悲哀が伝わってくる。その父も今は息子さえ分からない痴呆状態にあった。 娘の勤務する病院に入院した八千草薫と、そして彼女の前に意外な形で現れた伊野治こと笑福亭鶴瓶だろうと思しき人物。 八千草薫の顔がほころび、それに応えるようにその男のない眼をさらに細めて……二人だけに通い合った情愛。こんなラストにも言葉では語りえない人生の悲喜こもごもが込められている。 看護婦役を演じた余貴美子。「おくりびと」でもそうだったけど、バイプレーヤーとして本作でも実にいい味出していた。 末期癌である八千草薫をめぐる終末医療を描いたシーンで、海外のある短編映画を思い出した。この映画「ディア・ドクター」 コミカルなタッチも織り交ぜながら、日常の何気ない情景、ふともらした言葉、そんな普通の営みを通して医療の歪、人と人との情愛を描きあげている。このあたりは西川美和の真骨頂ともいえるところだろう。なんといっても作品に流れるリキを感じさせない、力を抜いたようなタッチがいいなぁ。だからこの作品で無言のままで描かれているいろんなテーマが静かに伝わってくる。
by mchouette
| 2009-07-02 00:00
| ■映画
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