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2009年/フランス/94分 世界的航空写真家のヤン・アルテュス=ベルトラン監督が世界54カ国で撮影を敢行したドキュメンタリー作品。 映像はまさしく空から見た地球。 太陽と地球の奇跡とも言うべき距離が、地球に水が生まれ、空気にも氷にもなる水が地球に様々な生命を生み出し、豊かな星へと変貌していき、そして人間が生まれ、約40億年という長い長い時間の中で培われてきた地球。地球の誕生の歴史、偉大なまでに美しい自然がゆっくりと描き出される。 水が全ての生命の源。地球そのものの源。そして地球上の全てのものは水によって繋がっているということ。全てのものに影響を及ぼすということ。 そのことを強く実感させられた。 環境破壊の危機が叫ばれてから、警鐘を発するドキュメンタリー映像を映画やテレビを通してみてきたけれど、空からみたこの映像は、地球上で20世紀後半において人類がもたらした異常なまでの驚異的な経済発展というものがどれほどの規模のものか、どれほど地球を変貌させたかが、一層ありありと見えてくる。 日常の近視眼的な視点、視野からでは見えなかったものが、空から俯瞰することで国境などなく地球という一つの中のある部分として受けとめられる。 以前「いま ここある風景」というドキュメタリー作品を見た。ナレーションを聞きながら空から見た地球の姿を観ていると、まさにこの言葉が生々しく甦ってくる。 土地を耕し、作物を育てるという農業を発明した人類の文明はさらに発展し工業を生み出し、活発な経済活動に必要な大量のエネルギーを地球の地下に眠る石油が掘り起こされ、その莫大な量のエネルギーは人類にとって不可能を可能にさせていった。砂漠地帯では地下水をくみ上げて農地開発が進んだ。 人間の飽くなき欲望が、地球の膨大な資源によって、不可能を可能にさせ、人類は大いなる進化をみせ、人類はより豊かでより快適な暮らしを求め、そして地球は急激に変貌していった。 こうした映像は幾度見ても、繰り返し見せられても、その度に、とんでもないところまで来てしまっているということを思い知らされる。 「1950年以来、人類は…」という言葉がナレーションで幾度も繰り返し使われている 映像を振り返ってみて、そのいくつかを書きとめておきたい。地球が急激に変貌していったのは、第二次大戦が終った20世紀後半からだろう。20世紀後半で人間の生活もまた急速に進化変貌していった。 膨大な土地に幾何学模様をみせて農地が広がる。そこを一列に並んだトラクターが農作物を刈り上げていく。砂漠の農地は巨大な緑の円形だ。中心から散布される水がもっとも効率よく全体にいきわたるのだそうだ。 世界有数の石油輸出国であるドバイでは海岸に突起した人工島がペイズリー柄のように扇形に美しく広がっている。 利益と効率という数字をひたすら追求すれば精緻な幾何学の世界になっていくんだろうか。地球上で描かれた人類の繁栄を空から見ると、地球というカンバスに描かれた幾何学模様のように美しさをみせている。 産業の発展、国家の発展がみせる美しさの下では、地球が40億年かけて蓄られた地下資源を湯水のように消費し続けている。地下水が枯渇して農地計画が途中で放棄された砂漠地帯もある。温暖化によってキリマンジャロの万年雪は毎年減少しているという。融けた水は海に流れ、その結果海水は淡水化していく。そして生態系は壊されていく。 人類の歴史の中で、これほどの高い濃度の二酸化炭素の空気の中で生きてきたことはないという。 シベリアの大地に広がるツンドラと呼ばれる永久凍土。この下には二酸化炭素の20倍の濃度のメタンガスという時限爆弾が閉じ込められているという。地球温暖化が進み永久凍土が融けてメタンガスが噴出したら……。 イースター島の謎はモアイ像ではない。 イースター島に住んでいたバスクア人は世界有数の高い文明をつくった民族であったにもかかわらず、人口過剰と資源の枯渇によって滅亡してしまった。 なぜ彼らは滅亡する前に手を打たなかったのか、それが謎だ。 そうナレーションは語る。 さらに、イースター島のバスクア人と、今の地球に暮らす私たちとは似ている。と……。 地球は一つであるように、一つの国が引き起こした大気の汚染は、別の地域、別の国に影響を及ぼすということが、アイスランドを例に語られている。一つの国の問題ではないということ。地球規模で考えるべきことだということ。 地球と人類が置かれた実態が、地球規模の数字で語られている。 世界人口の20%が地球資源の80%を消費した。絶望的なまでに、人類が20万年の歴史が、40億年の進化によって培われた地球のバランスを破壊してきた様は絶望的とも思えるくらいだが、「今さら悲観しても遅すぎる。何が私たちに残されているのかを考えよう。」 そんな前向きなメッセージで、環境の大切さに目覚めた国家レベルの取り組みも語られている。 現在では世界の80%の子供たちが教育を受けているという、、とりわけ後進国家では何よりも教育が最優先に取り組まれているという。 日本は? 日本はどんなことをしてるんだろうと思わず考えてみたけれど、何も浮かんでこなかった。 空から見た地球は、森の緑と水の青が美しい姿をしている。 もっと近づいて世界の国々が映し出されている。 アフリカのサバンナ。万里の長城。ネオンが燦然と輝く大都会。砂漠…… 「HOME 空から見た地球」 ヤン・アルテュス=ベルトラン監督は、本当は6時間ほどの映画にしたかったそうだが、本作ではプロデューサーを務めたリュック・ベッソンから「6時間の映画はあまりいいアイデアではない。2時間ほどにおさめるべきだ」と言われたそうだ。 端的に切り取られた映像の一つ一つから、現在進行形で何が地球で起きているのかを、改めて知らされた映像だった。 DVDも発売されていて、世界同時放映された90分バージョンに、未収録映像30分が追加された120分のロングバージョンで収録されているとのこと。
by mchouette
| 2009-06-19 00:00
| ■映画
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