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IL POSTINO
THE POSTMAN[米] 1994年/イタリア・フランス/107分 監督: マイケル・ラドフォード 1950年代。チリで国民的英雄でもあった詩人パブロ・ネルーダが、国外追放されたときカプリ島に身を寄せていたという史実にもとづき、架空の漁村を舞台に、一人の郵便配達人の青年と詩人との魂の触れ合いともよべる交流を描いた物語。 パブロ・ネルーダという詩人の感性に触れ、自分を語る言葉を知ることで自らに目覚め、道端の石ころに過ぎない存在と諦観した人生を送っていた一人の青年が、変革の意思を持つまでに成長していく姿が胸をうつ。 作中でパブロがノーベル文学賞の受賞候補に上げられた旨の手紙をマリオが届け、「きっとあなたが受賞しますよ。」パブロに言う場面があった。彼は1971年にノーベル賞を受賞している。パブロの詩を引用して恋した女性にラブレターを出したマリオを、パブロは盗作を許した覚えはないというが、「詩はそれを必要とする人のものだ。」と反論する。 マリオの無垢な素地に、パブロの言葉が水を吸い込むように染み渡っていく様が、二人の会話を通して描かれている。そんなマリオをパブロもまた「我が友」と呼び、二人の前にはナポリの青々とした海と自然が広がっている。 とても素朴な物語で、二人の交流も淡々と描かれているのだけれど、マリオの心の目を目ざめさせたパブロは、マリオにとってどれほどのかけがえのない存在であったかが伝わってくるからだろうか、パブロがこの地を去った後、マリオがパブロの魂の軌跡を辿るかのように、徐々に自らに目ざめていく姿がなぜか切ない。 マリオの結婚式の日に、パブロの国外追放が解けて祖国に戻れることになった手紙が届いた時などは、幸せな婚姻の風景なのに、マリオにとって心の師と呼ぶべき人との別れを思うと胸にこみ上げるものがある。 「僕の方こそパブロから与えてもらってばかりで、僕からパブロに何も与えていない。」そう気づいたマリオはパブロが遺してくれた録音機で、パブロにいわれたあの時語れなかった、この島でマリオが美しいと思うものを録音してテープに吹き込んでいく。 海の音、岩を砕く波の音、風の音、木々の音、愛する妻のお腹に宿った生命の鼓動…… 美しいものを次々と見つけていく過程は、マリオにとっては詩の喜びを体感することと同じ。このあたりも感動で胸がいっぱいになってしまう。 ![]() そしてパブロと同じようにコミュニズムに目ざめたマリオは、パブロに捧げる詩を朗読するために出かけた党大会で、暴動の渦に巻き込まれて我が子を見ずに死んでしまった。 数年後、再びこの島にマリオを訪ねたパブロは、彼の死と、そしてマリオが彼に宛てたテープを知る。言葉のありかを知り、詩の魂をもった一人の郵便配達人マリオと過ごした時を噛み締めるように海岸を歩くパブロ。 詩人パブロを演じたフィリップ・ノワレが海岸でマリオを偲ぶ表情がクローズアップされたときなども、思わず涙が潤んでくる。 フィリップ・ノワレさん。「ニュー・シネマ・パラダイス」(1989)のアルフレードを演じた同じ人物かと思うほど、詩人の風格もみせ、いい味を出していた!さすがです。 クレジットの最後にマリオを演じた「マッシモ・トロイージに捧げる」という言葉があった。 彼は心臓病を患っていて手術の必要があったにも関わらず、この映画に対する思い入れは強く、脚本にも参加しており、手術を延期して映画撮影に臨みクランクアップのあと12時間後に亡くなったそうだ。41歳。 十数年ぶりに再鑑賞して、マリオの結婚式のところあたりかラストまで、やはり同じように胸をジーンとさせながら観てしまっていた。
by mchouette
| 2009-06-15 00:00
| ■映画
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