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L'HEURE D'ETE(仏)
SUMMER HOURS(英) 2008年/フランス/102分 at:テアトル梅田 監督: オリヴィエ・アサイヤス フランス・オルセー美術館20周年企画の一環で製作された映画の2作目で、1作目は「ホウ・シャオシェンのレッド・バルーン」 フランスで家族と暮らす経済学者の長男にシャルル・ベルリング。 工芸デザイナーとして世界中を飛び回る独身の長女にジュリエット・ビノシュ。 技術者として家族で中国に暮らす次男にジェレミー・レニエ。 そして、そして登場場面は少ないけれどビノシュの恋人役にカイル・イーストウッド! 子供時代に父クリント・イーストウッドと共演した彼は知っていたけれど、大人になってから映画で観たのは本作が初めて?かな。 母の75歳の誕生日に、パリ郊外にある木々に囲まれた瀟洒な家で家政婦のエロイーズと二人で暮らす母の元に3人の子供たちとその子供たち全員が集まった。 ![]() オープニングで木々の緑にあふれた森、花が咲き乱れる庭、静かな湖面、斜面を駆け下りると拾い芝が広がっている。吹き渡る風の心地よさと、爽やかな緑の香りと、咲き誇る花の匂いが映像からあふれ出すようなオープニング映像。子供たちの足はまだまだ止まらず、祖母の家のキッチンで果物をつまみ食いして、ガーデンパーティのテーブルまで続いていく。 家の中にはこの地を描いたコローの絵が飾られている。 ルーブル美術館から出品されたコロー展でコローの絵を堪能した私には、こんなところでコローと会えるなんて、ちょっと感激。 画家たちが描き続けたイル・ド・フランスの自然と穏やかな空気が、映像からたっぷりと堪能できる。 母にとってこの家は、偉大な芸術家だった叔父の作品と、彼が愛し収集した芸術品の数々が埋まった家。彼が死んだ後、叔父への愛の証でもあるかのようにこの家と美術品を守って暮らしてきた母。 3人の子供たちにとっては、生まれ育った懐かしい家であり、母と大叔父の秘密を感じさせる家でもあった。美術館級の美術・工芸品の中で育った彼らにとって、家とそれらの作品は懐かしい思い出とつながるものであるとともに、歴史の重苦しさを感じさせる時もあっただろう。 瀟洒な家とオルセー美術館が寄贈を願い出ているという美術品の数々。 家と美術品に対する子供たちの反応もそれぞれに違う。 子育てが一段落し、経済学者としても世間から一定の評価を受ける長男は、この家と思い出に強い執着を持っている。 モダンアートの世界で生きる長女は歴史の重さを嫌うけれど、彼女の美意識はこの家にある美術品によって育まれ、子供の頃の思い出と結びつく大皿を宝物のように持ち帰る。10年たったら、歴史の重さを今よりももっと素直に受け止められるようになるんだろうと思う。この家にある歴史に誰よりも敏感に反応し、受け止めているのも彼女だろう。 子育てと仕事に一生懸命な次男には、家に対する愛着以上に、自分たちの生活基盤を築くことが最優先だ。 母、子供、孫と移り変わる世代、個人の思いの中で、受け継いでゆくことの重さ、受け継がれる思い、朽ち果てていくもの、思い出と結びつく情景が、イル・ド・フランスの自然と美術品を通して美しい映像とともに描かれている。 ![]() 家は生きていて、人が住まなくなったら朽ちていくと言う。 3人の子供たちが相続した遺産に対して、それぞれの思いと現実とに折り合いをつけていく過程がじっくりと描かれている。 優しさの思い出は情景とともにあり、心象風景となって遠い記憶からふと甦り語られていくもの。時間の中でしだいに薄らぐもの、あるいは形をかえて甦ってくるもの。だからこそ愛しいのだろう。 ムード優先の映像ともいえなくもないけれど、人生の味わいが静かに感じられる。 そんな優しい時間をこの映像と過ごすのは悪くないだろう。 美しい映像を見せてくれた撮影のエリック・ゴーティエ。 最近のお仕事はショーン・ペン監督の「イン・トゥ・ザ・ワイルド」。 カラックス監督「ポーラX」やパトリス・シェロー監督、アルノー・デプレシャン監督といった、かなりの拘りの監督たちとのお仕事が多い方。さすがです。 ![]()
by mchouette
| 2009-06-11 00:00
| ■映画
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