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「ケイブルホーグ・コレクション」で特別上映された本作。 BOB LE FLAMBEUR 1955年/フランス/100分 監督:ジャン=ピエール・メルヴィル 「薄明とは夜が息をひそめる時……」メルヴィル自身によるナレーションと重なって、夜明けのモンマルトルの町をずっと映し出した映像がなんとも美しい。 町はまだ寝静まる早朝のモンマルトル、の朝靄のしっとりと濡れたような、夜の気だるさを引きずりながら、昨夜とは違う今日という日の新しい何かが起きる気配さえも感じさせる、そんな早朝の空気を見事に捉えている。 撮影はアンリ・ドカエ。 「『賭博師ボブ』はパリへのラブ・レターだよ。その次の私の映画『マンハッタンの二人の男』がニューヨークへのラブ・レターであるようにね。ラブ・レターは夜に書かれるものなんだ。『ボブ』は既にもう存在しないひとつのパリ、つまり戦前のパリに宛てて書かれていた。あの映画には過去への愛惜の念(ノスタルジー)がある。ボブはパリの落とし子なのさ。」(「サムライ―ジャン=ピエール・メルヴィルの映画人生」ルイ・ノゲイラ著/晶文社) 本作はメルヴィル自身のオリジナル脚本による初めての作品で、クレジットはされていないが、美術も自ら担当している。メルヴィルの美意識が全編にわたって貫かれた自主製作映画ともいえるんじゃないかな。 モンマルトルの早朝の映像に続き、ボブが立ち寄る店内の白と黒の市松模様の壁と床が強烈な印象を与える。 フランス映画ではこんなモザイク・タイルはよく見かけるが、ここまでのインパクトをもって使っているのは本作だけだろう。 こんな市松模様が印象的だったのは、ジム・ジャームッシュの「コーヒー&シガレッツ」(2003)。 ![]() 案外と二人とも本作「賭博師ボブ」のメルヴィルのこんな美学に影響を受けているんではないかしら。 本作はノワール映画ともいえるのだろうけれど、メルヴィルが語っているように、戦前のパリの空気を描こうとした作品でもあるのだろう。 アンリ・ドカエの映像。 そしてジャン=ピエール・メルヴィルの美学。 この二つを堪能するだけでも大いに満足といえる作品かも。 銀行強盗から足を洗い、ギャンブラーとして生活しながらも、それなりに真っ当に生きているボブが、カジノの金庫襲撃に眠っていた子が眼を醒まし、仲間たちと強盗を計画するというもので、最後は待ち受けていた警察に仲間は射殺され、先に下見に来ていたボブは、下見を忘れギャンブルに熱中し、稼ぎまくった金の山とともに手錠をかけられ警察へ…という内容で、裏切りや密告などもあるけれど、どこか素朴でゆったりとした空気が流れ、なんとも人情味のある作品。 ![]() ボブたちのカジノ襲撃を知ったボブと馴染みのルドリュ警視が、ボブの悪事を止めようと、ボブの立ち回り先をかたっぱしから回りボブの消息を尋ねるシーンなどは、なんとも人情味があって、この人がフランソワ・トリュフォーの「大人は判ってくれない」の教師役とは驚き。 手錠をかけられたボブとルドリュとのやり取りも、なんとも粋なこと。 そして若い女性アンヌには、メルヴィルが街角で見つけて女優として契約を結んでいたイザベル・コーレイを抜擢。撮影当時15~16歳だったとは驚き! ボブ馴染みのバーの女主人イヴォンヌを演じたシモーヌ・パリスも、ボブとの長いつき合いを感じさせるいい味を醸し出している。その他、ボブの仲間たちといい、登場する役者たちがそれぞれに人間臭く、どこかユーモラスで愛すべき者たち。 戦後失われてしまった1930年代のモンマルトル界隈に色濃く漂っていた空気、人情、生活感が描きだされ、ノワール以前のノワール作品といえるだろうか。
by mchouette
| 2009-05-09 00:00
| ■映画
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