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ブログ始める前に観た映画がBS・CSなどで放映されていて、再鑑賞してみて、やっぱりいい映画だなって思うのは感想を言葉にしていきたい。 TICKETS 2005年/イタリア・イギリス/110分 監督: エルマンノ・オルミ/アッバス・キアロスタミ/ケン・ローチ ローマに向う列車を舞台に同じ列車に乗り合わせた乗客たちの人生をエルマンノ・オルミ、アッバス・キアロスタミ、ケン・ローチの3人の監督が味わい深く描いている。 アッバス・キアロスタミの企画で始まった映画化。2つだけルールを作ったそうだ。 それぞれの物語が、どこかで繋がっている事。 そして舞台は全て列車内である事。 列車の到着を待つホームで3つの物語に登場する人物たちを見かけたり、列車の通路や車両ですれ違ったりする。 脚本の段階からアイデアを出し合い3人のコラボレーションは始まったそうだ。 オルミ監督が描いた一枚目のチケットの物語に出てくるアルバニアの家族が、ケン・ローチが描く3枚目のチケットで主要人物として登場するし、ローマに到着した列車からは、2枚目のチケットでは行方不明になった青年も爽やかな顔で降りてくるなど、一台の列車にはいろんな人々、いろんな人生、いろんな思いを乗せて走っているという感覚がとても印象深く伝わってくる。 ![]() エルマンノ・オルミ監督が描く1枚目のチケットは、初老の大学教授が手にしたチケット。 彼はオーストリアへの出張からローマに帰る飛行機が全便欠航のため、仕事相手である企業の女性秘書に便宜を図ってもらい、インスブルックからの列車のチケットを手配してもらう。列車はテロ対策の車両点検で1時間以上も遅れての発車となった。ホームでチケットを手配してくれた女性秘書との短い会話から、教授の胸についぞ忘れてしまっていたはるか遠い頃もっていた恋心がほのかにわいてきて、そんなときめきの余韻に浸っていた教授の前に、テロ対策で急遽乗り込んできた軍の司令官が座った。胸ときめく夢想から現実に引戻されてしまった教授……。 ![]() 劇場公開で観たときは、教授の心の動きをじっと見ていたからか、さらりとした映像描写と映ったけれど、再鑑賞してみるとちょっとした仕草にもオルミ監督の神経がいきわたり、それぞれメッセージが込められていて、突然に乗り込んできた司令官と乗客たちの微妙な不協和音や、緊張感といった車両に漂う空気、教授はじめ乗客たち、司令官の感覚が実に細やかに生き生きと描き出されていて、3つの物語を振り返ると、1枚目のチケットの物語は、とりわけ味わい深い一作だなと改めて思う。 チケットを手にして列車に乗り込んだ人々が紡ぎだす物語に流れるのは、1歩前に踏み出す勇気、思いやり、信頼といった明日へとつながっていく愛と希望を描いた物語だなということがよく分かる。 アッバス・キアロスタミ監督が描いた2枚目のチケットは、将軍の葬儀に参列する未亡人と、彼女の世話係りの任務につく青年。イージーな生き方で自分を見失いかけていた青年が自分を見つめなおすチケットになり、傲慢で人に命令するしか知らなかった将軍の未亡人には、生きていくのは一人なんだってお灸をすえるチケットになった。 ![]() ケン・ローチ監督の3枚目のチケットでは、イギリスからローマへ、サッカー観戦にやってきた労働者階級の青年たちと、ローマに出稼ぎに来ている父親を頼ってアルバニアから脱出した一家。社会に関心がなかった青年たちに、ちょっと大げさだけど、さまざまな人種とつながる世界に眼を向けさせ、アルバニアからの家族たちがホームで父親と再会する姿を観たときの彼らの歓喜は、人と人とが信頼しあうことの素晴らしさを彼らに教えたチケットともいえるだろう。 ![]() 老教授のほのかなトキメキが彼に一つの勇気を出させる物語から始まり、2枚目のチケットは人生の希望と厳しさを描き、3枚目は、警察官たちの隙をかいくぐってホームを突っ走ったイギリスの労働者階級の青年たちの喚声で終るこの物語。 列車がローマに向うにつれて、乗客たちの人生も愛と勇気と希望に向かってどんどん解き放たれていく。 そして3枚のチケットをつなぐ役割としてそれぞれの物語に登場する車掌。 彼がそれぞれの場面でピリッとした味を与えているのも、コラボ作品だけれど、違う国3人の監督が共同で織り上げた一つの物語。そのこと自体が未来に向かう光みたいに思える。
by mchouette
| 2009-06-08 00:00
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