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THE CONSTANT GARDENER
2005年/イギリス/128分 監督: フェルナンド・メイレレス 最近の公開作品で、テレビ放映されていても、その感動の映像がテレビ画面の小さい枠に閉じ込められたようで観るのを躊躇ってしまう作品というのが少ない。 本作も、劇場鑑賞で感動し、テレビで観るのを躊躇ってしまった作品の一つ。 劇場で観て、昨年もWOWOWなどで放映されていたと記憶しているが観ておらず、今年もアカデミー授賞式に先立ち、過去の受賞作品が放映されており、やっとテレビで観てみようかという気になった。 そして改めてさらに深い感動を覚えた。 「シティ・オブ・ゴッド」でブラジル・サンパウロの貧民層に生きる子どもたちを通し、ブラジルの現実を生々しいまでに描き上げたフェルナンド・メイレレス。 本作「ナイロビの蜂」でも、アフリカという第三世界に対する医薬品供与という名の恐るべき実態、官僚と多国籍企業の欲望まみれの癒着、それを告発しようとするテッサたち、そしてジャスティンとテッサの愛の物語を通して、アフリカそのものを見事に描きだしている。 アフリカの赤く乾いた大地、雄大な景色、そしてそこに生きるアフリカの貧しき民たちの姿……「大切なのはリアルさだ」とロケーションや自然光にこだわり、原作の舞台であるケニアで撮影を敢行したメイレレス監督。 そしてアルベルト・イグレシアスの、民族音楽を思わせるようなメロディが、アフリカの赤い大地に溶け込むように流れる。 そしてジョン・ル・カレの原作世界を見事なまでに再現した映像表現。 映像と音楽、アフリカの大地、そして役者の演技…小説の行間までもが描き出されたようなその映像は、小説とはまた違う、映像だけがもたらす感動を与えてくれた。「シティ・オブ・ゴッド」とはまた違う力強さと、深い感動のドラマ。 テッサは本当に自分を愛していたのだろうか。 常に変わらぬ温厚さで仕事にも妻にも社会にも接してきたジャスティン。 妻をあるがままに受け入れることが、彼のテッサへの愛だった。 「愛しているわ」テッサのその言葉だけで、それ以上にテッサが何をしていたのか、知ろうとしなかったジャスティン。 妻への疑惑が彼をテッサの死を探る旅に向かわせた。 そして浮かび上がってきたのは国家をも巻き込んだ巨大な陰謀。 そして知ったのは、自分に対するテッサの真っ直ぐで深い愛。 妻の愛を疑ったことの痛恨、愛するテッサを失った悲しみ、そしてどれほどの深さでテッサを愛していたか、英国紳士らしく感情を決して表に出さなかったジャスティンがテッサの名前を呼びながら慟哭する。 男の弱さ、男が泣くシーンをこれほどの情感をもって演じられるのは、やはりレイフ・ファインズ。 テッサの死の真相を探る旅は、テッサとアーノルドが生命の危険を顧みず告発しようとした政治的陰謀を暴く旅であり、そしてテッサへの愛を確認する旅であり、テッサの元に戻る旅だった。 ジャスティン、家に帰るんだ。元の平穏な生活に戻るんだ。」 暗殺の危険が近づくジャスティンへの忠告に対し 「テッサが僕の家だ。」 そう言いきるジャスティン。 ![]() 原作者ジョン・ル・カレは「著者の覚え書き」と題された原作の後書きで、本作で登場する特効薬は存在しないと、フィクションであると述べつつも 「しかし、これだけは言える。 製薬業界のジャングルを旅するうちに、現実に比べれば、私の話は休暇の絵葉書ぐらいおとなしいものだと思うようになった。」 ……こう記している。 さらに生臭く、どす黒い現実が世界を覆っているのだということ。 ジョン・ル・カレ(John le Carré,1931年10月19日~ ) アフリカの乾いた大地と苛酷な現実。 真実を闇に葬り去ろうとするどす黒い陰謀。 ジャスティンとテッサの深く大きな愛。 作品のテーマともいえる3つの大きな流れは、時には合流し、分離しながらも途切れることなく流れ、そしてラストでロキの地に辿りついた時、痛ましすぎるほどの、しかしとてつもなく深い感動の映像となって、観るものに胸の奥深くまでしみわたるような余韻を残す。
by mchouette
| 2009-02-19 00:00
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