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監督であるエリック・ロメールは1920年生れ。
彼は「私はこの映画のあと、現役を引退するつもりだ。映画学生向けの短編を製作する計画はあるが、もう長編を撮影するつもりはない。87歳という高齢もあり、映画演出、撮影に大変な困難を感じている。」と本作についてのインタビューで語っており、これがロメールの最後の長編作品になるんだろうか。 LES AMOURS D'ASTREE ET DE CELADON 2007年/フランス・イタリア・スペイン/109分 at:テアトル梅田 監督: エリック・ロメール 5世紀のフランス・ガリア地方を舞台にした一組の若い男女アストレとセラドンの純愛を描いた作品。 「我が至上の愛」と言うタイトルとか、こんなチラシの画像とかで、さぞや官能的で幻想的な美しき恋愛劇と映像を期待された方は、とち狂ってしまうと思う。でもエリック・ロメールを知る人ならロメールならではテイストを感じるだろう。 話はいたって素朴。 彼女を愛している 会いたい でも彼女を愛しているのなら、彼女の言葉には従わなければ… ああでもない、こうでもないと男がじれったいくらいにウジウジと思い悩むあたりは、現代のパリでも、5世紀のガリアを舞台にしてもちっとも変わらないロメール作品。 広い草原を舞台に、5世紀当時のガリア人たちの服装で、台詞も演技も素朴と言おうか淡々としているといおうか… シンプルなほどの素朴な映像。 そしてロメールは、風の音、木の葉のそよぎ、川のせせらぎ…役者たちの台詞と共に現場の音を録音する「同時録音」と呼ばれる手法。 エリック・ロメールの長編最後の作品にして、彼の作品の原型ともいうべきものが全て描きこめられている作品ともいえる。 本作の原作は、17世紀にオノレ・デュルフェという作家によって書かれた『アストレ』。17世紀文学サロン、特にパリの貴婦人たちの間で大流行した小説だそうだ。高齢といえばポルトガルのマノエル・ド・オリヴェイラ監督。 尊敬するルイス・ブニュエルの「昼顔」のオマージュとして「夜顔」を撮ったのが99歳。「夜顔」に彼が潜ませた企みの数々に衰えぬその感性とエネルギーには驚かされた。 そして、87歳で本作を撮ったエリック・ロメール。 これが長編最後だというにしては、肩透かしにあったような、いたってシンプルな映像。けれど、そこかしこにロメールが映像で描き続けたものが詰まっている。なんとも曲者作品を最後に撮ったことだろう。 そして本作のラストはまさに至上のハッピーエンドともいうべきショット。 どこかで味わったような…と思ったら、そうルビッチ作品だった。 ただ残念に思うのが、私たちが日本の古典劇を観て、古語のもつ美しいメロディと響きに惹かれるように、フランス人が観れば、古典作品として堪能できた作品でもあるだろう。そういう意味では、この作品が本来もっている音と言葉と風景が織り成す映像作品としての味を十分に味わいきれていないと思う。 味わい切れない向きには、セラドンを演じたアンディー・ジレ君の美形がフォローしてくれるかも…です。
by mchouette
| 2009-02-11 00:00
| ■映画
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