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今週のアキム・コレクションで鑑賞した作品は、観た作品ばかりだけれど、はるか昔か、テレビでか。「絶対にスクリーンで!」と、週末マスクして頑張って観に行きました。
「肉体の冠」、「嘆きのテレーズ」、「望郷」、「獣人」そして「ノートルダムのせむし男」。 いつもあたたかいメッセージをくださるグリーンベイさんが、アキム・コレクション上映作品について、 「双葉十三郎大先生が20世紀に公開された七千五百本をも超える外国映画の作品批評を収した<ぼくの採点表>から、彼のユニークな寸評を紹介します」とコメントをくださった。双葉先生が「ボクは義憤を禁じ得ない。」と評された「肉体の冠」は、フィンランドの監督アキ・カウリスマキが、イギリス映画雑誌が実施した映画監督の私のベストテン映画(1992年・2002年実施)のアンケートで10本の作品に必ずあげていた作品。 コミュニストでハートはど演歌、と私が勝手に評しているアキ・カウリスマキなら、これは好きだろうなぁって思う。とりわけラストシーンなどは観る度に、彼は感涙にむせぶばかりだったろうなって想像してしまう。 「肉体の冠」 CASQUE D'OR GOLDEN HELMET 1951年/フランス/98分/白黒ジャック・ベッケル監督の最高傑作であり、映画史の古典と絶賛されている。 そして娼婦マリーを演じたシモーヌ・シニョレが、本作で女優としての地位を獲得した作品でもある。 19世紀のパリ。美しいブロンドの髪が魅力的な娼婦マリーは、大工のマンダと知り合い、互いに惹かれあう。そんな2人にマリーの情夫ローランは嫉妬し、決闘を申し込むが、マンダが勝利し、ローランは死んでしまう。警察に追われる羽目になったマンダは、マリーを愛人にとつねづね狙っていたローランの親分ルカの奸計で、マリーを奪われ、親友のレイモンまでもが命を落としてしまう。二人の愛を踏みにじり、子分であるレイモンを警察に売り渡したルカの卑劣さに、マンダは憤怒を胸に彼を追い詰め、警官たちに取り囲まれながらもルカを射殺する。夜明け前、人知れず処刑が執行されるマンダを、マリーはとあるホテルの窓から、マンダの処刑執行をじっと待ち続ける。 ベッケル監督はシモーヌ・シニョレに、よ、よと身悶えして泣き崩れたり、マンダの名前を呼んだりなどといった、そんな使い古された安っぽいメロドラマのヒロインにはさせていない。 涙一つ流さず、身じろぎも、瞬きもせず、ただ一点、惚れぬいた男だけを見つめ続ける女の顔。 銃を構えた兵士の間を真っ直ぐに前をみつめ進むマンダ。マリーが見ていることなど知る由もないだろう。 マンダの身体ごと処刑台が一気に前に倒された。 瞬時に場面が変わり…… 落下するギロチンの刃のクローズアップ。 そして「FIN」の文字。 一瞬、息を飲み、大きなため息がでる。 一人の娼婦をめぐった三角関係のもつれから始まり、様々な人間ドラマがベッケル監督の巧みな語り口で展開していく。 処刑を夜明けに控えた夜。 マリーはルカの子分だった男と連れ立って、それと分かるホテルの一室に入っていく。 窓から外を眺めるマリー。男はベッドに腰をおろしている。 ルカ殺害でマンダは逮捕され、マリーはやはり娼婦。別の男に鞍替えしたかと思わせるシーン。 次の場面でもマリーは窓から外を眺めている。ベッドに腰掛けていた男はそのまま寝てしまっている。 窓の外からみえるのは処刑執行場所だった。 ラストまで繋がるこの一連のシークェンスは、台詞などほとんどない。 映像だけで最後の一瞬までピンと緊張の糸が張りつめられている。 ベッケル監督の演出の上手さは見事。 娼婦、町をとりしきるギャングといった世界の物語りだけれど、格調高き純愛映画といってもいいだろう。 そして並み居る男たちが霞むほどのシモーヌ・シニョレの存在感! ![]() 原題は「CASQUE D'OR」 ”黄金の兜”と訳せる。 マリーが黄金のブロンズの髪を結い上げた様を表現したもの。 そして双葉先生が「完璧!」と評された「嘆きのテレーズ」で、シモーヌ・シニョレは主人公テレーズを演じている。本作はヴェネツィア映画祭で銀獅子賞を受賞。 「嘆きのテレーズ」 THERESE RAQUIN 1952年/フランス/107分/白黒生地店を営む病弱な夫と息子を溺愛する姑。そんな生活に息がつまる日々を送るテレーズは、イタリア人運転手ローランと知り合い、密かに逢瀬を重ねる。夫に離婚を申し出るも受け入れられず、夫はローランから引き離す為テレーズを旅行に連れ出す。後を追いかけたローランと夫がもみ合った末、夫を列車から突き落とされ死んでしまう。 三角関係から生じた殺人事件。 アクシデントから生じた殺人事件。その後の完璧と思われた事件の隠蔽。 …だったはずが、ほんの一瞬の出来事で……! 監督は「天上桟敷の人々」のマルセル・カルネ。 テレーズという女性の本性はどこにあるのか? シモーヌ・シニョレの無表情とも思える表情。 慎ましやかな顔の下に、開き直った図太さと冷酷さが顔をのぞかせる。 こんな冷徹な怖さが秘められているところが、この映画をそんじょそこらの三角関係のメロドラマやラブストーリーでは終らせていないところでもあるだろう。 そして、事件の真相を感づいた男からの強請からラストに至るまでは、昨今のドラマチック過ぎるほどの抑揚とは程遠い淡々とした語りながらも、息詰まるまでの迫力をみせるのはなぜだろう。 それにしても、運命とはなんと重く、そして風に吹かれる木の葉のようになんと儚げな、皮肉なものか……。
by mchouette
| 2009-01-28 00:00
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