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NINE LIVES
2005年/アメリカ/114分 監督: ロドリゴ・ガルシア ロドリゴ・ガルシア監督が、9人の女優を迎えて、彼女たちが演じる女性の人生のある瞬間を切り取って描いたオムニバス・ドラマ。 サンドラ(エルピディア・カリーロ)は服役中で愛娘との面会を楽しみにしていた。ダイアナ(ロビン・ライト・ペン)は昔の恋人ダミアン(ジェイソン・アイザックス)と出逢う。看守の父(ミゲル・サンドヴァル)と不仲のホリー(リサ・ゲイ・ハミルトン)は実家に戻る。リサ(モリー・パーカー)とダミアンとに招かれたソニア(ホリー・ハンター)とマーティン(スティーヴン・ディレイン)は喧嘩する。サマンサ(アマンダ・セイフライド)は母ルース(シシー・スペイセク)と父の間の鎹となる。ローナ(エイミー・ブレネマン)は元夫アンドリュー(ウィリアム・フィクトナー)の妻の葬儀に出て、リサから冷たい視線を浴びる。ルースは教師ヘンリー(エイダン・クイン)と浮気をし、サンドラ逮捕を目撃する。カミール(キャシー・ベイカー)は手術のためホリーが働く病院に入院する。マギー(グレン・クローズ)とマリー(ダコタ・ファニング)は墓参りに来る。 各エピソードとも、全てワンシーン・ワンカットで撮っており、それぞれのエピソードは114分という上映時間からもわかるようにわずか10分程度。 撮影は9つの場所で、1人のエピソードに2日、合計18日間で撮影を終えたそうだ。 劇場で観た時は、彼女たちの人生の一断片から、彼女という人間を捉え、その断面で彼女たちがみせる言動に、反応してしまっていたように思う。 服役しているサンドラは、刑期短縮のため模範囚になろうと一生懸命だ。そのために刑務所内の情報を看守に流して取り入っている。月に一度の娘との面会の場で、電話機が壊れ娘と話が出来ず、そのことにまともに取り合おうとしない看守たちに感情を爆発させ暴れる。仲間の反感を買ってまで刑期の短縮に努力してきたことがこの一瞬で崩壊してしまう。 娘だけが生きがいで、そこまで感情を爆発させるんなら、何をしたのか知らないけれど足を踏ん張れなかったの?先日、NHK・BSで放映されていて再鑑賞した。それぞれのエピソードはわかっていることと、テレビ画面のせいもあるのだろう。観ている私の視線が劇場鑑賞時と変わっていた。 数年経って、私もちょっとは人間できてきたのかしらね。彼女たちそれぞれの言動に対する私の印象は劇場で見た時とさほど変わらないけれど、 人はややもすると接した断片から受けた印象で、その人を捉えて評価している。 唐突に始まって、何かの出来事がそこにあって、その場面は唐突に終る。 そこで見せた顔もそこで味わった思いも彼女の中の一つの断片。 生きている時間は続いているけれど、人生は一つのレールで繋がってなくって、ある瞬間、ある出来事、ある場所、ある人に見せる顔は一つの断面でしかない。 出来事は唐突に始まって、そこから立ち去れば、その場面はそこで終る。 そこで何かが起きれば、そこから新たな場面が始まる。 人生とはこんな断片が集まって、振り返れば人生と呼べるものになっていくのだろう。 たった10分足らずの彼女に起きた出来事。 それは長い人生からみれば、小さな出来事かもしれないけれど、明日を思うけれど、未来は見えず、過去を引きずって、今という瞬間しか見えない人間にとっては、そこで行う選択とか、行動とかは、かけがえのない必死なものだろう。ぶった切られて終ったところから、また歩いていくしかない。そうやって彼女たち一人一人の人生となっていく。 そう思うと、ここで描かれた9人の女性たちのわずか10分のドラマが、とても愛しく思えてくる。 そしてラストの場面は墓地。 グレン・クローズ演じるマギーが娘と墓参りにくる墓地のシーンは感動すら覚えた。 祖母とも思えるクローズに娘役のダコタは「ママ」と呼んでいた。 娘の膝にもたれかけて「ママは疲れたわ」と呟く。 そして次の場面では、マギーが食べ物をそっと墓石におく。 娘が大好きだった食べ物。 自分より先に逝ってしまった娘の墓。 娘との思い出。 マギーの人生にも、サンドラやダイアナやソニアがいたかもしれないし、カミーユのような手術を経験したかも知れない、ルースのような選択を味わったこともあるかもしれない。娘の時はサマンサのようだったのか、ホリーみたいに父に反撥する日々があったのかもしれない。そして娘の死という悲しみを味わい、人生の黄昏にあって生きることに少し疲れを覚え生きている。 墓石の前に座り、物言わぬ娘に様々な思い出を語り、そして静かに人生の幕を下ろしていくんだろう。 ![]() 原題「NINE LIVES」 9つの人生。 「美しい」などと安っぽい言葉で語って欲しくないと思う、邦題「美しい人」 近視眼的でも、何かに囚われていたとしても、若気の至りだとしても、意固地かもしれないけれど、その瞬間はそれしかなくって、どんな方向に行こうと自分の人生は自分で生きていかなければならないということ。 だから、人生は素晴らしいとか、美しいとか、かけがえがないとか、そんな言葉で人生や、本作を語るのは簡単だけれど、そんな言葉が美しく響くのは人生の最期の時じゃないかな……。 監督のロドリゴ・ガルシアさんって、先日観た「コレラの時代の愛」の原作者ガブリエル・ガルシア=マルケスの息子。ラテン民族の血をもつロドリゴ監督。これからどんな独自の世界を描いていくのでしょうか。
by mchouette
| 2009-01-27 00:00
| ■映画
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