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NINOTCHKA
1939年/アメリカ/110分 「極楽特急」に続いてルビッチ作品を観賞。 アメリカの劇作家テネシー・ウィリアムズに「映画界ただ一人の大悲劇女優」と称賛され、フランスの詩人ジャン・コクトーは「彼女こそエレガントな美のきわみ」と讃えたと言うグレタ・ガルボ。 ![]() そのガルボが「笑った」と評判になった映画だったそうだ。 ただ、本作でのガルボはそれほど魅力的ではなく、ガルボの熱烈なファンにとってはがっくりきたものだったそうだが…。 脚本は、脚本家時代のビリー・ワイルダーとチャールズ・ブラケット。二人の共同脚本で次々とヒット作を出し、ハリウッドの名脚本家コンビと謳われていたそうだ。 舞台は、「良き時代のパリ。“サイレン”はブルネット娘の嬌声である、フランス男が電気を消すのは、”空襲”のためではない」そんな時代の物語。そしてロシアにあっては帝政ロシアが崩壊しボルシェビキによるソビエト連邦が樹立された時代。 貴族たちから没収した宝石を換金するためにソ連の役人3人組が、自由の国パリにやってきた。没収された自分の宝石がパリにあるという情報を聞きつけたパリに亡命中の大公夫人は、愛人である伯爵の助けを借りてその売買を妨害すべく裁判所に売買差止めの申し出た。足止めをくったソ連の3人組は、すっかりパリの自由と華やかさに骨抜きになってしまっていた。 ソ連では進展しないパリでの状況に痺れをきらし、特命大使を派遣させる。 この特命大使ニノチカを演じるのがグレタ・ガルボ。 ガルボのトレードマークともいえる笑わない表情でパリの駅に到着したニノチカ。 ガチガチのコミュニスト。 決して笑わない女闘士。 そんなニノチカと大公夫人の愛人でもあり、今回の宝石売買差止めの立役者でもあるレオンが、偶然にも街角で出会い、プレーボーイのレオンは美人だがにこりともせず、靡いてこないニノチカに俄然プレーボーイの血が騒いだのか、あれやこれやでニノチカの歓心をかおうと果敢に挑む。 ![]() まさに、唯物論に凝り固まった女を唯心論で口説く、というこの発想、そして二人の間で交わされる台詞の応酬の見事さ。 ここまで唯物論を噛み砕き、デフォルメさせ、しかも愛の語らいでそれをやってのけるルビッチ監督の手腕! カサブランカでボガードの「君の瞳に乾杯!」も唯物論的立場で語ると「あなたの角膜は美しいわ」となる。 ニノチカを口説こうとするレオンと、それに応えるニノチカの決して絡み合わない台詞、それでいて2人のやりとりは続いていく。 この作品は、溢れるように交わされる台詞のルビッチの妙を堪能する作品でもあるだろう。 とすると、「ニノチカ」の面白さは、ビリー・ワイルダーとチャールズ・ブラケットの脚本の力でしょうか。 本作は一方的にソ連を皮肉り揶揄してはいない。自由主義社会に対するシニカルに描き、その批判精神も忘れてはいない。 顔も知らない特命大使を駅まで迎えにいった3人が、ドイツ人とロシア人を間違えるのもシニカルだ。 革命の痛みなどなんら介さず私欲に執着する大公夫人のエゴと、贅沢三昧な生活。 ニノチカの言葉を通して語られる共産主義的立場からの資本主義社会の批判も鋭い。 レオンも感化されマルクスの「資本論」などを読み出す始末。執事に「なぜ不平等を感じないのか」と問題意識をつついたりする。「自分の年金をあなたと折半などしたくはございません」と資本主義的立場からさらりと応える執事。 ニノチカのロシアでの無味乾燥な生活。 シルクの下着にうっとりする同じ部屋の女性。 ニノチカにすっかり心を奪われたレオンは、なんとか彼女の心を掴もうとする。 そんなニノチカの鉄の扉で閉ざされた心を開けたのは「笑い」だった。 笑いがニノチカの心を解放させ、閉じ込めていたレオンへの愛が、ニノチカの心に喜びと光をもたらす。 ![]() 唯物論と唯心論が「笑い」によって結びつき、「愛」によって融合する。 そこからはお決まりのメロドラマ。大公夫人の嫉妬による策略からニノチカはレオンへの愛を断ち切ってソ連へ戻る。レオンからの手紙は検閲で本文は全て抹消されている。 「人の心の中にある想い出までは束縛できない」そういって3人組はニノチカを慰める。 「笑い」と「愛」に加え、もう一つ束縛からの「心の自由」「人間性の回復」も本作のテーマだろう。 ニノチカとレオンの愛の力が二人のまえのあらゆる障壁を打ち破り、二人は結ばれるというハッピーエンド。 共産主義社会と資本主義社会を背景にルビッチが描く男と女の愛の悲喜劇は見事。 しかし、この幸福もニノチカが祖国を捨て亡命することを意味するものであり、第二次大戦で世界が真っ二つに分かれるその萌芽をすでにルビッチはここで鋭く描いていることも見逃せない。 登場する役者達の動き、映像にいささかの古さも、時代感覚のずれすら感じない。 台詞の妙、抑えた演技、品の良さ……。 ルビッチ作品は私ごときがアレコレ言わずとも、アレコレ言うほどの鑑賞眼などもなく、 でも、観ていて飽きないし、うまいなぁって思うし、しばらくルビッチ作品を堪能してみようと思う。 監督: エルンスト・ルビッチ 製作: エルンスト・ルビッチ 原案: メルキオール・レングィエル 脚本: ビリー・ワイルダー/チャールズ・ブラケット/ウォルター・ライシュ 撮影: ウィリアム・H・ダニエルズ 音楽: ウェルナー・リヒャルト・ハイマン 出演: グレタ・ガルボ/メルヴィン・ダグラス/アイナ・クレアー/ベラ・ルゴシ/シグ・ルーマン
by mchouette
| 2008-09-19 21:38
| ■映画
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