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紅高梁
RED SORGHUM 1987年/中国/91分 チャン・イーモウの監督デビュー作。 政協委員の一員で、北京オリンピックの開幕式の演出を手がけ、いまや中国を代表する映画監督となったというべきか張芸謀(チャン・イーモウ)。 彼の監督デビュー作である「紅いコーリャン」がシネ・フィルイマジカで放映されていたので再見。 北京オリンピック年を記念してシネフィル・イマジカで中国映画の特集を組んでいて、8月は北京オリンピック開閉会式の芸術監督を務めるチャン・イーモウ特集として、監督デビュー作である「紅いコーリャン」、染物屋の妻となった娘の許されぬ愛の行方を描いた「菊豆(チュイトウ)」、チャン・イーモウ総監修で製作された「項羽と劉邦/その愛と興亡」の3作品が放映されている。チャン・イーモウ監督作品でもあり、彼が発掘し「紅いコーリャン」で女優デビューをした、当時、公私にわたってパートナーであったコン・リーの魅力を描いた作品ともいえるだろう。 本作についてAllcinemaでは「あまりに大胆な色彩の実験、うるさいくらい凝った画面構成、迫力はあるがタメの無い畳みかける演出の、ウケを狙ったあざとさが鼻について、正直、好意は抱けない。」とあるけれど……。 「紅いコーリャン」「菊豆(チュイトウ)」「紅夢」「秋菊の物語」「活きる」「上海ルージュ」「あの子を探して」「初恋のきた道」「至福のとき」「HERO」「LOVERS」とチャン・イーモウ作品を観てきて、再び「紅いコーリャン」を観ると、やはりこれは彼の鮮烈なる監督デビュー作だと思う。 ![]() 1920年代の中国山東省。 「菊豆」のコン・リーもさらに湿度を帯びた色香も備わり、さらに強い存在感をみせていたけれど、「紅いコーリャン」の彼女は、映像の鮮烈な「紅」をさらに際立たせるほどの瑞々しさと強い存在感を放っている。コン・リーを見つけた時は、チャン・イーモウはきっと鳥肌が立つほどの喜びに打ち震えただろうと思うほどに、彼女からはもって生まれた女優の華を感じさせるオーラが放たれている。 そして「紅いコーリャン」からは中国の荒野に生きる民が放つ土臭さと野性味のある逞しさがほとばしり、やはり吸引力のある作品だと思う。 これは主人公であるチャン・ウェンが放つ強烈な人間臭さとエネルギー、それに匹敵するほどのコン・リーの存在感があるだろう。 この人間臭さ、生身の人間を感じさせる力は「菊豆」にもかろうじて引き継がれているものの、以降、洗練され、技巧的になっていった彼の作品からは喪われてしまった中国の大地の匂いにも通じる吸引力のように思う。 「菊豆(チュイトウ)」「紅夢」「秋菊の物語」「活きる」「上海ルージュ」ではコン・リー、「初恋のきた道」はチャン・ツゥイをヒロインに描かれた物語だけれど、本作は中国を描いた物語だろう。 「紅いコーリャン」以降「菊豆」「紅夢」「上海ルージュ」そして「HERO」でチャン・イーモウ作品の映像では「赤」が大きな魅力ともなっている。 野生のコーリャンが生い茂る原野の中を、花嫁を乗せた嫁入りの紅い輿が逞しい男たちに担がれて行く。慣習で男たちは輿を揺らし、卑猥な歌を歌って花嫁いじめをする。上半身裸の男たちの逞しい肉体と、頭からすっぽりと紅い布を被った花嫁。衣服からのぞく花嫁の靴の先。それをしっかりと掴んだ男の手。 嫁入りして3日目に実家に帰る女をコーリャン畑で男は待ち伏せする。男は女を腕に抱えコーリャン畑の中へと走っていく。女の紅い服がコーリャン畑に見え隠れする。コーリャン畑の真ん中で結ばれた男と女。コーリャンが生い茂る中、黄土色の大地をロバに乗った女の顔は、真っ赤な太陽の光を浴びて喜びに紅潮し輝いている。 なんともおおらかで溢れる生命を感じさせる男と女の愛の交歓。 そして、そのコーリャン畑で行われた日本軍の凄惨な行為。 「紅」は「紅いコーリャン」では中国の「紅」であり、新しい生命を生む花嫁の色であり、毒をも清めるコーリャン酒の紅い色であり、そして大地に流された血の色であり、怒りを表す色であった。 「菊豆」以降は、情念や愛欲の色へとその色調は陰鬱さを帯びてくる。 これはこれでいいのだけれど、それに従い彼の作品は映像の美しさや演出の巧みさは上手いと思うし、役者の魅力を引き出しているのだけれど、作品そのものの魅力はさほど感じられない。 「紅いコーリャン」こんなことを思いながら観ていた。
by mchouette
| 2008-08-11 00:00
| ■映画
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