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EDWARD BURTYNSKY: MANUFACTURED LANDSCAPES
2006年/カナダ/87分 at:テアトル梅田 巨大工場や採石場、廃棄物処分場といった産業そのもの、あるいは産業発展によって変化する風景を撮り続けているカナダ人写真家エドワード・バーティンスキー。 この映画は、中国の産業発展の痕跡とその影響をカメラに収めるべく中国を訪問したエドワード・バーティンスキーの撮影現場に密着し、バーティンスキー自身のナレーションで進行する。 中国は先進諸国より遅れてきた国だ。 その中国が、グローバル化経済の中で、世界でもっとも急速な発展を遂げ、いまや世界の工場と言われる中国。毛沢東体制下では都市部が1に対し、農村部が9であった中国の将来の青写真は都市部7、農村部3という。 バーティンスキーがカメラで切り取った光景は、かつて高度経済成長にあった日本を追いかけるような風景。 しかし、広大な国土を有する中国がみせるその光景のスケールは、あまりにも巨大すぎる。 「産業発展の光と影」というありきたりの言葉などでは語りえないほどの異様な歪みをみせている。 果てしなくどこまでも建ち並ぶ工場群。そして黄色のユニフォームの労働者たちが巨大な工場内で黙々と石油化学を原材料とする製品を組み立てている。アイロン、扇風機、プラスチック製品……。↓ ![]() ![]() これは“地球の壊されかた”か、 それとも“人類繁栄の足あと”か。 バーティンスキーが切り取った風景を前に、この映画のコピーが生々しい現実感を伴って迫ってくる。 経済発展に必要不可欠な膨大なエネルギー。 「石油こそが20世紀を作った」とバーティンスキーは語っている。 合成樹脂のハンドルを握り、石油塗料を塗った車に乗り、タールで舗装された道路を走っていると。化学製品、プラスチック、洗剤、化粧品に至るまで日常生活の隅々にまでありとあらゆるものは石油から作られている。 そしてバーティンスキーは「まるで石油パーティのようだ、中国はこのパーティのラストダンスを踊っている」と…。 おびただしい数のコンテナの写真。造船所、石油コンビナート、古タイヤの山、高速道路の複雑なインターチェンジ… ![]() 世界経済の利益追求の飽くなき欲求と、果てしない消費文明の、その世界の胃袋を満たすとき、清潔でシステマティックな工場から厳密な検査を経て生み出される製品が、不要物となり、排泄物のように吐き出されたものを受止めるのは、中国や東南アジアの貧困層であるということ。 世界中廃棄された電子機器の半分が資源ゴミとして中国に集められる。いわゆる大気汚染が心配される有害物質の巨大な山だ。その中を作業員達は普通のゴミを分別するように無防備な姿で汚染物質の山を這いずり回る。素手で電子機器から貴金属を取り出し、金槌で粉砕し、モニターはガラス製品として割られ、不用品は燃やされ、それら汚染物質は地面から地中深く地球の内側に浸透し、大地を、地下水を汚染していく。 そして、バングラデシュの船舶解体現場では、若者たちは首まで原油につかって解体作業をする。原油は確実に彼らの肉体を侵食していく。解体現場にいるのは20~30代の若者ばかりでそれ以上の年齢のものはいないというおぞましい実態。 中国の未来を支える世界最大の三峡ダム建設。 ダム周辺の町は破壊されダムの底に沈み、100万人以上の民が強制移転させられた。仕事をなくした彼らはダム工事現場でかつて自分たちが住んでいた町を破壊する。そして延々と続く瓦礫の山は、まるで戦争の傷跡を思わせるような廃虚。 この光景は、ジャ・ジャンクー監督が描いた「長江哀歌」以上の哀歌ともいえる残酷な風景だ。 ![]() 人間は自然の一部だ。 自然破壊は自己破壊だ。 バーティンスキーが切取った、繁栄が覆いつくしている残酷で美しい風景は、産業発展の恩恵を受ける我々に無言のまま圧倒的なスケールで問い詰めてくる。 繁栄と豊かさと引き換えに人類が失っているものがあるということ。 そして、その現実は私たちが見えないところで、過酷な現実として、貧困層や後進諸国の人々に苦難を強いているということ。 この正と負が引き合う現実が「いま ここにある風景」がみせる姿だろう。 「我々はこの星の自然を変え、空気を変え、水を変え、大地を変え続けている。中国だけではない、世界中で」。エドワード・バーティンスキーはそう語っている。 この風景を「悪」だと言えば、それに対して賛成も反対も出てくるだろう。 大事なことは今ここにある風景、現実とどう向き合うのか、新しい発想の転換が必要だとバーティンスキー氏は本作で語っている。 そして情報として提供したとき、人は情報が溢れた現代社会で人は関心のない情報にはスルーしてしまう。だから彼はこうした写真をアートとして発表し、観るものに強いインパクトを与え、その風景の前で立ち止まらせるのだと。 監督: ジェニファー・バイチウォル 製作: ニック・ドゥ・パンシエ/ダニエル・アイロン/ジェニファー・バイチウォル 撮影: ピーター・メトラー 出演: エドワード・バーティンスキー
by mchouette
| 2008-07-30 00:00
| ■映画
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