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LE BALLON ROUGE
1956年/フランス/35分 at:梅田ガーデンシネマ 「白い馬」に続き、本作「赤い風船」を観ました。 1956年カンヌ映画祭パルムドール受賞。 2007年カンヌ映画祭で監督週間正式出品されリマスター上映された。 同じ作品が2度上映されるのはカンヌ映画祭史上初めての出来事。 それほど、この作品は誰の胸にも、何度観ても色褪せない感動を呼び起こすのだろう。 モンマルトルの町並みを舞台に、少年と赤い風船の交流を描きあげた、まさに詩的な映像。 奇跡の映像。 「白い馬」と同じくサイレントといっていいほど台詞は少ない。 ラモリス監督は「白い馬」でモノクロ映像で、少年と野生の白い馬を、束縛の世界から自由へと大海原にその魂を解放させた。そこには現実の囚われを拒絶した痛ましさを伴うものであったけれど……。 「白い馬」で描かれた自由への魂の解放は、「赤い風船」でも引継がれている。 「赤い風船」はカラー映像で、ラモリス監督の自由な魂は大空へと飛翔する。 ![]() 戦後10年たったパリの街はまだくすんでいる。 そんな街に色彩を与えたかった。 ラモリス監督は、そんな思いで赤をくっきりと際立たせるために、黄色の風船に赤い風船を重ね、さらにラッカーを塗って艶を出したそうだ。 パスカル少年のもとにやってきた赤い風船の紐を決して離さないパスカル少年の姿は、激しく引き摺られても白い馬の縄を決して離さなかったフォルコ少年と重なる。 何ものにも絶つことのできない魂の強い絆。 ラモリス監督が映像にこめた強いメッセージだろう。 友情で結びついたパスカルと赤い風船は決して離れない。 パスカルと赤い風船はいつも一緒にパリの街を楽しげに歩く。 雨が降ったら道行く人の傘に風船が塗れないように入れてあげる。 パスカルの後をふわふわと漂う風船。 かくれんぼしたり、走ったり……。 ![]() こんな映像をみていると、加藤登紀子のデビュー曲「赤い風船」の歌詞が頭に浮かんでくる。いたずらっ子達がパスカル少年の赤い風船を狙って捕まえようと追いかける。 いたずらっ子の投げた石で風船はゆっくりと小さくなっていく。 生命の灯が消えていくように……。 子供たちに踏み潰される赤い風船。 泣き叫ぶパスカル。 赤い風船を悼むように、街中の色とりどりの風船が次々と空を渡り、街を渡り、風に乗ってパスカルの元に集まってきた。 風船たちとともにパスカルは空へ、空へ、空へ… 押し潰される赤い風船は、自由な精神で生きるにはあまりにも過酷な現実の暗喩だろうか。空へ空へと昇るパスカルは、ラモリス監督自身の焦がれる自由な魂の飛翔だろうか。 現実で叶わぬ思いを、ラモリス監督は映像の世界で解放させるかのように、この作品の後も空に魅せられたように、「素晴らしい風船旅行」(1960)、「フィフィ大空を行く」(1964)、「パリの空の詩」(1967)などの空を舞台にした作品を多く撮っている。そして1970年「恋人たちの風」を撮影中、撮影中のヘリコプター墜落事故で亡くなった。 どこまでも自由を求めたラモリス監督が託すように、風船たちは生きているように動く。CGなどない時代にあって、どのように撮ったんだろうと思うほど、生き生きとした動きを見せる赤い風船。そしてパスカルと息絶えた赤い風船の元に集まってきた風船たち。 たった一つの「赤い風船」がみせてくれる優しさとか温もりとか…。 赤い風船が街に息吹を吹き込むようにふわりふわりと漂っている。 CGがみせる精緻さとか、リアルな迫力とかとは違う、映画が語りうる言葉としての映像表現。 映画にとってとても大切なことを教えてくれる作品。 ![]() 「白い馬」で見事なカメラワークを見せてくれたエドモン・セシャンのカメラが本作でもさらに見事な撮影を見せてくれている。 パスカル少年はラモリス監督の実子であるパスカル・ラモリス君 「白い馬」ではあどけなさの残るよちより歩きで出演していたけれど、本作ではもう小学生。赤い風船が一目ぼれする青い風船を持った少女の役でパスカル君の妹も出演している。 彼にとっても父との思い出の大切な作品だろう。 「白い馬」と「赤い風船」 どちら40分ほどのとてもシンプルな映像だけれど、ラモリス監督の滾るような思いが濃厚に込められた、台詞で語りえない、映像そのものが語りうる世界との素晴らしい出会い。 半世紀経った今も、色褪せない感動と映画の限りない魅力を与えてくれる作品。 監督: アルベール・ラモリス 脚本: アルベール・ラモリス 撮影: エドモン・セシャン 音楽: モーリス・ルルー 出演: パスカル・ラモリス/シュザンヌ・クルーティエ
by mchouette
| 2008-07-29 00:01
| ■映画
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