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NAISSANCE DES PIEUVRES
2007年/フランス/85分/ PG-12 at・梅田ガーデンシネマ この映画、素晴らしい感性で映画と小説の世界を語られているリカさんのブログ「きまぐれ映画日記」で紹介されてから、ずっと観たかった映画。 今年のフランス映画祭で公開された映画だけれど、仕事している身の悲しさ。平日に映画なんか観れない。劇場公開を待っていただけに、初日の20日、いそいそと上映劇場の梅田ガーデンシネマまでカンカン照りのなか観にいってきました。 今週1週間はモーニング上映。2週目からはレイト上映という扱いは、なんとも勿体無い! 思春期という大人でも子供でもない年齢。 まだまだ初心な子もいれば、早熟な子もいる。 でも、まだ固くて青い蕾はしっかりと閉じられている。 でも、胸のふくらみとともに、性への欲望も膨らんでくる。 頭と肉体と心と欲望がアンバランスな年齢。 シンクロナイズ・スイミング そ知らぬ顔で微笑む下で、水の中で必死に水を蹴り、掴めないものを掴もうとする彼女たちの姿は、痛いほど思春期の姿と重なる。 大人でも子供でもない少女たちの身体の下で蠢くものと、心の揺らぎを見事に捉え描き出されている! 思春期の少女たちの肉体と心と欲望を、これほど新鮮にリアルに瑞々しく描いた作品って今までなかったんではないかしら? そう思う。 そして思春期の透明感と初々しさがある映像。 思春期の少女の性を、プールという枠の中で揺らめく『水』に重ね合わせた繊細な感性。 ソフィア・コッポラの「ヴァージン・スーサイズ」(1999) テリー・ツワイゴフ監督の「ゴースト・ワールド」(2001) これらも素晴らしかった。 でも本作はそれ以上に、かつて通り過ぎたあの15歳という思春期の感覚が蘇ってくる。 原題「NAISSANCE DES PIEUVRES」は「蛸の誕生」。 シンクロの手足を思わせる「タコ」に、フランス語の「厄介なもの」をかけ、「女という厄介な生き物ができるまで」という意味を持たせ、蛸がスミを吐くように、彼女たちの内に蠢くものを吐き出していく3人の少女たちを、外側からではなくって彼女たちの内側から描いている。 フロリアーヌは魅力的でいつも男性の視線を浴び、女の子からは娼婦と陰口を言われているけれど、本当は孤独な16歳の少女。 思春期の、恋への憧れと、セックスの好奇心と、コンプレックスと、目覚めたばかりの突き上げる欲望と見えない不安と…… この映画、案外と男性も多く観に来てたけど、この映画の彼女達の感覚って女性にしか分からないんじゃないかしらって思う。 私たちがあの頃の男の子達が分からなかったように……。 一人自らの欲望を抱えあぐねマリーが憑かれたように躍るマリーの姿。そしてプールに飛び込んだアンヌと、そしてフロリアーヌ。水の上に浮かびながら天井を見つめる二人の姿。 こんなラストシーンに思わず涙が溢れてきた。 映像とかタイトルからこの映画思春期の少女たちのレスビアン的な愛を描いた作品って思わないで欲しい。 思春期の少女たちの思い詰めた一途さ、本当の痛みを知らないが故の残酷さ、誰にも明かせない内面の揺らぎと外に向けたツッパリと、誰かと繋がりたい手と…… 誰もが通り過ぎてきたあの季節だけがもつ感覚を描いた作品。 監督は本作が初監督作となるセリーヌ・シアマ。 29歳。 フランス文学の修士号を取得した後、フェミス映画学校の脚本コースに学び、卒業制作として執筆した脚本がコンクールで最優秀脚本賞を受賞、それまで監督の経験がまったくないながら「この世界観をいちばん理解している君なら」と強く薦められ、自らメガホンを取った作品。 セザール賞受賞式で大女優ジャンヌ・モローも絶賛したという。2007年カンヌ国際映画祭“ある視点”部門正式出品作品。 大阪ではモーニングとレイトだけの上映という扱いは、なんとも残念。 でもこんな作品にであうと、映画界でも若く素晴らしい感性をもった作家達が生まれていることに、嬉しさを感じる。 しかし、フランスの少女たちの伸びやかな肢体の美しさ! 監督: セリーヌ・シアマ 製作: ベネディクト・クーヴルール/ジェローム・ドプフェール 脚本: セリーヌ・シアマ 撮影: クリステル・フルニエ 音楽: パラ・ワン 出演: ポーリーヌ・アキュアール/アデル・エネル/ルイーズ・ブラシェール/ワラン・ジャッカン フランソワ
by mchouette
| 2008-07-23 00:00
| ■映画
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