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DEVILS ON THE DOORSTEP
鬼子來了 2000年/中国/140分 第二次世界大戦下の1945年。中国華北地方の万里の長城にほど近い村に住む青年・マーの元に、ある夜、一人の男が現れ彼を銃で脅しながら2つの麻袋を預かるようにと言って立ち去った。その麻袋には日本兵と中国人の通訳が入っていた。日本軍が占領するこの村でひょんなことから日本兵を匿うことになってしまった村人の困惑と、日本兵との奇妙な交流そして悲劇…… 原題『鬼子來了』の「鬼子」とは、外からやってくる悪しきものの意味で、外国人に対する憎悪をこめた呼称として使われている言葉。 先日、「徹子の部屋」に出演した香川照之が、この映画によって、今まで違う方向に向いていた僕をグイと180度方向転換させてくれたと語っていた。そして今は後戻りしながら歩いていると…… 香川照之にとって、「鬼が来た!」はそれ以降の役者としての彼を大きく左右させるほどの作品だったのだろう。 ![]() 本作の監督であり、脚本を書き、そして村の青年マー・ターサンを演じた姜文(チアン・ウェン)。 「芙蓉鎮」 (1987)「紅いコーリャン」(1987)でそれぞれに見せた顔とは全く違う素朴で善良なマー青年を演じており、その彼が香川照之が演じる花屋小三郎が振りおろす日本刀で首をはねられようとする瞬間にぐいと香川の方を向いて見せた表情には、「ゆれる」でみせた香川のあの無言の演技と迫力に重なるものがある。本作でも彼の役者としての演技力を存分に見せてもらった。 そして本作はそんなチアン・ウェンにとっては監督2作目となる作品となる。 第1回監督作品である「太陽の少年」は、1995年米TIME誌年間ベスト1に選出され、主演の夏雨(シア・ユイ)は1994年ヴェネチア国際映画祭で最年少の主演男優賞を受賞しており、監督としての手腕も大いに伺える映画人だ。 「太陽の少年」をスクリーンで観た時は、これが中国映画かと思うほど、今までの中国映画の印象を覆すほどの鮮烈な印象を受けた。その彼が2作目で撮った「鬼が来た!」は、あの瑞々しい「太陽の少年」と同じ監督かと思うほど、骨太で、地べたを這いずり回ってでも生き延びようとする生命力と、極限の中でとことん人間を描きつくそうとするエネルギーに満ちた作品だ。 しかし、「鬼が来た!」がみせる悲劇と喜劇が激しくぶつかり合った人間たちの狂騒ドラマの底流に流れる、大地に生きる者たちの逞しさとユーモラスな味は「太陽の少年」にも通じるものがある。 そして花屋小三郎に刎ねられたマーの首が、地面に落ちながら見るこの世の光景をゆっくりと映し出す。そして、ここで全編モノクロだった映像がカラー映像に変わる。 ユーモア溢れるシニカルな視点と卓抜した映像表現! 地面に転がったマーの首。徹底して手綱をゆるめず最期の最期まで人間の性を描きだしたチアン・ウェンの強い精神力と時代に対する強烈な拘りが彼にはあるのだろう。 「過去の経験をよくつかまえて、つけるべき落とし前はつけていただきたい」 初監督作品である「太陽の少年」について彼が対談の中で語っていた言葉だ。 軍艦マーチが高らかに演奏される中で、村人、麻袋に入れられて村に放り込まれた日本人兵士、村に駐留する日本海軍、そして日本陸軍、最期には中国国民党までが登場するという、戦争の様相を全てを、中国のとある小さな村にぶち込んでかき混ぜて、戦争の正体、人間の本性を見事に描いてみせた「鬼が来た!」 エミール・クストリッツァの「アンダー・グラウンド」を彷彿とさせるような狂騒と悲哀とユーモアに満ちていて、いや本作の方が、さらにもっと生々しく戦争を、そして人間というものの実態に肉薄し抉っているだろう。 姜文(チアン・ウェン)…… 彼が出ている作品は、幾つか観ていたけれどそれほど印象を持っては見ていなかったけれど、「太陽の少年」そして本作「鬼が来た!」と監督として手掛けた作品に、それぞれ違った衝撃を受け、改めて役者としての彼をみてみると、その演技の幅は実に広く様々な役に取り組んでおり、本作「鬼が来た!」で彼が演じた村人マー・ターサンでは、役者としてのまた新しい面をみせてくれた。 姜文(チアン・ウェン)は本作では製作・監督・脚本・出演をこなしている。 1963年生まれの彼は、1965年生まれの香川照之とは2歳違いのほぼ同年齢。 香川にとっても本作の出演とともに、姜文(チアン・ウェン)という人間の出会いも大きな刺激だったのではないだろうか。 今回、CS放映されていて劇場でみて以来の鑑賞だったが、改めて姜文(チアン・ウェン)が歴史を掘り起こし、その中で本作にこめた思いが伝わってくる。 ![]() 本作について姜文(チアン・ウェン)がインタビューに答えている言葉から一部抜粋して彼の思いを伝えたい。 「死や危険が迫った時、人間はどのように反応し行動するかということでした。社会状況が異なっても、人間のそうした行動は現代人にも相通じるのではないでしょうか。確かに戦争は、私の興味を最も明確に具現化してくれます。しかし私が描く人間の行動は、今日の社会にも常に見受けられるものなのです。これほど重く意味深い歴史に対し、西洋ではありとあらゆる理論・考察が掲げられますが、中国では政権が代わるごとに論説も変わるのです。例えば80年代、南京大虐殺は誰も口にしない、口にすることを禁じられた話題でした。私は文化大革命の間に生まれましたが、全ての政治的言説に疑問を投げかけることを学びました。正しいと語られることを、同世代の誰もが懐疑的な態度で聞いていました。 そのことから私は歴史的事実を目のあたりにした証人達の言葉を集めたいと思いました。史料を探すため日本まで足を運び、戦争を戦った何人もの元日本兵にインタビューをしました。また日本軍に徴兵された中国人にも会いました。彼らが私に語った全ての話は生々しい真実の一端で、私が表現するに及ばないものです。例えば日本兵が捕虜の首をまとめて斬り落とすくだりを、ある老人がこう語ってくれました。斬り落とされた頭は、まだ跪いている捕虜の足元に転がり、その捕虜に強烈な一撃が加えられると体は前に倒れ、先程の頭が今度は地面に横たわった膝の間に残っていた、と。こうした場面は、緻密に証言を取らない限り脚本には書けません。」 監督: チアン・ウェン 製作: チアン・ウェン 脚本: チアン・ウェン/ユウ・フェンウェイ/シー・チェンチュアン/シュー・ピン/リウ・シン 撮影: クー・チャンウェイ 音楽: リウ・シン/リー・ハイイン/ツイ・ジェン 出演: チアン・ウェン/香川照之/チアン・ホンポー/ユエン・ティン/ツォン・チーチュン/チェン・シュー/澤田謙也/宮路佳具/長野克弘/デヴィッド・ウー/
by mchouette
| 2008-06-12 00:00
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