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DU LEVANDE
NOUS, LES VIVANTS 2007年/スウェーデン・ドイツ・フランス・デンマーク・ノルウェー/94分/R-15 at:梅田ガーデンシネマ スウェーデンのロイ・アンダーソン監督の7年ぶりの新作とのこと。 北欧のとある街の住人たちの、とある日常の一コマを描いた作品。 この監督の作品は本作が初めて。 聞けば、ロイ・アンダーソン監督はカンヌの国際広告祭で8度のグランプリに輝いているCF界の巨匠とか……。 殆んどがワンシーン、ワンテイクで切り取られた、そんな彼らの日常の一コマが、それぞれになにやら妙にユーモラスな味わいがある映像も肯ける。 登場人物たちは、精神科医をのぞいては監督やスタッフたちが路上や街中でスカウトした人たちばかりというのもまた面白い。 別段、登場する彼らがどこかで絡み合ってある物語が紡ぎだされるというわけでもなく、日常の断片がなんの脈絡もなく(という風に思える)映しだされる。 ……北欧のとある街のちょっとおかしな住人たち。隣のリビングをのぞいてみれば愛おしい人生たちがあふれ出す。本作ではこんなコピーで語られているけれど、もう一歩突っ込めば鋭い人間観察に満ちていて、温かい眼差しの中に結構ブラックも効いた作品だ。 登場人物達は別段風変わりな人間たちではなくって、ちょっとデフォルメされて描かれているだけで、どこの街にもいる普通の人たち。私やあなた。「愛おしき隣人」 ![]() 例えば登場人物たちの一コマ…… …爆撃機が襲来する悪夢に飛び起きてしまった男。 …自分は誰からも愛されていないと思いこんでいる女。 …ロックバンドのギターリストと結婚する夢を見る女の子。 …夫に「クソばばぁ」と罵られたと、生徒の前で泣き出す女性教師。 …妻に「クソばばぁ」と言ってしまったと、客の前で落ち込む男性店員。 …セックスの真っ最中の全く噛み合わない夫婦…妻は没頭し、夫は財テクの話を訥々と喋っている。 …しらけた場を何とかしなければと、やったことのないテーブルクロス抜きに失敗し、裁判にかけられ死刑判決をうけてしまう男。「これも人生さ」。 …人生に不満だらけの患者たちの話を27年間聞き続け身心ともにボロボロの精神科医。 「彼らは要求しすぎだ。私の人生も辛いんだ」。 …チューバを吹く男と、やかましいと怒鳴る妻。 …自分を売り込む大事な会議に気合を入れて臨んだけれど、役員の突然死で会議は中断、ご破算になってしまった不幸な男。 そして、こんな彼らが住んでいる北欧のとある街の通りをブラスバンドが行進する。 この音楽も妙にユーモラスなメロディ。 そして、こんな彼らが集るとあるバー。 閉店前になるとバーテンダーは「ラストオーダーだよ。また明日があるよ!」と叫ぶ。 昨日は昨日、今日は今日で涙も笑いも嘆きもラストにしよう。 また明日にゃ明日の風が吹く……と、こんなケ・セラ、セラといった明るいムードではなく、あくまでもトーンは太陽の光が少ない北欧ムード。緩やかモード。 ![]() 北欧映画って、例えばフィンランドのアキ・カウリスマキ監督の作品とか、ノルウェーのベント・ハーメル監督「キッチン・ストーリー」とかにも共通するような、北欧時間というか、独特のリズムが作品に流れている。 本作も然り。 そして本作にいたっては、どっか片足踏み外して乗り切れない不器用さといおうか、ちょっと考えてしまって半歩テンポがずれてしまった間の悪さといおうか、そんなユーモラスな独特のリズムが流れている。 だから、観る人にとっては眠気を誘う映像かもしれないし、ここから何かストーリーを引っ張り出したがったり、何か意味を見出そうする人にとっては「なんじゃ、これは?!」という反応になるかもしれないけれど、なんか好きだな、私は。 そしてラスト。そんな彼らが暮らしているこの街の上空を飛行機が隊列をなしてゆっくりと雲間を飛んでいる。 「これは何だ?」ってピンとこない間にエンドクレジット……。 この間合いもなんだか妙にずれていて、思わず笑ってしまう。 あとでパンフレットを見ると、これは爆撃機の一群だった。 それでか! ソファーで寝ていた男が突然ガバッと起きて「悪夢だ!爆撃機が襲撃した夢を見た!」という冒頭シーンに繋がるんだと、私もすっかりこの映画の北欧モードになってしまい、観終わってから気がついた。 「ラストオーダーだよ。また明日があるよ!」 「愛おしき隣人」たちの時間が、今日、この時で終ることがないように……! ……………………………………………………………………… 北欧映画って 例えばスウェーデン映画だと…… 「サラバンド」を遺作に先ごろ他界されたイングマール・ベルイマン監督。 「私は好奇心の強い女」のヴィクトル・シェーストレム監督。 「マイライフ・アズ・ア・ドッグ」「やかまし村の子どもたち」「やかまし村の春・夏・秋・冬」のラッセ・ハルストレム監督。 スウェーデンのコミューンを皮肉交じりに描いた「エヴァとステファンとすてきな家族」や人身売買をテーマにその悲劇を描いた「リリア 4-ever」のルーカス・ムーディソン監督。 スカンジナビア諸国では…… デンマーク出身のラース・フォン・トリアー監督。 ノルウェーでは「キッチン・ストーリー」 のベント・ハーメル監督。 人形アニメ「ピンチクリフグランプリ」のイヴォ・カプリノ監督。 そして隣接するフィンランドではアキ・カウリスマキ監督。 こうやって見ると北欧の映画作家って、個性的でそれぞれにこだわりと鋭い視線でもって、けっして声高ではなく、むしろ深く静かに鋭く映画を撮ってる方が多い。北欧の過酷な自然がそうさせるのか、直射日光の強い光ではなくって、薄靄のかかった柔らかさと温かさがあり、不思議な落ち着きのある作品となっている。本作ロイ・アンダーソン監督も然り。 ハリウッドやヨーロッパ作品とは一味違い、一クセある作品だが、妙にはまるツボがあるのも北欧映画。 ……………………………………………………………………… ロイ・アンダーソン監督は、1943年生まれ。1969年に初監督作品「スウェーディッシュ・ラブ・ストーリー」で話題をさらい同年のベルリン国際映祭で4つの賞を受賞したけれど、1975年の「Giliap」が失敗に終わり、その後約20年間、監督業から離れるていたそうだ。そして1996年「散歩する惑星」から再び活動を始め、2000年のカンヌ国際映画祭で審査員特別賞を受賞した。復帰作となったこの作品は批評家達からも高い評価を得、ゴールデン・ビートル賞において最優秀作品賞など5部門を受賞したそうだ。そして本作「愛おしき隣人」はそんなアンダーソン監督の7年ぶりの新作。 今回、監督のデビュー作「スウェーディッシュ・ラブ・ストーリー」も同時上映されていたけれど、こちらの方は時間が合わず観れなかった。 監督: ロイ・アンダーソン 製作: ペルニラ・サンドストレーム 脚本: ロイ・アンダーソン 撮影: グスタフ・ダニエルソン 音楽: ベニー・アンダーソン 出演: ジェシカ・ルンドベリ/エリック・ベックマン/エリザベート・ヘランダー/ビヨルン・エングルンド
by mchouette
| 2008-05-24 00:00
| ■映画
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