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2007年/日本・中国/123分
監督: 李纓 撮影: 堀田泰寛/李纓 編集: 大重裕二 / 李纓 at:第七藝術劇場 「見るのがつらいラブレターかもしれないが、これが私の愛の形だ」 本作について、監督である李纓(リ・イン)は語っている。 本作で李纓監督は一切何も語っていない。 ただ、私たちに靖国神社を舞台にした様々なドラマをカメラは淡々と映し出している。 李纓(リ・イン)監督とスタッフ達の10年に及ぶ取材記録をもとに作られたドキュメンタリー映画「靖国」。 日本人として知るべき映像だと思う。 李纓監督は、日本の歴史に中で、日本人が知らされていない、いや語ろうとしなかったことを、そして日本人として知っておかなくてはならないことを、そして彼自身も避けては通れない問題として、とてもセンシティブな感覚で、この映像を私に見せてくれた。 日本人にとっては、歴史を語る上で貴重な証言だ。 私たちが向き合って、知るべき日本、日本人の姿がある。 靖国神社で靖国刀の刀匠である刈谷直治に話しかけているシーンで李の肉声が聞ける。包容力を感じさせる柔らかで静かな声で、彼は刈谷老人に話しかけている。そして、彼の問いに対し、どう言葉にして語ればと考えあぐねる刈谷老人の沈黙の時間をカメラは静かに見つめている。 静かな映像だ。 日本人として、私はこの映画を単なる作品としては見れない思いで、10日付けで「『靖国YASUKUNI』そして、あの戦争は何だったのか…」という記事を書き、この映画を公開初日である昨日、第七芸術劇場に観にいった。 あの戦争は何だったのか? 靖国神社とはどのような場所なのか? 首相の靖国神社への参拝に対する大日本帝国時代に日本軍の植民地であった国々からからのあれほどの糾弾は何なのか? これら、私の中にあったこれらの問いかけが、この映像によって一つの焦点となって結び重なった。 そんな思いを見終わった後、強く感じた。 以前「ほんとうは日本に憧れる中国人~『反日感情』の深層分析」というPHP新書を読んだ。 日本人として知らなかったこと。 日本人として知るべきこと。 日本の歴史を語るとき、そして第二次大戦を語るとき、戦争の悲劇を語るとき、この映像を抜きにしては語りえないだろうと思う。 そして、あの戦争に日本が突進んでいったあの空気が、あの論理が、この靖国神社の中には今も根強く濃厚に息づき、あの戦争を肯定し、そして戦争で死んでいった人たちを美化し戦争責任を精神論にすり替えていった、そして現在に至っているということ。戦争責任という言葉とは全く無縁の世界があるということ。 あの戦争は何だったか! これが、あの戦争に突き進ませた、あの時の日本人の姿なのか! 現実を美意識と精神論に摩り替える欺瞞性! 映像を見ていて、震えと吐き気を覚え、時として涙がこみ上げるときもあった。 7回も靖国を訪れ、日本統治下の台湾で高砂義勇兵として結成された台湾人たちの魂の返還を求める台湾国会議員の高金素梅。 北朝鮮の拉致事件を糾弾するのと同様の思いで、台湾人は日本軍として戦場に狩り出され戦死した魂を靖国から台湾につれて帰りたいと請願する。対応にでた靖国側の対応には誠意すら感じられないものに、私は高金素梅と同じ憤りを覚える。 浄土真宗の僧侶である菅原龍憲は、前住職であった父の合祀取り下げを求める。寺の仏間に彼は、父であり僧侶であった前住職の軍服姿の写真を飾っている。命の尊厳を説く僧侶も戦争に狩り出したいう事実がある。理不尽に駆出され、戦死した遺族は怒りを国にぶつけたいが、その国から名誉の戦死と褒め称えられ勲章を与えられ、遺族の思いは行き所を失う。勲章贈与は、国の戦争責任を問われない形で、遺族たちに文句を言わせないという機能を果たしている。」とその倒錯の構造を語る。 その体現がまさに靖国神社であるということを、私はこの映像で思い知る。 そして8月15日になると、靖国神社の境内で繰り広げられる異様ともいえる様々な祝祭のドラマの喧騒の陰で、現役最期の刀匠である90歳、刈谷直治が鍛治場で一人黙々と刀を手鍛錬する空間、李纓監督の取材を受ける空間はどこまでも穏やかで静かな時間だ。 ![]() 「見るのがつらいラブレターかもしれないが、これが私の愛の形だ」 と語る李纓監督の言葉が切実に胸に刻まれる作品だ。 大阪で本作作を公開上映している第七芸術劇場は一館だけで定員96席で立ち見を含め収容数は140名の小さな劇場だ。10日からの公開で16日までは2回、17日~23日までは3回、以降も時間変更して続映の予定だ。私は5月10日の初回上映9:30の回を見るために同劇場にいったが、6階にある劇場は既に立見が出ていて、急遽4階でもプロジェクト放映で公開され、私はプロジェクト放映で鑑賞した。
by mchouette
| 2008-05-11 10:09
| ■映画
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