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宮部みゆきさんの「贈る物語Terror」の中のCoffeeBreakのコーナーで紹介されていた映画「妖精たちの森」。
この「贈る物語Terror」は海外の短編恐怖小説から、宮部さんが若い頃から読み続け、これぞと思う、宮部さんも大好きな作品を選んだアンソロジー。 宮部みゆきさんの作品は大好きで、この本も数年前に読んだのですが、またまた引っ張り出して読んで、今回この映画を観ることになったのですが、何ゆえ、またまた引っ張り出してきたかというと、映画の中のイケメン談義も楽しいブログ「おばさんは熱しやすく涙もろい」のdimさんが、この本の中の一編デイヴィッド・マレル原作の「オレンジは苦悩、ブルーは狂気」を紹介されていて、この本の中のマイヤーズなる青年。彼は狂気の画家ファン・ドールンの秘密解明に魅入られ狂気と苦悩のうちに自ら命を絶つのですが、そのマイヤーズの姿と俳優のポール・ベタニーが重なって……という楽しい(?)記事を読み、またもや読みたくなって書棚から、となりました。 ![]() 宮部さんは、この映画「妖精たちの森」を高校生の時にテレビ映画劇場で観たそうです。タイトルだけ観るとロマンティックな感じがし、そのつもりで観たそうですが、 「タイトルとは裏腹の不気味な話で、男女の絡みがどろどろしていて、背徳の香りがするっていうんですか、愛欲のなんたらかんたらが漂うっていうんですか。二十数年前の女子高生は当惑しちゃったわけです。可愛い『妖精たち』なんて、どこにも出てきやしない。」というわけで、何じゃコレは?という感想だけですぐに忘れてしまったそうですが、数年前にある本と出会い、あっと声をあげて膝を打ち、「妖精たちの森」とはこういう話だったのかと納得して、目の前が晴れたそうです。 その本とはヘンリー・ジェイムズの「ねじの回転」。 1961年に映画化され邦題は「回転」。映画化にあたって脚色にはトルーマン・カポーティ、ヒッチコックの「私は告白する」の脚本を手がけたウィリアム・アーチボルドらが参加している。 allcinemaから引用すると「郊外の屋敷で暮らす幼い兄妹の元に家庭教師として訪れた女性は、そこで男女の幽霊を目撃する。やがて彼女は幽霊と子供たちの恐ろしい関係に気がつくが……。」といったお話。 そしてこの前日談を描いたのが映画「妖精たちの森」。 「ねじの回転」そして映画「回転」で登場する男女の幽霊とは何者なのか? そして屋敷の二人の子供たちとどういう関係があるのか? 「ねじの回転」に遡って創られた物語が「妖精たちの森」。 そして、この映画に出ているマーロン・ブランドを宮部さんは絶賛されている。 「それにしても、このころのマーロン・ブランドは良かったなぁ。『ラストタンゴ・イン・パリ』をきっかけに、名優・怪優として名を馳せる以前、『妖精たちの森』だけでなく、『蛇皮の服を着た男』(←私は未見)とか『波止場』のころのこの人には、『かろうじて知性でコントロールされている粗暴』という、言うに言われぬ妖しい魅力がありました。こればかりは、デ・ニーロやケヴィン・スペイシーが束になってもかなわない。」とまぁ、さすがに文筆を生業にされている方だけあってマーロン・ブランドの魅力を見事に表現されている。 そして私は、こんな宮部さんの文章を読んでは、この映画観ずにはおれなくなります。 宮部さんのアドバイスに従い、まずヘンリー・ジェイムズ「ねじの回転」を読み始めました。19世紀半ば、イギリスの田舎にある屋敷にやってきた家庭教師の前に天使のような美しい純真無垢な兄と妹。そして屋敷にいるはずのない男女の姿。男はこの屋敷にいた使用人、女は前任の家庭教師で、彼らはすでに死んでいる。そして子供たちの純真無垢な中に匂う秘密めいたもの……。 原作を半分ほど読んだところで辛抱堪らず、映画「回転」を観ました。 原題は「The Innocents」 1961年製作のモノクロ映像。 監督: ジャック・クレイトン 家庭教師にはデボラ・カー。そして子供たちが原作の雰囲気そのままの本当に天使のような子供たち。19世紀のイギリスの風景も衣装も美しく……。そして子供たちが、その純真無垢さで家庭教師の不審感を巧みにはぐらかせていく様など、子役二人の演技には驚かされる。そして物語が進むにつれて、子供たちの無邪気さの下からちらちらとのぞく得体の知れないもの。この子たちは何を考えているの? どこまで知っているの? 幽霊の男女と絡む何かに、事の真相は? と家庭教師のデボラ・カーに寄り添って、ドキドキしながら観ていた。 上手いなぁと思うのが、家庭教師と子供たちの絡み。子供たちの無垢さと純真さの裏に隠されたものが滲み出てくる演技。子供たちは本当に美しい子役たちだけれど、その美しさがだんだんと不気味に思えてくる。少年にとりついた男の亡霊から少年を救い出そうとするデボラ・カー、そして少年の必死の演技。恐ろしいというよりも、男女の愛欲の犠牲になってしまう子供たちが哀れ。安心して観れる恐怖映画といったとこでしょうか。 この作品は1992年に「ホワイト・ナイト・メア」というタイトルでリメイクされているけれど、日本では劇場未公開でビデオ発売さているみたい。出演者にジュリアン・サンズの名前もあるけれど、どんな役なんだろう。 ![]() そして「妖精たちの森」 原題は「The NightComers」 1971年製作で、こちらはカラー作品。 監督: マイケル・ウィナー こちらは「回転」では幽霊となっている男女が生きている頃の物語。 20世紀初頭のイギリス。静かな田園地帯にある大邸宅。邸宅には事故で両親を亡くした幼い姉弟が住んでいた。他に彼らの家庭教師の女性、無学で粗暴な使用人クイント、そして家政婦の女性。このクイント役に宮部さんが賞賛されているマーロン・ブランド。 建前と礼儀で動く大人たちの中にあって、クイントの粗野で野放図さは子供たちには、見てはいけない世界も見せてくれる実に魅力的な存在であった。 クイントの影響を受け、子供たちの善悪の針がどんどん歪められていき、そしてそれはブーメランのようにクイントに戻っていくのだけれど。 後半になると惚れた女に会えぬウジウジさでクリントはしょぼくれてしまうのがちょっと残念だけれど、それと入れ替わるように子供たちが自分たちで動き始め、クリントと子供たちの力関係が逆転する……。 宮部さんではないけれど、この作品のマーロン・ブランド。子供のもつストレートな無邪気さと奔放さと、そして男のぎらぎらした性的魅力をムンムンとさせ、落ちぶれた役もできる男は、やはりマーロン・ブランドをおいて他にいないだろう。この役は、現在の役者を見渡してもちょっといないんではないかしらと思う。 この翌年には「ゴッドファーザー」のドン・コルレオーネを演じたのだから、あらためて重厚なコルレオーネ役では彼がいかに演技に腐心したかがよく分かる。 ![]() 「回転」では子供たちの美しさと純真無垢な下から匂ってくる得体の知れないものに空恐ろしさを感じ、そして「妖精たちの森」では、子供の純真な一途さが暴走した果ての恐さに背筋が寒くなる。ここでも子供たちの演技が光っている。 作品的にはそれほど深みのある作品というほどでもないけれど、暴力的でボルテージばかりがあがる最近の恐怖映画とは違う、こんなじっくりと心理面でドキドキする映画もまた面白い。 もし観られるのなら「回転」それから、前日談である「妖精たちの森」と遡って観たほうがより面白いと思う。 それから、この映画2つ観ていて思い出したのが、子供の頃テレビの前でドキドキしながら見ていた「世にも不思議な物語」。気味の悪いテーマ曲と、砂丘の向こうへ続いて行く足跡と、ストーリーテラーであるジョン・ニューランドの淡々とした語り口。かなり長く続いたと記憶している。「ミステリー・ゾーン」とか「トワイライト・ゾーン」なんかの元祖ともいえるアンソロジー。今観てもきっと怖いと思う。でも最近のホラー・恐怖作品に比べると、怖さの中に情緒(って言い方も変だけど)があって、じっくりと引き込むように、その世界に連れて行ってくれたなぁって思う。
by mchouette
| 2008-05-08 00:00
| ■映画
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