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CAMELOT
1967年/アメリカ/182分 アーサー王と王妃グィネヴィア、騎士ランスロット卿の物語を描いた映画。 タイトルのキャメロット(Camelot)とは、アーサー王の王国の名前。 アーサー王:King Arthur。 5世紀から6世紀ごろのイングランドの伝説的な王であり、英雄でもあり、聖剣エクスカリバーとか円卓の騎士とか聖杯伝説なども交えて、よその国の物語といえども、白馬にまたがった騎士の姿などは、日本の鎧兜の武士道と違ったカッコよさがあって、ミーハー的にワクワクするところがある。映画公開された「トリスタンとイゾルデ」などもこの中に盛り込まれているお話。 でも本作は劇場公開時には、こういう物語に興味持つには年齢的に若すぎたんでしょう。観ていない。 先日記事アップした「エリザベス ゴールデンエイジ」で、ローリー卿演じたクライヴ・ウォーエンがなかなか素敵で、彼はよくよく考えたらイギリス人で映画「キング・アーサー」でばアーサー王を演じていた。けど、この映画は私は途中からちょっとずっこけてしまった。そんな話から「キング・アーサーはやはり『キャメロット』」って教えてもらって観た作品。 ミュージカル仕立てで、182分という長さなど全く気にならないほど楽しくって思わず笑ってしまう場面などもあるのだけれど、王とはなんと孤独な存在なのかも切々と伝わってきて、アーサーの苦悩や葛藤、アーサーやランスロットに流れている気高き騎士道精神、アーサーとグィネヴィア、ランスロットそれぞれの内面などもきちんと描かれている。軽やかで遊び心満載でありながらも、数世紀にもわたって人々の中に生き続けているアーサー王と彼にまつわる物語としての重厚さを損ねることなく、数多あるアーサー王伝説を巧みに取り入れ、伝説の王キング・アーサーその人と騎士道の悲劇を見事に謳いあげた一大叙事詩に仕上がっている。 「なぜ?何が間違っていた?」 平和のために新たな騎士道を作り上げようとした「円卓の騎士」、それも陰謀により最愛のランスロットと刃を交えなければならないことになってしまった己を責めるイングランド王アーサーの苦悩で始まり、そして、ラストは、戦に加わろうとアーサーの前に現われた少年に向って「生き延びよ。そして人々に伝えてくれ、かつてここにあった平和の楽園キャメロットと騎士達のことを!」と叫ぶ。 蒼い闇にほとんどシルエットに近いアーサー王の映像は感動的で余韻の残るラスト。 ミュージカル劇だけれど、全編歌でというわけではなく、更に場面を盛り上げるシーンは歌を、シリアスな場面では台詞をという風にドラマの明暗を際立たせていて、さらにドラマティックに物語が進んでいく。 1960年代ハリウッドという大輪の花の成熟した姿が、この映画から感じとれるような作品。 この映像のスケールとセットと衣装の豪華さ。これは絶対にスクリーンで観るべき映画。スクリーンで観たかった映画。 ハリウッドのスタジオ内に作られたというキャメロットのセット。 ランスロットの爵位式の場面などは荘厳だし、王位を狙う陰謀によって円卓の騎士達に亀裂が入り、馬に乗った騎士達が暴れまわり、円卓が真っ二つに割れたりするシーンなどは撮影はどうしたんだろうと思うほど。 衣装や調度品も全て作り上げたという。 早速に私よりももっと映画早熟少年少女だった友人に「記憶にある?観た?」ってメールしたら、映画早熟少女だったMちゃんから即返事「見てないけど知ってる。何でフランコ・ネロがミュージカル?って思った。」って。この頃って、作品で観るより、好きな俳優が出てるから観てるからって、そんな基準で選んでいた頃。彼女は当時の映画雑誌「スクリーン」いまだに大事にもっている人。メールした翌日、彼女の勤務している会社まで当時のスクリーンを受け取りに仕事帰りにいそいそと……。翌日に即持ってきた彼女も彼女なら、即借りに行った私も私。会社の受付コーナーでお互い笑いあってしまった。もう一人映画早熟少年のS君は夜遅くのメール「記憶にないけど、67年製作だったら観てるはず<さすが!>。保存しているパンフレット確認してみる。記憶がとんでいるだけで、観ていてパンフあったら思い出すかも」って。仕事忙しいのにありがとうです。 40年前の作品。 当たり前だけれど俳優達の若さに驚く。 アーサー王を演じたのはアイルランド生まれのリチャード・ハリス。惜しくも2002年72歳でこの世を去っている。 ハリーポッターシリーズの魔法学校のタンブルドア校長<まさに適役!>がスクリーンでみた彼の最後の姿。「モンテ・クリスト伯」(2002)では牢獄でエドモンドに学問や武術を教えるファリア神父、「グラディエーター」(2000)では皇帝アウレリウスなど深みのある演技が光っていた。本作で飄々としたシーンなどでは「潮風とベーコンサンドとヘミングウェイ」(1993)の彼を思い出した。 この軽重混在カラフルな作品で下手するとブレンドしすぎて迷彩模様になるところを、伝説の英雄アーサー王ではなく、血肉の通った一人の人間のドラマとして、きっかりと描きあげているのは、脚本と監督の演出手腕によるところも大きいだろうけれど、後年貴重なバイプレイヤーとして存在感をみせる、そんな彼の幅のある演技力によるところもまた大きいだろうと思う。そして王妃グィネヴィアを演じたヴァネッサ・レッドグレーヴ。 最近作では、これは劇場でみたものの、どう受け止めていいやら考えあぐねてしまった「いつか眠りにつく前に」(2007)クレア・デインズ演じたアンの晩年を演じ、かつて親友だったメリル・ストリープとベッドで二人寄り添う姿がとても印象的だった。「つぐない」 (2007)でも老年のブライオニーを演じていて、40年前の彼女をみると、以後いくつかの波乱万丈があっただろうが、人間的に美しく年齢を重ねてきたなって思わせる落ち着いた味わいを感じる。 そしてフランスの勇者ランスロット演じるフランコ・ネロ。 友人が「なんでネロが、ミュージカル?」っていうぐらい、私たちの中でのフランコ・ネロといえばセルジオ・コルブッチのマカロニ・ウェスタン「続・荒野の用心棒」で棺桶を引きずる早撃ちガンマン「ジャンゴ」!のイメージ。 そのフランコ・ネロが「気高き騎士、騎士の中の騎士。それは私。自分で言うのも恥ずかしいが、それは私。セ・モア!セ・モア!」と騎士道一途、自分にのめりこんだ自画自賛で、瞳に星を輝かせ、朗々と謳いあげるシーンには思わず笑ってしまい、砂埃舞う町をどんな顔して棺桶引きずって歩いていたか、そんなジャンゴの顔などどこかに吹っ飛んでしまうほどのインパクトある登場。涙を流しジッと王妃を見つめるシーン、初めて恋を知り夢みる少年の瞳で月を眺めたり、許されぬ恋に苦悩し、敵味方に分かれるともアーサーに対する忠誠心を持ち続ける高潔の騎士ランスロットってジャンゴより適役かも。この時27歳だったんですね。 そして友人に借りた1968年1月号の「スクリーン」を読むと、もともと2年半873回の続演公演記録をもつブロードウェイ・ミュージカルの映画化だったんですね。 舞台ではアーサー王にリチャード・バートンで彼の当たり役となったそうだ。王妃グィネヴィアは歌唱力のあるジュリィ・アンドリュース、そしてランスロットにロバート・グーレ(知らん)というキャストだったそうだ。 リチャード・ハリスにとっては、ガタイのあるバートン演じるアーサー王のイメージが定着していただろうこの役を演じるにあたっては、随分とプレッシャーは大きかっただろうなと思う。そんなことを知らずに本作をみた私は、舞台見てないから分からないけれど、弱さもある人間味溢れた一人の人間としてのアーサー王が描かれている映画は、逆にとても魅力ある作品として受け止められた。 ちなみに、「スクリーン」で荻昌弘さんの映画鑑賞手引きというコーナーがあって、「公開される70ミリ三作品鑑賞手引き集」としてソ連映画「戦争と平和」(観にいった!) そして本作「キャメロット」、リズとバートン共演の「危険な旅路」の3本が紹介されていた。当時の私の関心は「戦争と平和」。リュードミラ・サヴェーリエワが小鹿のようだった。 監督: ジョシュア・ローガン 製作: ジャック・L・ワーナー 原作: アラン・ジェイ・ラーナー フレデリック・ロウ 脚本: アラン・ジェイ・ラーナー 撮影: リチャード・H・クライン 作詞: アラン・ジェイ・ラーナー 音楽: アルフレッド・ニューマン /フレデリック・ロウ/ケン・ダービー 出演: リチャード・ハリス フランコ・ネロ ヴァネッサ・レッドグレーヴ デヴィッド・ヘミングス ライオネル・ジェフリーズ ローレンス・ネイスミス
by mchouette
| 2008-04-25 00:00
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