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Perceval le gallois
1978年/フランス・イタリア・西ドイツ/136分 エリック・ロメール作品としては珍しい歴史物。日本ではイベント上映のみの幻の作品だとか。 中世フランス最大の物語作家クレティアン・ド・トロワによるアーサー王伝説を描いた「ペルスヴァルまたは聖杯の物語」を忠実に映画化した作品だそうだが、セットはプラスチック製の樹木や段ボールとベニヤ板の城など徹底的に様式化し、平板な画面作りで、映画のセットというよりも、簡易な舞台セットのような。中世の夢幻的なイメージを表現するためにロメール作品には珍しい特殊効果も用いられていて、かなリ気に入った映像でした。 台詞もそのままに、原作に極めて忠実に映画化したからだろうか。物語の語り部も、数人の合唱隊による歌や、登場人物に三人称で語らせるなどしており、映像といい演出といい、かなり異色な歴史作品といえるかもしれない。しかしリズミカルな展開はうまいなぁと今更ながら感心する。 物語は、森に母親と住む若者は、無恥で宮廷風の礼儀も何も知らずに育っていた。若者の名をペルスヴァルという。ところがある日、森に出向いた騎士に出会い、ペルスヴァルは自分も騎士になることを決意する。引き止める母を見捨て、アーサー王の宮殿にたどり着いた彼は、アーサー王に騎士にしてもらう。その後、ペルスヴァルは騎士としての教養と礼儀を身につけ、川の側で漁夫王の不思議な城へと向かう。そこで彼は、血の滴る槍と聖杯の行列を目にすることになるが、あれこれ聞いてはならない、という言い付けを守り、しなければならない質問をせずに城を出る。後に彼がこの城での失敗の意味を知ると、ペルスヴァル、アーサー王の甥ゴーヴァンはそれぞれ、聖杯探索の旅に出る。ゴーヴァンの冒険の途中で物語は終わっている。 原作が未完だったために、作品の物語も中断したように終わっているのが残念。これからペルスヴァルと、アーサー王の甥ゴーヴァンの二人がどのような旅を経験するのか、続きを見てみたいと思える作品。 中世への造詣が深いロメールは、中世の物語を写実的に描くのではなく、中世の世界観を表現しようとした作品だそうだが、世界観とまではいかずとも、中世ヨーロッパにおけるキリスト教、あるいは聖遺物への信仰といったことや、騎士道物語などが、シンプルで様式化された映像だからこそ、かえって分かりやすく読み取れて、なかなかに面白く見れた作品。 興行的には失敗だったそうだが、歴史物語を元に台詞なども抑揚を抑えた言い回しであっても、ロメール作品に一貫して流れる、リズムとでもいえる軽やかさは変わらず。見ていて段々と物語の世界に引き込まれる、その演出の手腕は見事といえる。 ロメール作品の常連が出演しているのも案外と楽しい。 監督: エリック・ロメール 製作: マルガレート・メネゴス/バルベ・シュローデル 原作: クレチアン・ド・トロワ 脚本: エリック・ロメール 撮影: ネストール・アルメンドロス 出演: ファブリス・ルキーニ アンドレ・デュソリエ マルク・エロー
by mchouette
| 2008-03-30 00:00
| ■映画
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