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L'amour L'apres-midi
制作:1972年 監督:エリック・ロメール 撮影: ネストール・アルメンドロス 出演:ベルナール・ヴェルレー /フランソワーズ・ヴェルレー/ズーズー /ダニエル・セカルディ ![]() 「六つの教訓物語」の完結篇。 一話、二話の主人公は大学生、三話、四話は独身の社会人、そして第五話「クレールの膝」は結婚を間近に控えた男性が主人公。そして話が進むにつれて男女の距離感もプラトニックから始まり、徐々に近づいてくる。そして本作は、結婚し子供が一人そして妻は2人目を妊娠中という既婚男性フレデリック。法律相談所を友人と共同経営し、聡明で美しい妻はリセの英語教師。 フレデリックはどちらかというと、自己主張するタイプではなく相手にあわすタイプの男性のようです。秘書にも丁寧だし、ちょっと気に入らなくても黙って飲み込んで、無下にノンとは言えないタイプ。そんなフレデリックは、家庭にも妻にも不満はなく、日々恙無く暮らしているんだけれど、精神的不感症傾向にあるみたい。妻のどこを愛したのか、どんな女性が美人なのか、自分が女性に惹かれる基準が分からなくなってしまったと独白している。 通勤電車の中や、カフェの窓越しに見える女性たちを見つめながら、彼女たちとアバンチュールな出会いを夢想する毎日。かといってそれ以上何をするわけでもない。いたってジェントルマンなフレデリック。 そんな夢想する女性たちに「六つの教訓物語」のヒロインたちを登場させているのも、完結篇らしい遊びで嬉しい。 今日もブティックに入り、買わないよといいながら、女店員に着てみるだけといわれ着てみて、お似合いだわといわれてワイシャツを買ってしまった。妻も、買ってきたワイシャツを着たフレデリックをみて素敵だわと褒めるような、良くできた妻。 そんなフレデリックの前に、友人の元恋人だったクロエが現われる。クロエはトラブルメーカーらしくって、男も仕事も転々と変えている女性。フレデリックの友人もクロエに貢いだ挙句、捨てられ自殺未遂までしている。フレデリックも表面はクロエを懐かしく受け入れ分かれるが、その後、頻繁にフレデリックの事務所を訪れ、あれこれと彼に一身上の依頼をしてくる。クロエもかつてはモデルもしていたほどだから魅力的な女性だ。友人との過去はあるものの、自分を頼ってくるクロエにフレデリックも男として悪い気はしない。 そのうちに次第にクロエペースで引きずられ、いつの間にか、フレデリックはクロエとなにやら特別な関係にあるような錯覚すら覚え、「愛している」という言葉まで口走り、挙句はクロエと妻と同時に愛せるかと自問し、クロエもクロエでフレデリックの愛を堂々と口にする。逢引めいた関係になっていく。しかしフレデリックも真面目な男。クロエとは身体の関係までは行っていないが、それも時間の問題で、フレデリックもそれも内心望んでいるのはありありで、背中をドンと押すきっかけを待っている状態。 クロエがフレデリックの心の隙をついて入り込んでいく様、フレデリックの翻弄されていく様などはなかなか興味深い。振り回されていることに腹も立つけれど、しょっちゅう連絡があったクロエから連絡がなければ、クロエの電話を待つようになる。人間の心理の隙を巧みについてるなって感心する。 人間って追い詰められると、他のメニューはなくって二者択一をする風に反応してしまうんですね。目の前にいる禁断の果実のクロエを手離すのは惜しいし、かといって妻をあいしているし、しかし禁断の果実は自分が手を伸ばさないと手に入らないし……となると、禁じられているがゆえに、誘惑の魅力にも抗えない。アダムとイブは禁断の果実を口にしたように…… そしてフレデリックはとうとう意を決してクロエの部屋を訪ねる…… ![]() そこからラストまで、ロメール監督は、本当に完結篇に素晴らしい愛の物語を紡ぐ人。 結局、フレデリックは、ベッドで全裸で横たわり彼をまつクロエの元をそっと出て行き、妻の元に戻るわけだけれど、何が彼を引き止めたのか、そして妻の元に戻ってからの二人のドラマが感動的。 第一話から第六話まで、愛に揺れ動き、時には弄び、翻弄され、躊躇い、禁断の実を求めたりする男性心理をユーモラスな視点でデリケートなまでに見事に描きだし、第六話では、ゆれ惑いながらも、一つの愛を確信し、そしてその愛を育んでいくことの大切さを教えてくれる。最後は夫と妻の物語で締めくくるあたりなんて、ロメール監督はやはり、愛を描き、愛を語り、愛を慈しむ人だわと、こんな作品をみるとつくづく思う
by mchouette
| 2008-03-24 00:00
| ■映画
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