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LE TROU
1960年/フランス/124分 23日付けでジョゼ・ジョヴァンニ監督の「父よ」の感想をあげたら、やはりこの作品も観たくなり、マイシネマ・コーナーから、いそいそと取り出した。 ジョゼ・ジョヴァンニ原作・ジャック・ベッケル監督「穴(LE TROU)」 ![]() パリの14区にあるサンテ刑務所において、1947年に実際に起きた脱獄事件を描いた作品。そして、この脱獄事件の実行犯の一人が、小説家、脚本家であり監督としても活躍していたジョゼ・ジョヴァンニその人。彼は死刑の判決をうける前の4年間の獄中生活で幾度も脱獄を企てており、その後、ジョヴァンニ自身が撮った「父よ」で彼自身が語っているように、父の尽力で罪が軽減され、出獄後1958年に自らの体験を小説にして発表。これが本作の原作となっている。この前に、ジャック・ベッケル監督は、新聞記事となっていたこの脱獄事件に興味をもち、記事を切り抜いておいたそうだ。そしてジョヴァンニという新人作家の小説「穴」を読むと、まさに切り抜いた記事の事件だったことから、映画化に着手したそうだ。 ベッケル監督は脱獄を企てる男たちに無名の俳優を起用し、ロラン(囚人番号42331)役のジャン・ケロディは、ジョヴァンニとともに実際の脱獄を企てた一人であるというのには驚く。そしてジョゼ・ジョヴァンニも脚本と監修として制作に関わったというから、実際の脱獄劇のリアルな再現ドラマといえるだろう。ジョゼ・ジョバンニ自身となる(囚人番号19286)マニュ役を演じたフィリップ・ルロワは、この後「黄金の七人」などに出演しスターとなり、(囚人番号13813)ジョー役のミシェル・コンスタンタンもフランス暗黒映画でなくてはならない存在となっている。 看守の定期的な巡回の時間をかいくぐって、監房の床に穴を開けて、地下水道からマンホールに通じるトンネルを掘るという脱獄の企て。死刑もしくは無期懲役ほどの重罪の未決囚たち必死の脱獄劇。 鏡を割って、その破片を歯ブラシの柄に結び付けて、ドアの鍵穴から潜望鏡として外の看守の様子を見張り、ベッドの鉄パイプでコンクリートを叩き割りながら掘り進む。、時間を計るため医務室から薬瓶を盗み出し、砂をいれて砂時計を作る。地下水道のドアの合鍵を作る。一分の気の緩みが発覚につながる。潜望鏡から見える看守の動き、コンクリートを叩き砕く音、鉄格子をヤスリで切り落とす音、看守の足音。クローズアップされる顔、眼。神経を研ぎ澄まし、彼らは穴を掘り続ける。 「穴」この一点にビームを絞り、映像は深く静かに潜行し、克明に描き出している。男たちの見事な連携プレーの中に彼らのドラマがある。 「父よ」でも、地下水道を走るモノクロシーンが挿入されていた。 そして、潜望鏡から観た衝撃の光景。一瞬にして打ち砕かれるラスト。 ストイックなまでの緊張感は、ラストまで緩むことなく見るものを引きつける。 ジャック・ベッケル監督の演出手腕は見事! 脱獄物の金字塔といっても過言ではないだろう。しかし、ジャック・ベッケル監督は、本作公開前の1960年2月に亡くなっており、この作品が遺作となっている。 この作品の骨太な渋さは、今みても、いぶし銀の如く鈍く光っている。 ![]() この後、マニュことジョゼ・ジョヴァンニは裁判で死刑の判決を受け、自殺防止のためクロスさせた腕に手錠をはめられ、足は鉄球のついた鎖で繋がれ、死刑囚達が送られる監獄で独房の日々を送る。そして、ここから父と息子の物語であるジョゼ・ジョヴァンニ自らが撮った「父よ」が始まる。そういう意味では「父よ」は「穴」の外伝とも言える作品でもあるだろう。 …………………………………………………………………… 本作はまた、フランスの刑務所内部の様子、囚人達の生活なども伺えて面白い。 映画で描かれている日本の刑務所と比べると、本作で描かれている囚人達はまだ未決囚ということもあるだろうが、監視下にあると言え、房内ではタバコを吸ったりと、自由に動いており、ユーモラスな場面なども描かれている。看守との間にも相通じ合う阿吽の関係もみえたりする。お国ぶりもあるのだろう。 「アメリカン・ヒストリーX」「25時」などで描かれているアメリカの刑務所、「蜘蛛女のキス」のブエノスアイレスの刑務所、「父の祈りを」のアイルランドの刑務所などなど。映画に描かれている各国の刑務所を見るのも、ちょっと興味深いかもしれない。 余談だけれど、ベッケル監督の息子ジャンは父の下で助監督として働いた後に監督としてデビューし、「クリクリのいた夏」「ピエロの赤い鼻」などを手がけている。 余談ついでに…… 脱獄を描いた物語として頭に浮かぶのは、ドイツ軍の捕虜収容所から連合軍捕虜の集団脱走を描いた「大脱走」(1963)、脱獄不可能といわれる悪魔島からの脱獄を描いたスティーブ・マックィーンとダスティン・ホフマン共演の「パピヨン」(1973)、ビリー・ワイルダー監督の「第十七捕虜収容所」(1953)も。 他に脱獄してからを描いたものとしてはロバート・アルトマンの「ボウイ&キーチ」(1974)、ジム・ジャームッシュの「ダウン・バイ・ロー」(1986)などがある。「手錠のままの脱獄」(1958)もあった。他には……考え中… そして、本作の作品情報をとallcinemaで「穴」で検索すると、5つも上がってきました。 ■1957年: 「穴」…市川崑監督作品。 ■1960年:本作「穴」原題「LE TROU」 ■2001年:「穴」原題「THE HOLE」…イギリスのパブリック・スクールから、4人の生徒が忽然と姿を消した…ソーラ・バーチ主演の作品。 ■2003年:「穴/HOLES」…未公開作品。砂漠の真ん中に建つ少年矯正施設を舞台にした作品で、シガーニー・ウィーヴァー、ジョン・ヴォイト、パトリシア・アークエットらが出演。なぜかこれは観ている。ちょっと面白い。 ■2004年:「穴」…4人のフィルムメーカーたちが「穴」をテーマに描いた短編オムニバス邦画 監督: ジャック・ベッケル 製作: セルジュ・シルベルマン 原作: ジョゼ・ジョヴァンニ 脚本: ジャック・ベッケル/ジョゼ・ジョヴァンニ/ジャン・オーレル 撮影: ギスラン・クロケ 出演: マーク・ミシェル(ガスパル) ジャン・ケロディ(ロラン) ミシェル・コンスタンタン(ジョー) フィリップ・ルロワ (マニュ) レイモンド・ムーニエ(ボスラン) カトリーヌ・スパーク(ニコール)
by mchouette
| 2008-02-24 00:00
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