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MON PERE IL MA SAUVE LA VIE
MY FATHER SAVED MY LIFE 2001年/フランス/115分 22歳の若さで11年間の獄中生活を味わったジョゼ・ジョヴァンニ監督の、自伝的原作を、監督自らがメガホンをとった作品。 作品の最後に「父の孫たち、曾孫たちへ」という献辞があった。 父に対するジョゼ・ジョヴァンニの万感の思いが込められた作品だといえるだろう。けれど、決して思い入れの強い感傷的な作品ではなく、突き放した渋ささえ感じられる。父親役を演じたブリュノ・クレメールの存在なくしては語れないだろう。 ![]() ジョゼ・ジョヴァンニJose Giovanni (1923年6月22日~2004年4月24日) 登山ガイドから対独レジスタンスの闘士を経て、戦後はパリの暗黒街に入り、ギャングの一味(伯父と兄が中心だった)に加わって何度か恐喝を働き(その何度目かに5人の死者をだし、兄も死んだ)、捕らえられて1955年まで11年間獄中生活を送り、33歳で出獄して、1957年、獄中の体験と脱獄の企てを書いた小説「穴」を発表、アルベール・カミュに絶賛され、作家生活に入る。それまでの「ギャングと女と暴力と刑務所の生活」を描いた犯罪小説がベストセラーになって次々に映画化され、そのつど脚本と監修をひきうけ、とくにジャック・ベッケル監督の「穴」(1960)、クロード・ソーテ監督の「墓場なき野郎ども」(1960)、ジャン=ピエール・メルヴィル監督の「ギャング」(1968)という「幸福な」3本との出会いによって映画に病みつきになり、1966年「生き残った者の掟」で自ら監督になる……」(山田宏一著「何が映画を走らせるのか?」より抜粋) ………………………………………………………………………… 事件に関与した一人ではあるが、実の叔父にはめられた形で犯していない殺人の罪で警察に捕らえられ、犯罪に手を焼いた政府が、見せしめのために裁判で死刑を宣告された彼が、被害者の遺族の特赦同意書によって大統領の恩赦を受け死刑を免れる。 そして、この死刑判決を覆す尽力をしたのは、彼がことごとく反発し、いがみあっていた賭博師の父であったこと。しかし、息子が自分を嫌い軽蔑していることを知っていた父は、息子の気持ちを慮り、自分の尽力を一切明かさず、周囲にも口止めしていた。 そして、ジョゼ・ジョヴァンニ(作中ではマニュ)が、父がどれほどの思いと尽力で、息子である自分を死刑台の淵から生還させたか、そのことを知ったのは後になってからだ。 本作は、ジョゼ・ジョヴァンニの死刑の判決を受けてから獄中の日々から、出獄後、映画「穴」の初日に行われた原作者のサイン会までの、彼を、そして父を描いた自伝的作品である。 ![]() 父親役にはブリュノ・クレメール。 フランソワ・オゾン監督の「まぼろし」でシャーロット・ランプリング演じるマリーの失踪する夫役を演じ、妻のマリーが安らぎを覚えた彼のその大きな身体が、悲痛な思いで愛する息子の命を助けようする父の深く大きな愛を感じさせた。賭博に明け暮れ、息子達が悪事に手を染めていくのを黙って見ぬふりをしてきた自分を責め、自分に向けられる息子の冷たい視線を感じ、息子を愛し、息子を案じ、息子の命を助けようと自らの恥をさらけ出し、正義を求めて被害者の家族の前にたつ。 死刑執行に恐れおののきながら、黙って息子のいる監獄をみつめる悲哀、金網越しに無言で息子を見つめる眼差し、出獄してきた息子と黙って向き合う父の表情、彼のその大きな身体から息子を思う父の愛がひしひしと伝わってくる。 映画『穴」の初日。原作者のサイン会が盛大に開催された。それを遠くから見つめる父は「これでいいんだ」と一人つぶやきながら……一人その会場を後にする。 ブリュノ・クレメールについて、ジョヴァンニは「私の妹が、夜間の撮影用ライトの中にいる彼をみて、実の父親のような気がしたと言ってました」と語っている。 父と息子の愛を切々と謳いあげた作品ではない。 湿った関係ではなく、父と息子の距離をおいた関係の中で、言葉を交わすことなく無言の父と息子の間で、言葉以上の、言葉で伝えきれない以上の思いが込められている。 そして 監獄で死刑の日を待つ自分も含めた囚人たち、一人の老看守、父の生きかた、家族、父が通い続けた監獄の前のレストラン「向かいよりマシな店」に集まってくる人たち…それぞれの人間ドラマも描きこまれていて、渋さと厚みのある作品に仕上がっている。 父と息子が本当に向き合って交わした言葉は、出獄した時の「息子よ」「父さん」これだけだ。 父はそれだけ言って息子の頭を手で愛しさをこめて包み込んだ。 父は僕が拘置所を変わるたびに会いに来た。 そして父の心を知ったジョゼ・ジョヴァンニ自らが語るこのナレーションには、彼の胸中が痛いほど感じられ、淡々と描かれたラストながら、やはり涙が沸いてくる。 私には素直に涙できる感動の一作。 オープニングとエンディングに流れる男性ボーカルの哀愁を帯びた歌が情感をさらに盛り上げる。 本作はジョゼ・ジョヴァンニ監督の遺作となった。 本作制作の3年後の2004年、彼は80歳の生涯を閉じた。 本作の冒頭で、ジョヴァンニ監督はこんな言葉を掲げている クロード・ソーテに…… 人生に大切なものは二つ 一つは愛、もう一つは知性 愛と知性は切り離せない その他には何もない ………ガストン・ベルジュ 監督: ジョゼ・ジョヴァンニ 製作: アラン・サルド 原作: ジョゼ・ジョヴァンニ 脚本: ジョゼ・ジョヴァンニ 撮影: アラン・ショカール 美術: ロラン・ドヴィル 編集: クロディーヌ・メルラン 音楽: シュルジェンティ 出演: ブリュノ・クレメール (父ジョー) ヴァンサン・ルクール (息子マニュ) リュフュス (看守) ミシェル・ゴデ (母エミリー) ニコラ・アブラハム (弁護士) マリア・ピタレジ (ドリーヌ)
by mchouette
| 2008-02-23 00:00
| ■映画
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