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THE SPY WHO CAME IN FROM THE COLD
1965年/アメリカ/111分 アガサ・クリスティ原作の映画化「ゼロ時間の謎」が今ひとつ、私の中で盛り上がらなかったので、原作を読もうと書店に行って、結局、買ったのはジョン・ル・カレが1963年に発表した「寒い国から帰ってきたスパイ」という小説。 ![]() ジョン・ル・カレ イギリス・イングランドのドーセット出身で、スイスのベルン大学とオックスフォード大学のリンカーン・カレッジで学び、イートン校で2年間教鞭を取った後、外務英連邦省に入り外交官として主に西ドイツ(在ボン大使館、在ハンブルグ領事館)で働く傍ら、その経験を元に、冷戦下で暗躍するスパイたちを描いた小説を書き始めたという経歴の人。 「寒い国から帰ってきたスパイ」も冷戦下の諜報戦を克明に描き、その時代の緊張感が漂う。 スパイであるがゆえに、感情を抑え込み、その隙間を見せることさえ、そこにふと女に心を許すことが命取りとなる非情さ。彼が描くスパイ達は、その非情さの裏に生身の血肉の通った人間のリアリティがある。先の展開をドキドキしながら読み進んでしまう。 「寒い国から帰ってきたスパイ」は、アメリカ探偵作家クラブ(MWA)賞の最優秀長編賞('65)と英国推理作家協会(CWA)賞ゴールド・ダガー賞('63)を受賞している。 ジョン・ル・カレ原作のスパイ映画 「寒い国から帰ってきたスパイ」 イギリス情報部のリーマスは冷戦下のドイツで相次ぐ工作の失敗から失脚させられ、アルコールに身を持ち崩した一人の男に成り下がる、そんな彼に、東側から誘いの手が…。リーマスは金で彼の知りうる情報を東側に売り渡すために東ドイツに入る。しかし、それは東ドイツ諜報機関の実力者ムントを失脚させるための工作活動だった。リーマスの失脚も全ては作戦のうちだったのだ。リーマスに眼をつけたのは、ムントに敵対するフィードラーだった。イギリスはこのフィードラーを巧く利用してムント失脚のシナリオを書いていたのだった。敵の裏をかいたシナリオ。しかし、そのシナリオには更に裏があったのだった……。 アメリカCIA誕生を描いた「グッド・シェパード」でもデ・ニーロ扮する将軍がマット・デイモンに「自分以外、誰も信用するな」と繰り返し忠告していた。 まさに、それ。誰が味方か、敵なのか。昨日の事実が、今日は敵を欺く工作になっている。欺いているつもりが、じつは自分が欺かれている渦中の人間だった……。 映画「寒い国から帰ったスパイ」 克明に描かれたリーマスと東側の情報部員との駆け引き。ドキドキしながら読み終えて、リーマス役がリチャード・バートンと知ったら、1965年に映画製作された「寒い国から帰ったスパイ」も観たくなる。 ![]() 小説の邦題と映画の邦題は「CAME」の訳が微妙に違う。小説は「帰ってきた」で、映画のほうは「帰った」と表現している。どちらでもいいのだろうけれど、私としては「帰ってきた」の方が、ドラマを感じさせてくれるこちらのほうがしっくり来る。 東ドイツに潜入したリーマスがフィードラーからの情報聴取を受ける。表向きは穏やかな対話の場面であるけれど、一分の緩みが命取りとなる。食うか食われるか。表向きは東側に寝返った人間として振る舞い、そしてシナリオどおりにフィードラーが食いついてくる餌を投げ入れるという、食うか食われるか。ひたすら二人の会話で進められる、その緊張感は、原作を読んで直ぐにビデオで本作を観たからか、原作には劣る感はあったけれど、リチャード・バートンの存在の重みが、作品にさらに重厚感を与えていた。そして彼の眼が、時にはシビアな一人のスパイを感じさせ、時には優しさを隠した一人の男になり、時にはアルコールに身を持ち崩した一人のうらびれた男の弱さを見せ、そして怒りがその眼に漲らせる。 最後に思いもかけぬどんでん返しがあり、そして彼は最後に、一人の人間として、自らの気持に従って、ちっぽけだけれどたった一つ見出した信じられるものを選び取る……。 冒頭、冷戦下のベルリンで、二重スパイのカルルの到着を、検問所で、ひたすら待つリーマスの背中には緊張感が漂っている。そして工作の相次ぐ失敗のあと、街を歩く彼の姿には哀愁が漂っていた……映像に緊張をもたらし、哀愁を感じさせるのも、演じる役者の存在がいかに大きいか、そんなことを思うバートンの演技。 リチャード・バートンは本作「寒い国から帰ったスパイ」でもアカデミー賞の主演男優賞にノミネートされ、本作も含め主演男優賞6回、助演男優賞1回の計7回もアカデミーにノミネートされたけれど一度も受賞はしていない。優れた演技をする役者でもオスカーに縁のない役者もいる。この年は「キャット・バルー」というウエスタン映画で リー・マーヴィンがオスカーを受賞している。 ![]() 主演男優賞にノミネートされた 「バージニア・ウルフなんかこわくない」(1966年)共演は妻でもあったエリザベス・テイラー ![]() 監督:マーティン・リット 製作:マーティン・リット 原作:ジョン・ル・カレ 脚本:ポール・デーン/ガイ・トロスパー 撮影:オズワルド・モリス 音楽:ソル・カプラン 出演:リチャード・バートン クレア・ブルーム オスカー・ウェルナー ペーター・ヴァン・アイク シリル・キューザック ウォルター・ゴテル トム・スターン
by mchouette
| 2008-01-19 00:00
| ■映画
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