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EFTER BRYLLUPPET
AFTER THE WEDDING 2006年/ デンマーク・スウェーデン/ 119分 at:梅田ガーデンシネマ 貧困にあえぐインド社会で孤児院を運営し、孤児たちの救援活動を行っているデンマーク人のヤコブ。財政難で孤児院も閉鎖の危機に陥っている。そんなヤコブにデンマークの実業家ヨンゲルがデンマークまでヤコブが面会に来ることを条件に寄付を申し出る。 予告編とかでは、ヤコブが主人公のように書かれていたけれど、この作品は、死の宣告を受け、残された時間があとわずかというヨンゲルという一人の男の、家族への悲壮なまでの切実な愛と葛藤を描いた作品といえる。 ![]() 妻へレネ、実の娘として愛するアナ、そしてヘレネとの間に設けたまだ幼い双子の息子達のために、愛する家族の支えとして、父親として、かつて妻であるヘレネとインドで恋人同士であり、アナの実の父親でもある、ヤコブというこの一人の男に託するために、そしてヤコブという男を見極めるために、彼はヤコブをデンマークまで呼び寄せたのだった。 死を前にしたヨンゲルによって強引に手繰り寄せられた20年前の過去。 恐る恐る向き合いながらも、父と娘として触れ合っていくアナとヤコブ。 死という残酷な現実と向きあう男ヨンゲル。 そして過去と向き合うへレネとヤコブ。 ヨンゲル役のロルフ・セゴード。1953年スウェーデン生まれとあるから現在54歳。包容力と孤独と厳しさを併せ持ったそんな雰囲気。お腹も出ているし、やや太った立派な体躯で、決してダンディな男性ではないけれど、彼が登場した時から、彼がみせる演技、表情にはずっと惹きつけられる。本国では、あたり役が刑事役だそうだ。画面が引き締まる。 愛に敏感になった人たちが織り成すとてもデリケートな物語で、ヤコブがなぜデンマークに呼ばれたのか、その目的が明らかになる後半は、涙をさそうシーンなども随所にあり、劇場からは、あちこちですすり泣きが聞こえてくるほどだったのだけれど……。 登場人物たちそれぞれが、自らと向き合い、その愛と葛藤と戸惑いをみせる、そんな一つ一つの場面は、それぞれの内面が細やかな演出で見事に浮き彫りにされて描かれていて、それはとってもよく伝わってくるのだけれど、どうもしっくりこなかったというのが正直な感想。 ヤコブとヘレネが再会して初めて向き合う場面で、昨日別れた恋人のように互いを罵りあう場面があったけれど、20年の歳月は、二人の過去を払拭できないほどの時間ではなかったのだろうかと思い……。 実の父親をアナに黙っていようとするヘレネと、君が言わないなら僕の口から事実を話すというヤコブの反応に、戸惑ったり……。 寄付の面会に来たヤコブの話を聞いてヨンゲルが一言「怒りが君のエネルギーか」と的確にヤコブを評する発言をする場面があった。ヤコブはこんな男なんだろう。 「15年間、インドで君は何をした? 何を生み出した? 君は善良でいい人間だけだ」ヨンゲルが手厳しくヤコブの社会活動を指摘する場面もあった。 ヨンゲルは実業家というシビアな目でヤコブという人間を見抜いている。そして彼の実直さも。だからこそ、託す人物として適任だったのだろう。常に実業家としての怜悧な眼を感じる。家族への愛の姿にも家庭人を演じている、そんな印象も受ける。今まで人生をしきってきた男。 そして病気を隠し続け、秘かに自分の死後の家族の人生設計まで立てようとしたヨンゲル。しかしこれは彼の家族に対する大きすぎるほどの愛だろう。 ヘレネもアナも、そしてヤコブも、誰一人ヨンゲルの愛を裏切らない、みんないい人。アナもヤコブを気遣いながら、彼と触れ合っていく。 ヘレネとヤコブも、過去の確執からようやく素直に向き合い、「私が帰ればあなたも帰ってくると思っていた」「君が戻ってくると思っていた」「それっきりだ」家の前の階段に座りながら過去を話しあうこんな場面などはとても素敵な場面だと思う。 ![]() みんな愛に真面目に向き合っている人たち。みんないい人。 そんな人たちが織り成す人間ドラマ。涙をそそる場面はあったけれど、感動を覚え、その感動で涙ぐむというものではなかった。その辺りが、私にはしっくりこなかったところかもしれない。 ただ、ヤコブを演じたマッツ・ミケルセンとヨンゲルを演じたロルフ・セゴード。静と動ともいえる、この二人の男がみせる演技が、この作品を重厚な群像ドラマにしていることは確かだ。 とくにロルフ・セゴード。本作で彼の演技が観れたことは嬉しい限り。 48歳の誕生日を迎えた夜、ヨンゲルは初めて妻の前で「死にたくない!生きていたい」と本音をだして泣き叫ぶ。こんなシーンとか、ヤコブと話していて、やはり愛する妻の元恋人であり、自分の死後、彼女を託す男を前にしての葛藤からだろうか、酔った勢いでレストランのテーブルをいきなり倒す場面などは、彼の当たり役が刑事というのも頷ける。さぞかし怖くて優しくて魅力的な刑事だろうと思う。 監督: スザンネ・ビア 製作: シセ・グラム・ヨルゲンセン 製作総指揮: ペーター・オールベック・イェンセン/ペーター・ガルデ 原案: スザンネ・ビア/アナス・トーマス・イェンセン 脚本: アナス・トーマス・イェンセン 撮影: モーテン・ソーボー 美術: ソーレン・シェア 衣装: マノン・ラスムッセン 音楽: ヨハン・セーデルクヴィスト 出演: マッツ・ミケルセン (ヤコブ) ロルフ・ラッセゴード (ヨルゲン) シセ・バベット・クヌッセン (ヘレネ) スティーネ・フィッシャー・クリステンセン(アナ) クリスチャン・タフドルップ (クリスチャン) フレデリック・グリッツ・アーンスト (マーティン) クリスチャン・グリッツ・アーンスト (モートン) イーダ・ドゥインガー (アネッテ)
by mchouette
| 2007-12-24 20:12
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