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AN ANGEL AT MY TABLE
1990年/ ニュージーランド/158分 ![]() ジェーン・カンピオンがおなじニュージーランドの作家ジャネット・フレイム(1924-2004)の自伝「エンジェル・アット・マイ・テーブル」に基づいて映画化した作品。 ジャネット・フレイムはこの映画を観るまでは知らなかったけれど、ニュージーランドの作家で、今度こそはノーベル賞受賞とつねにささやかれていた作家だそうだ。2004年1月末79歳でこの世を去っている。 疑うことを知らない一人の無垢な少女が、その無垢さが彼女の内面に豊かな感受性を育て、自分だけの言葉を紡ぎだす喜びに目覚めていき、一方でその無垢な感性が、世間の価値観や常識や偏見に抑圧され、世間という枠の中で自分を表現できず身を縮ませて大きくなっていった。成人してから8年間も精神病院に入院させられたジャネット・フレイムの受難の人生。 本作は、そんなジャネットの子供時代から作家への道を歩み始めるまでの半生を描いた作品。 物語は子供時代を語った「イズ=ランド(島)へ」、思春期の「AN ANGEL AT MY TABLE /天使が私の食卓に」、20代から作家として歩き出すまでを語った「鏡の街からの使者」の3部構成となっている。 映画では3人のジャネットが登場する。 仲良しになった女の子から物語を貸してもらい、物語の世界に目覚めた少女は、周囲から理解されない感性を、内に向って言葉を紡ぎだし、喜びを感じていった。「詩人になる」ことが夢になっていった。 でも、一方で強い縮れっ毛で「モジャ」とか「鳥の巣」とあだ名され、周りに溶け込めないストレスからか常に甘いお菓子を食べ虫歯だらけの歯と小太りの体型したジャネットは、みるからに愚鈍そうな女の子で、小さい時から級友たちの嘲笑の的だった。 「詩人になる」と強い希望を持ちながら、働くということから、教師になるために師範学校に入り、教育実習中に極度の緊張に耐え切れず自殺未遂まで起してしまう。これが契機となり、彼女は精神病院に入れられ「精神分裂」と診断される。8年間入院し、その間200回以上の「毎回、死刑の苦しみを味わうほどの電気ショック治療を受けさせられ、ロボトミー手術をさせられる直前までいったが、彼女の短編「礁湖/ラグーン」が文学賞を受賞したことで手術は免れ無事に退院することができた。 冒頭で明るい陽光の中でよちよち歩き始めた赤ちゃんの笑顔が映し出される。 この世に生まれた赤ん坊のこの無垢な笑顔が、この世の中の良識とか偏見とか無理解で失われ、歪められていくことへのカンピオンのメッセージだろう。 ![]() ジャネットが小学校の時に、宿題で書いていた詩の一節「夜の闇が空に触れ……」をみた姉のイザベラが、「夜の闇が覆う」というのが決まった言い方だから変えなさいと強要するシーンがあった。変えようとしたけれど、結局ジャネットは変えずに、そしてこの詩が表彰されることになる。 「作家」は仕事ではない。きちんと働くべきだ。 小さい時から世間の中で生きていく術が分からず、自分を否定し続けて生きてきたジャネットには、言葉を紡ぎ出す感性は溢れるほどあったけれど、そんな世間の価値感に抵抗するには、ジャネットは余りにも無垢すぎた。そんな言葉に必死に従おうとして、自分を見失っていくことの悲劇。 そんな中で、精神病院の中でも、言葉だけは見失わず彼女は心の声を言葉に紡いでいった。 退院してから、一人のセラピストから「人とつき合うのが嫌なら、つきあうな」と言われ安堵の笑顔をみせる。 彼女にとって世間の常識は「~なければならない」という彼女に強いる世界だったのだろう。 退院後、彼女の才能を見抜いた一人の作家との出会いによって、作家への道を歩みだし、彼女にとって負の世界だった家と故郷ニュージーランドを脱出しイギリスからスペインへと生活の場を移し、ひと夏の恋、別れ、流産という女としての辛さも味わい、父の訃報をきっかけに、再び故郷のニュージーランドに戻り、本格的な作家活動を始める。 故郷ニュージーランドに戻り、ジャネットの目の前に広がる海は力強く彼女を受け止める。 「エンジェル・アット・マイ・テーブル」はリルケの詩から取られた言葉だそうだ。「机の上の天使」。作家活動であり、ジェネットにとっては生きることの「希望」に繋がるものだろう。 ジャネット・フレイムという、世間に心を閉ざした一人の女性の内面を、カンピオンは感傷的になることなく、力強く描きだしている。「生きる」ことの強さも感じさせる作品。子役も含め、3人のジャネットも見応えがあった。 ヴェネチア国際映画祭/審査員特別賞(1990) 映画批評家賞ほか8部門受賞 トロント映画国際映画批評家賞受賞(1990) ベルリン国際映画祭フォーラム部門最高人気賞受賞(1991) 監督: ジェーン・カンピオン 製作: ブリジェット・アイキン 原作: ジャネット・フレイム 脚本: ローラ・ジョーンズ 撮影: スチュアート・ドライバーグ 音楽: ドン・マックグレシャン 出演: ケリー・フォックス アレクシア・キオーグ カレン・ファーガソン アイリス・チューン K・J・ウィルソン マーティン・サンダーソン ウィリアム・ブラント コリン・マッコール
by mchouette
| 2007-12-01 21:38
| ■映画
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