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HECATE
1982年/スイス・フランス/108分 勝手に私がjiji姉と呼んで、楽しく、ときには嵐の様な凄さで映画を語っているvivajijiさんのお気に入りの男優はベルナール・ジロドーだとか(違ったらごめん)。以前挙げた「趣味の問題」でひとしきり彼の話で盛り上がりました。ジロドーといえば、私は「趣味の問題」 「焼け石に水」しか知らなかったんですけど、やはりジロドーといえば「ヘカテ」ということで、やっと本作を観ることができました。 「愛の嵐」に引き続いて、一人の女に恋狂う男の姿を、108分たっぷりジロドーの演技とダニエル・シュミット監督の官能美の映像世界。それでいて、愛の熱さよりも、どこかひんやりとした冷たさを感じさせる映像はレナート・ベルタ撮影。特に陰影のある映像が美しい。彼はパトリス・シェローの「傷ついた男」も撮影しているんですね。 ![]() グラスに注がれたシャンパン グラスの中で激しく弾ける泡。その泡をじっと見つめるフランスのエリート外交官ジュリアン。 彼には、かつて、赴任先の北アフリカ・モロッコで、ミステリアスな人妻クロチルダとの愛に、自分を見失うほどに溺れ、激しくほとばしる愛に身を焦がした日々があった。この弾ける泡のように……。 言葉は早すぎるか…。そんな言葉で男の手からするりとすり抜け、男はこの手から滑り落ち、掴みきれない女の愛に身悶えし、翻弄され、あらぬ幻想に嫉妬し、女の姿を求めて夜の街を彷徨い、あげく、愛に激昂し地元の少年を無理やり犯してしまう。ぬぐいきれない自責と悔恨に自らを責めさいなみ、全裸で夜の砂浜で悶え苦しむ。 恋に溺れた。 そして、勢いよく弾けた泡も、いつか消え去るように、ジュリアンの愛もこの傷害事件のため北京への転任によって消えてしまった。後に残るのは空疎な苦さ。 女が追いかけてくるのを待ち続けながら虚しく日々が過ぎる中で、黙々と仕事をこなし、外交官としての地位が高まっていったのは皮肉なことだ。自嘲をこめて、そんな空疎な日々の自分を語る。 そして自ら希望してシベリアに赴き、そこで軍人であるクロチルドの夫と会う。そこには自分と同じように、一人の女に憑かれ、後を追ってこない女を待ち続け、その幻影から逃れられずアルコールに身を持ち崩した一人の男の姿があった。 帰りたくはない。ここでならずっと彼女を待ち続けることができる。 幻影から脱出する唯一の方法は恐怖だ。 一人の女の愛に憑かれ乾ききった心で女の幻影を抱き続ける二人の男。一人は女を待ち続け酒に溺れ、そしてジュリアンは、スイスのベルンで開かれたパーティで奇しくもクロチルドと再会する。 シャンパングラスの中の泡沫の愛 人生を諦観したような、悲哀を漂わせた男の顔があった。 そんな泡沫の愛に身を焦がした男の姿を、ベルナール・ジロドーが見事に体現して魅せてくれました。たっぷりと堪能させていただきました。 第二次大戦前、モロッコがフランスの保護領だった時代。そんなモロッコの乾いた風景にジロドーの白いスーツがよく映える。 タイトル「ヘカテ」はギリシャ神話に出てくる女神で、冥界の王ハデスとペルセフォネの最も厳しい面を神格化した神だそうで、残酷な女神とされていて、ヨーロッパではトリカブトがヘカテを司る花とされているとのこと。人を殺す毒を持つ花がヘカテとは……。女の幻影にしがみつき一人の男の人生を破滅させ、そして一人の男の人生から愛を奪ってしまった、そんな悪女ともいうべきクロチルドを演じたローレン・ハットンは本作で初めて観たけれど、色気むんむんではなくクールな雰囲気。ただ、最後のスイスのパーティでジュリアと分かれる時に、今まであまり気にならなかったけれど、むしろ、それが魅力的にも映ったけれど、意味ありげに微笑んだ彼女の前歯の隙っ歯を見た瞬間、興ざめしてしまった。こんなもんかも知れない。「普通の女だった」ルイ・マルの「ダメージ」の最後の独白を思い出してしまった。 そんなに愛を引きずるものなのかと、今更ながら、男の愛って、かくもロマンテッィクでドラマテッィクで、男の方が愛にしがみつき、というより、女を愛している自分を愛しているような、生身の女を通して自分の愛する女をみているような……。 遅まきながらスイスの監督ダニエル・シュミットの作品は、この「ヘカテ」が初体験。ジロドーの演技も見事だったけど、演出と映像の素晴らしさ。異国の地モロッコを舞台に、ダニエル・シュミット監督が描き出す男と女の官能の世界は、とても詩的な映像で、時には叙情的に、時にはダイナミックに描かれ、風景と人の、静と動、どのシーンをとっても、一枚の絵になる構図。素晴らしい映像作家。 ダニエル・シュミット監督は癌で64歳で亡くなられたんですね。 監督: ダニエル・シュミット 製作: マルセル・ヘーン / ハンス=ウルリッヒ・ヨルディ 原作: ポール・モーラン 脚本: パスカル・ジャルダン /ダニエル・シュミット 撮影: レナート・ベルタ 音楽: カルロス・ダレッシオ 出演: ローレン・ハットン ジャン・ブイーズ ジャン=ピエール・カルフォン
by mchouette
| 2007-10-25 00:00
| ■映画
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