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CANDY
2006年/オーストラリア/108分/ R-15 at:テアトル梅田 オフィシャル・サイト http://candy.cinemacafe.net/ ドラッグ中毒に陥った若い恋人たち……悲しみ色の甘いラブストーリーかと思い、まあヒース・レジャーを見に行きましょう、ぐらいの感覚で見たけれど、見事に予想を覆してくれました。 オーストラリア発のこの作品は超ビター!まともに正面きって「ドラッグ」と向き合ったシリアスな作品。そしてダニエルとキャンディの美しい愛の物語。 映画観てめったに泣かない私ですが、エンド・クレジットでラストでヒースがみせた抑えたあの表情に、悲痛な思いに、二人の愛に……涙が溢れてきました。 ドラッグをテーマにした作品は過去にもあるけれど、ソダーバーグ監督の「トラフィック」アル・パチーノがまだ若かりし頃の「哀しみの街かど」などなど……。でも本作みたいにドラッグ中毒に陥っていく二人に焦点あわせて描いた作品って無かったんではないかしら。 原作は1962年生れのオーストラリアの作家ルーク・ディヴィスのカルト的人気の同名小説で、彼自身の体験に基づいて書かれた小説とのこと。監督のニール・アームフィールドと共同で脚本にも関わっている。 ヒース・レジャー……彼は本作でもまた新しい顔を見せてくれました。 シリアスからコメディ的なテイストまで、彼は演じる役によって本当にそれぞれ違う顔を見せてくれる。若いけど演技の幅の広い演技ができる役者。私がみているのは未公開の「恋のからさわぎ」 (1999・未)から。学園物で歌まで披露して、「 パトリオット」 (2000)ではまだ少年ぽさが残っていたけど、「チョコレート」 (2001)出演技力を見せてくれて 「 ROCK YOU!」 (2001)では騎士物だけどちょっとコミカルでこんなヒースもいいです。「サハラに舞う羽根 」(2002)では素敵な青年になっていて 「 ケリー・ザ・ギャング」 (2003・未 )でナオミ・ワッツと蜜月で 「悪霊喰」 (2003)の司祭役も私的には気に入っている。「ロード・オブ・ドッグタウン」 (2005)「ブラザーズ・グリム」 (2005)でもオタク学者の弟役だったけど、プレイボーイの兄を演じたマット・デイモンより色気があった。「ブロークバック・マウンテン」 (2005)は出世作 「 カサノバ」 (2005)ではコミカルで楽しいカサノバを見せてくれて、そして本作。 「ブロークバック・マウンテン」はかなり消耗して、続いて本作だと演じられなかっただろうけれど、その後の「カサノバ」のコミカルな役で気持の切り替えができたから、本作のシリアスな役が演じられたとインタビューで語っている。 そして相手役キャンディを演じたアビー・コーニッシュも、ハリウッド女優とふた味は違う魅力。シュガー・キャンディのような甘い可愛さとと地に足着いた力強い美しさのある女優。1982年生まれというから凄い。ヒースも1979年生まれ、ともに20代でこの確かな演技力。19歳で脚本を書いて21歳で完成させた映画「明日、君がいない」をひっさげて出品したカンヌ映画祭で「アンファン・テリブル(恐るべき子供)」と賞賛されたムラーリ・K・タルリもオーストラリア。オーストラリア発の監督に作品に俳優に、ますます期待大です! ![]() 「やめれる時はやめたくなくて、やめたいと思った時にはやめられない」こう言われても、若い二人は、愛してるの感情で突っ走り、周りが何も見えない危なげな二人。今しか、今のこの瞬間しか見えていなくて、哀しみも辛さも知らず、幸福も快楽も同じで、二人だけの世界で二人でいられたら、売春しても、かっぱらいやっても、嘘をついてキャンディの親から金をくすねても、ドラッグのためなら何をやっても怖くないし平気な二人。 一緒にいたいその延長で結婚した二人の現実生活は段々と地獄絵図になってくる。家賃滞納で最後通告にやってきた不動産屋に「私たちはジャンキー、私は娼婦、彼はろくでなし」と自嘲的なふたり。けれどキャンディが妊娠し、子供を産むことを決めた二人はドラッグをやめる決意をする。1日目、2日目、3日目……中毒症状にのた打ち回る様は凄まじい。そして下半身から出血したキャンディは流産してしまう。お腹の子が育っているため普通分娩で流産処置をする場面も凄い。死産で生まれた子供を抱きしめ泣き叫ぶ二人。 HAPPYしか見ていなくって、子犬みたいにじゃれあっていた二人が、ようやく現実の世界で知っていく人としての哀しみ、痛み。 世間を知らない無軌道で刹那的な若い恋人達に焦点をあて、二人が安易にドラッグに走り、中毒に陥り、地獄を味わっていく様を描いた本作は、例えばジョン・カサヴェテス監督でジーナ・ローランズ演じる一人の主婦の精神が壊れていく様を描いた「こわれゆく女」をみるような凄さを、ヒース・レジャとアビー・コーニッシュが演じきっている。 そんな二人にスクリーンから目が離せない。そして、それでも一方でこの作品は二人のとても純なラブストーリー。キャンディはダンが全てで、ダンもはキャンディをとても大切に思い、キャンディと幸せになりたいと思っている。地獄でのた打ち回っても、生活が荒んでいっても、愛し合っている二人の姿は純なまま。泥まみれでもダンがキャンディを大切に思っている気持は変わらない。泣きながら抱きしめるダン。 もっと幸せになりたくって、同じ快感を共有したくって、それが始まりだった。それだけだった。 精神のバランスが壊れていくキャンディ。 家の壁一面にキャンディが口紅、マニキュアで書きなぐったダニエルとキャンディの物語。 …二人は太陽とチョコレートで生きた。キャンディはダニエルの虜。キャディは消えた。二人の愛の世界に亀裂が入ってなにも生み出さない死の結婚。赤ちゃんはあ、朝、死んだ。哀れな小さき神……。 キャンディの苦しみの言葉を見つけたダンは泣きながら消していく。 キャンディを愛しているのに、この愛がキャンディを壊していく。二人を壊していく。 施設を退院し、ダンに会いにきたキャンディをみてダンは涙を流す。顔を手で覆って泣きじゃくる。「元には戻れないんだよ。君は救い出されたんだ」キャンディを愛しているからこそのダンの悲痛な決断。静かにキャンディを見送るダン演じるヒース・レジャーのこの時の悲痛をかみ殺した抑えた表情が、エンド・クレジットが始まっても目に焼きついて、映画を観てもめったに泣かない私の眼から涙が溢れてきた。 「ブロークバック・マウンテン」は彼の出世作といわれたが、本作はそれに匹敵、それ以上の演技を見せている。 出世作というならば、わずか数十分間の出演だったけど彼の演技力を見せてくれた「チョコレート」。「僕は父さんが好きだった」と淡々(でもその表情には哀しみが漂っていた)と言ってピストルで頭を撃ち抜いてビリー・ボブ・ソーントン演じる父親の目の前で自殺したシーンといい、父親と共に死刑囚を死刑執行室に連れて行く途中で堪らずにトイレで吐いてしまう、その歩く姿に耐え切れない思いが胸に渦巻く辛さが漂っていて……抑えた演技のうまい子だなって思った作品。 アン・リー監督は「チョコレート」のヒースを見て「ブロークバック・マウンテン」にキャスティングしたという。そして本作でも、原作者のルーク・ディヴィスはダン役にヒース・レジャーを提案したそうだが、アームフィールド監督はヒースはヒーロー然としていてダンには不似合いと思っていたそうだが、やはり「チョコレート」のヒースをみて決定したそうだ。 本作オープニングとエンディングに使われている楽曲がドラッグの過剰摂取で死亡したトム・バックリィの「ソング・トゥ・ザ・サン」がアレンジされて使われているのも嬉しい。胸に沁みるメロディと詩。関係ないけどトム・バックリィの息子で30歳で溺死したジェフ・バックリーの歌う「ハレルヤ」も好きな私。 これは是非観てほしい作品。映画を見る前の私みたいに、甘ったるい悲恋のラブストーリーと思っている人が案外多いんではないかしら。二人の愛の姿はすてきだけれど甘ったるさなど無いシリアスな作品です。ヒース・レジャーは「ブロークバック・マウンテン」に次いで、またまたいい演技を見せてくれたと思う。 監督: ニール・アームフィールド 製作: マーガレット・フィンク/ エミール・シャーマン 製作総指揮: マイケル・ワイク / テレンス・ヤーソン/ アンドリュー・マッキー/ リチャード・ペイテン 原作: ルーク・デイヴィス 脚本: ニール・アームフィールド / ルーク・デイヴィス 撮影: ギャリー・フィリップス プロダクションデザイン: ロバート・カズンズ 衣装デザイン: ジョディ・フリード 編集: ダニー・クーパー 音楽: ポール・チャーリアー 出演: ヒース・レジャー( ダン) アビー・コーニッシュ (キャンディ) ジェフリー・ラッシュ (キャスパー) トニー・マーティン (ワイアット氏) ノニ・ハズルハースト (ワイアット夫人) トム・バッジ (シューマン) ロベルト・ミザ・モント (ジョージ)
by mchouette
| 2007-10-07 00:31
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