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労働者3部作の最終章「マッチ工場の少女」では、カウリスマキは主人公をマイナスの磁場に引きずりこんだが、この「敗者3部作」では、叩かれても踏まれても、主人公たちを限りなくプラスに向わせる。あるいは、そこに彼らへのエールとも取れる希望の光を与えている。
「浮き雲」 KAUAS PILVET KARKAAVAT 1996年/96分 敗者3部作・第1作目 ![]() 不況の中、共に失業した夫婦。にっちもさっちも行かなくなる。 ファインランドの雇用状況の深刻さを描いている。 なんとか職を、金をとあがくほど、ドツボにはまっていく。 それでも、この夫婦は常にポーカーフェイスで、そこから這い出ようとプラス志向を捨てない。資金作りに一か八かギャンブルまでやる始末。結果は有り金全てはたいてしまうのだが…それほど、切羽詰った状況にあるということ。 夫が一度弱気になってそんな状況から逃げ出したとき、妻は「許せない」と彼を拒否するが、舞い戻ってきた夫に対し、一言「いいわ」と受容れる。とにかく前だけ向いて生きましょう。 そして、失業している昔の仲間たちが集まってレストランを開店する。 これは珍しくハッピーエンドで終わる作品。 ポーカーフェイスのジョークと笑顔が面白い。 この作品は、カウリスマキ作品の顔ともいうべきマッティ・ペロンパ(1951年~1995年7月13日)に捧げる作品でもある。心不全で亡くなった彼は、この作品にも出演するはずであった。彼に対するカウリスマキの哀悼を表す作品。夫婦の子供(おそら亡くなった)の写真は彼の子供のときの写真。彼の名前もキャスト・メンバーに記載されている。「過去のない男」」でも額に入った彼の写真が酒場に飾れている。 マッティ・ペロンパは「パラダイスの夕暮れ」では清掃局職員であり、「真夜中の虹」」ではともに脱獄するいかれた相棒であり、「ラヴィ・ド・ボエーム」の画家役であり、「愛しのタチアナ」ではタチアナと結ばれる自動車整備工のレイノであり、ジム・ジャームッシュの「ナイト・オン・ザ・プラネット」ではタクシーの運転手だったりしてる人。 「過去のない男」 MIES VAILLA MENNEISYYTTA 2002年/97分 敗者3部作・第2作目 ![]() カウリスマキの作品には美男・美女は出てこない。けれど人生を感じさせる顔をした役者たちが次々と登場して、彼らの持ち味が絡まり作品に奥行きのある深みを出している。 「過去のない男」などはその典型だろう。 そんな彼らが、ヘルシンキの港湾地区の貧しい吹き溜まりの人生の味わいをもたらしている。 その日暮らしの彼らには、救世軍の助けにすがって生き伸びるだけ。 やられたらやられるだけ。 負け犬そのものの彼らの人生。 カウりスマキは、そんな無気力で何の希望も持てない彼らの中へ、暴漢に殴られ記憶をなくした一人の男Mを投げ込む。 しがらみもなく、その場所の常識も持たない彼は、カンフル剤のように彼らを段々と刺激する。 港湾のコンテナに住む一人の男を暴漢たちが襲う。 それをみたMは落ちている棒切れを拾って応戦する。無抵抗な港湾の吹き溜まりの住む彼ら見ている暴漢たちは抵抗する男をからかう。 勝てっこないと鷹を括る。案の定3人の暴漢に囲まれてMはやられるが、コンテナから棒切れをもった負け犬だった男たちが次々と出てきて暴漢たちに向かっていく。 ある事件からMの身元が判明する。妻がいるという。妻という女に会いに行ったMはギャンブル好きで音楽好きで、失業して職をさがしに行ったきり行方不明だったという。夫婦喧嘩が絶えなかったという。妻に言わすと横暴な夫で離婚手続き中だったらしい。 本来の男はきっと正義感の強い誠実な男だったのだろう。 それが不況の中の持って行き所のないドツボ状態が殺伐とした男にしてしまったのだろう。 記憶をなくすことによって、見知らぬヘルシンキの街の一隅で彼もまた本来の自分に戻れたのだろう。 そんなヘルシンキの街へ、そして心を通わせた女の元へ男は戻っていった。 失業率が高く、不況にあえぐフィンランドで、社会で勝ち抜く牙も刃も持たぬため、敗者となっている彼らに捧げるカウリスマキの静かなエールを感じる。 ![]() アキ・カウリスマキは痛くて辛い「白い花びら」と、その対極的な作品「過去のない男」について 「僕は悲しい結末の暗い映画を撮ろうとしてきたが、一方で心から笑えるというわけではなくとも、日々の生活のドラマを見せるような映画を撮りたいと思っていた。一方はモノクロで、他方はカラーで。世界には幸せな終わりなどないからハッピーエンドに固執するちいうわけではないが、ぼくはそれがあるかのような振りをしているわけだ」と語っている。 そして 街のあかり 敗者3部作・完結編
by mchouette
| 2007-07-25 00:00
| ■映画
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