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そして、ダイアン・アーバスについて
![]() 2006年/アメリカ/122分 at:テアトル梅田 アメリカの女流写真家ダイアン・アーバスの伝記「炎のごとく~写真家ダイアン・アーバス」をもとにして、よき妻、よき母であり、カメラマンの夫の良き助手として生きてきた女性が、どのような心の軌跡をたどり、写真家としてフリークスをテーマにした写真を撮るにいたったかを描いた作品。ダイアン・アーバス自身を描いた作品ではなく、ダイアン・アーバスへのオマージュ作品。冒頭で「ダイアン・アーバスに捧げる」とあった。 1958年、ニューヨーク。36歳のダイアン・アーバスは、夫である写真家アランのアシスタントとして、またかわいい2人の娘の母として何不自由ない生活を送りながら、言いようのない違和感を拭えずにいた。そんなある日、夏だというのにコートで全身を覆い、顔すらも目出し帽のようなマスクで隠した謎めいた男ライオネルが、彼女の隣に越してくる…… 全身毛むくじゃらな多毛症の男ライオネルを演じるのはロバート・ダウニーJr。 ライオネルは、ニコール・キッドマン演じるダイアン・アーバスが自らの中に固く封印していた官能の扉を開け、彼女の芸術家としての魂を激しく揺さぶり、家族から愛称「ディアン」と呼ばれている家庭人から、アーティストとしての「ダイアン」へと導いていく、そういう存在として登場する。 両性具有的な雰囲気の漂う彼は適役といえる。 ダイアンはライオネルを撮りたいという欲望と衝動を抑えきれず、10年間触れなかった自分のカメラをもち、ライオネルの部屋を訪ねる。 抑圧から解放へ、ダイアン自身の心の動きを彼女が着る服装によく表されている。 肌をみせるようなことはなく首元まできちんとボタンを留め、モノトーンで統一された、修道女を思わせるようなストイックな服装だった彼女が、カメラを首にかけ、自らの意思でライオネルを訪ねたときの服装は、身体に緩やかな明るいブルーのワンピース。 1950年代のファッションは見ていて楽しい。 ![]() ![]() ![]() ![]() 良妻賢母であろうとするダイアンと芸術家としての魂に目覚めたダイアンの間で苦しみながら、彼女はライオネルを通じて、自分が撮りたいものを自覚していく。 ![]() 肺の病に冒され死期の迫ったライオネルの求めに応じ、彼の全身の毛を剃刀で剃り、彼の愛を受け入れ、彼の死出の旅路に付き添う。 ライオネルが彼女に遺したものは、自らの毛で作った毛皮のコート。そして写真家ダイアン・アーバスに贈られた一冊のアルバム。 自らを抑圧してきた洋服を脱ぎ捨て、ライオネルの毛皮をまとい、自らのエロスに突き動かされアーティストとしての一歩を踏み出そうとするダイアンの戻る場所は家族のいるあの家ではなかった。 数ヵ月後、ヌーディスト村で自らも裸になり、カメラを首から提げたダイアンの姿があった…… 「ダイアン・アーバス幻想のポートレイト」 ただ、一人の主婦がアーティストとして、かつ当時としては誰もとろうとしなかったフリークス。そこに「美」を見出したアーティストとしての感性、そしてそんな彼女の魂を突き動かす官能(エロス)のパッション。このあたりを幻想的な中にも映像から滲み出るような表現がほしかったところはある。 お人形のような美しさのキッドマンにそこまで期待するのも無理かしら。(「誘う女」「アザーズ」などでは逆にこれがとても凄みすら感じさせて良かったのだけれど) 逆にライオネルとのベッドシーンなどは、ダイアンとライオネルは肉体を通して魂が結びついた関係でもあったのだから、もっと別の形で表現のしようがなかったのかいと、思うところでもある。 インスパイアされた形で一人の人間、それもある強烈な個性をもった人物をイマージュで描くこと自体かなり難しいのだろうと思う。どうしても頭の片隅に、その人物と重ね合わせてみてしまうところもある。しかし、ガス・ヴァン・サント監督の「ラスト・デイズ」で感じた欲求不満ほどではなかったが…… 実在のダイアン・アーバスについて 私の手元には、以前なにかの折に知った彼女の写真に興味を持ち、入手した彼女の写真集があるだけだ…… ![]() ちなみにスタンリー・キューブリックはカメラマン時代にアーバスの教えを受けている。そして、彼は「シャイニング」の中で、ブルーのワンピースを着た双子の姉妹を冬のホテルで登場させている。これは、上の双子の姉妹の写真を想起させるもので、彼女へのオマージュといわれている。 ダイアンは1923年、ニューヨークに生まれ、父親であるデヴィッド・ネメロフはロシア系ユダヤ人で五番街に店舗を構える高級デパートラセックスの経営者だった。そして死の直前に彼女はこんな言葉を残している。 「船が燃えながら沈もうとしているのに、誰も気がつかないふりをしている……」 泥沼化するベトナム戦争。病んだアメリカをだれも正視しようとはしない。病んだアメリカ、そして現代という時代に対するダイアン・アーバスの悲痛なメッセジだろう。 ![]() ダイアン・アーバスは自身の写真について語っています。 わたしが数多く撮ったのは、異形の人々です。 また、ダイアンが師事したリセット・モデルは「両性具有者、身体障害者、奇形者、死者と死にかけている人……そういう人たちから、彼女は決して目をそらさなかった。それには勇気と自立心が必要だった」「ダイアンこそは、モデルが自身の姿として思い描いた写真家だった。ダイアンは人間としては弱かったが、芸術家としては強靭であり、モデルが目をかけたのもその点だった」と語っている。 余談ですが…初日プレゼントでフレグランスのプレゼントがありました。すっきりとしたいい香りです。 ![]() 監督:スティーヴン・シャインバーグ
by mchouette
| 2007-06-14 00:00
| ■映画
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