by mChouette 検索
カテゴリ
全体 ■映画 =映画:あ行 =映画:か行 =映画:さ行 =映画:た行 =映画:な行 =映画:は行 =映画:ま~わ行 ■映画・雑記 ■ドラマ ■展覧会・コンサート ■一冊の本 ■徒然なるままに… ■美味しいもの ■アウトドア・旅 ■勝手にバトン ■ご挨拶・お知らせ 未分類 最新の記事
その他のジャンル
|
2002年/フランス/99分/R-18 暴力とは、生れるべくして生れるのか? 人はどのようにして内に潜む暴力に目覚めるのか? 連鎖の如く、暴力が暴力を生むのか? ギャスパー・ノエ今回のテーマは「レイプと復讐」 「カルネ」でスクリーンに食肉馬の屠殺シーンを、続編「カノン」では失職した肉屋の恨み辛みのナレーションをとめどもなく流し、超リアルな独自の映像表現で、映像コードに過激に挑戦するギャスパー・ノエ。 本作「アレックス」では「レイプと復讐」を描いている。 元肉屋の亭主の独白で始まる。いや、これがラストシーン? 「時は全てを破壊する」 この映画、時間軸に逆行して過去に遡って語られている。 エンドロールからして既に逆行している。 前の場面… 一人の男がゲイクラブから担架で運び出された。 男の名はマルキュス その前の場面… 捜してた男にマルキュスは襲いかかるが、逆に押さえつけられ痛めつけられる。 連れ立ってきた彼の友人ピエールが突然消火器で男たちの顔面を何度も叩きつける。 強烈でリアルな顔面破壊描写の映像。 激しく点滅する赤の照明の室内と男たちの飽くなきセックス その前の場面… マルキュスが殺気だって一人の男を捜している。 連れの男はピエール。男の友人ピエールは必死に止めている。 アレックスの病院へ行こうと連れ戻そうとする。 さらに時間は遡って… 地下道を歩いていた女はすれ違った男にレイプされる。 アナル・レイプシーン さらにその後、女は男の靴で顔面をけられ、「雌ブタ、きれいな顔を叩き潰してやる」と地面に顔を叩きつけれられる。 レイプシーンよりもこちらの暴行シーンの方がショック。 顔はやめて欲しい。 レイプされ暴行を加えられるのは「イタリアの宝石」と言われるアレックス役のモニカ・ベルッチ。 6分間に及ぶレイプシーンとその後の顔面破壊の暴力。 カンヌ映画祭で上映されたとき、そのリアルな映像に途中退場者が続出したとか。 これも話題づくりかしら。退場するほどではないと思うけれど……。 パーティを後にしたマルキュスたちはレイプ事件に遭遇する。顔中血だらけのレイプ被害者は先に帰ったはずの、マルキュスの婚約者アレックスだった。 もっと遡って… ベッドで裸で戯れるマルキュスとアレックス。 演じるはヴァンサン・カッセルとモニカ・ベルッチ夫妻 これもシナリオがあるのかしら。二人の即興ではないかしら。プライベートでもこんなかしらと思うほどに、とても自然でリアルな、二人の素敵ないちゃつき。しかしベルッチのナイス・バディ。こんなん毎日カッセルは見てるのかしら。 見慣れたらどうってことないのかも知れないけど、映画と関係ないところで野次馬根性がつい出てしまう。案外、これも楽屋裏覗き見根性に対するノエのサービス精神か、はたまた商魂か。 幸せ一杯の二人。アレックスはパーティに行く前に妊娠検査薬で妊娠を知る。マルキュスは知らない。 あの惨劇はどこから始まったんだろう。 惨劇に向かう予兆がいくつか見え隠れする。 アレックスを先に帰らせなかったら惨劇は起きなかった? アレックスはどうして強引に先に帰ったのか? マルキュスの羽目を外したおふざけに怒ったから? 妊娠した身体を気にして? なぜ、マルキュスはあんなにふざけてしまったの? アレックスの元恋人ピエールが、まだアレックスにまだ未練があることを知ったから? マルキュスの悪ふざけはピエールからアレックスをとった負い目と苛立ちを隠すため? 帰るというアレックスを先に帰らせたのは、マルキュスのちょっと拗ねてみただけ? 「時は全てを破壊する」 現実の時間は逆戻りできない。 さらに前…まどろむアレックス 壁には『2001年宇宙の旅』のラストシーン胎児のポスターが貼られている。 スタンリー・キューブリックへのオマージュ。 「アレックス」という名はキューブリック「時計じかけのオレンジ」の主人公「アレックス」からきてるとか… そしてラストであり始まりのシーン 緑あふれる明るい陽射しの中、公園でゆったりと本を読みながら寝そべって日向ぼっこをしている妊婦のアレックス。とても安らかなで幸せに満ち足りた光景。 ノエが描きたかったのはこの映像ではないかしら。 平和で穏やかなもの。 ノエは「僕が求めているものは愛に満ち溢れた世界」だと語っている。 それが、些細なことの積み重ねから、あるいは不意の闖入によって突然破壊されることの恐怖。どれだけ破壊されるのか、それがどれだけ苦痛を強いることか、だからノエはリアルかつヴィジュアルな映像でその恐怖と暴力と苦痛を表現する。 描写はリアルで過激だけれど、本当はとってもまともで規範に満ちた人…ギャスパー・ノエ。 「アレックス」みてそう思った。 監督:ギャスパー・ノエ 製作:クリストフ・ロシニョン 共同製作:リシャール・グランピエール 脚本:ギャスパー・ノエ 撮影:ブノワ・デビエ/ ギャスパー・ノエ 編集:ギャスパー・ノエ 音楽:トマ・バンガルテル 出演: モニカ・ベルッチ(アレックス) ヴァンサン・カッセル(マルキュス) アルベール・デュポンテル(ピエール) フィリップ・ナオン(元肉屋) ジョー・プレスティア(テニア)
by mchouette
| 2007-05-31 00:00
| ■映画
|
ファン申請 |
||