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11月はなんて速く過ぎてしまったことか。利休と関わりのあった人物、利休自身、妻、彼らそれぞれの視線を通して利休という一人の人物、その壮絶な半生に迫った作品。 利休切腹の当日から始まり、時間を遡り、囚われの高麗の女人との命がけの恋をした19歳。目の前で静かに毒を飲み干し息絶えたその人。その想い人の形見の釉薬の香合を前に果てたその時。その香合は利休の妻の手で庭の石に投げつけられ粉々に砕け散る。 静かに語れられる最後の数行。 愛する者を喪った悲しみ… 奪われた恨み… 夫の中に最期まで棲み続けた一人の女への嫉妬… そんな夫への恨み… 奪われた者の言葉に出来ないほどの情念を秘めたその最後の数行は、読み終えた時に思わず深いため息さえ出るほど。 凄みさえ感じさせる生々しい情念を内に孕んだ利休の侘び寂びの世界、利休その人を、見事な筆致で描きあげた「利休にたずねよ」 直木賞受賞作品。 著者:山本兼一 読み終わった後、家に庭に木槿(ムクゲ)の木、真っ白な花で中心に紅が鮮やかな、そんな木槿が一本あってもいいなって気にさせられる。 感想をメールしあって、「これ読んだら、作家は凄い!の一言に尽きる」とは叔母の言葉。 引き続き山本兼一の、これはすでに映画化され公開された(けど、私は観にいってない)「火天の城」を読んでるけど、作家なれば、当然といえば当然だけど、すっごく勉強して調べて、それを見事に血肉にした上で、更に極上の作品にまで仕上げてる力量には感心させられる。 映画は、原作の、内なる凄みにどこまで迫れるかしらねぇ。 余談だけど、原作者の山本兼一氏は同志社大学の美学専攻。 学生時代に「同志社出身の作家って誰がいる?いないよね。黒岩重吾くらいだよね」って話していたっけ。調べてみたら筒井康隆さんも同志社だったんだぁ。やっぱ、あまりいないけど、吉田兼一氏が同志社出身ってことで、ちょっと嬉しいなぁ(それがどうした?って言われそうだけど)。斜交いにみていた美学専攻を見直そう(笑)
by mChouette
| 2012-12-04 11:01
| ■一冊の本
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