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クロード・シャブロルって、ヌーヴェル・ヴァーグを代表する映画作家であり、“フランスのヒッチコック”とも呼ばれる…とかって言われているけれど、ゴダールやトリュフォーみたいに、諸手上げてウェルカムなんだけど(ゴダールについては人によっては好みがあるだろうけれど……)、シャブロルル監督に関しては、私的には、さほど面白くもないなぁ、作品的にはいかがなものかなぁと思うものもある。 イザベル・ユペールとサンドリーヌ・ボネールという二人の個性的な女優の存在あっての面白さだろう。 とりわけ郵便局で働くジャンヌを演じるイザベル・ユペールの、明るすぎるくらいの登場と、他人の生活を覗き見するような図々しさと、捻じ曲がった自己流の現実解釈、彼女のハイテンションな饒舌さと、常に軋轢を感じさせるような、人の神経を逆なでするようなその行動から、今に、この静かな郊外にたたずむ常識的で善良なる富裕な一家に、何かが起きる予感がじわじわと漂ってくる。 そして、この富裕な一家のメイドとして働くことになったサンドリーヌ・ボネール演じるソフィ。無口でどこか変わったところもあるけれど料理もうまく掃除も丁寧で一家は好意を持って彼女に接する。しかしソフィにもどこか大胆不敵なものを感じさせるところがある。 ソフィにとってジャンヌは初めて親しくなった人。二人は急速に親しくなっていく。 二人で肩を組みテレビを見る姿は一卵性双生児かと思えるほど、不気味なくらいに似ている。 一家の善意と優しさ、世間のまっとうな善悪の道徳観が、二人の中にある劣等感と抑圧された感情のフィルターを通し、それは歪められた憎悪となって彼女たちの中で増幅していく。 そして起きた善良なる一家を襲った惨劇。 最初に引き金を引いたのはソフィ。 ソフィの顔には人を殺したおののきよりも快感さえ感じられる笑みを浮かべている。 自分たちを縛るもの、自分たちを抑圧するものからの解放ともとれる、二人の大胆な行動。 作中で二人の過去にちらつく犯罪の影も、そこから生じたことなのだろう。 イザベル・ユペールとサンドリーヌ・ボネール。 異なる個性をもつこの二人を並ばせ、動と静、饒舌と寡黙なこの二人がまるで一卵性双生児のようにもみえるところにも、静かな恐怖が忍び込んでくるような……。 ラストがまたいい。 ジャンヌのあっけないほどの最期。 そして夜の闇にまぎれて立ち去ろうとするソフィの耳に聞こえてきたのは、彼女たちの犯行を物語る録音テープ。 イザベル・ユペールは本作の演技でヴェネツィア映画祭とセザール賞(仏アカデミー賞)で主演女優賞を受賞。
by mChouette
| 2012-07-04 00:00
| ■映画
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