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PRETTY BABY ほんと、懐かしい「プリティ・ベビー」 スクリーンでアルトマンの「ナッシュビル」を観たりして、キース・キャラダインの持っている、彼独特の、といおうか、浮いているというのではなく、でも場の空気のどこにも染まらないような彼独特の雰囲気も良かった本作を数十年ぶりに再鑑賞。 ウィキペディアの本作紹介を引用すると… 「無名子役だったブルック・シールズを一躍スターにした、ルイ・マル監督のアメリカ進出作である。シールズはこれで世界的にロリータ女優として君臨する。なお、フランスでのタイトルは "La Petite" である。」とある。 リュック・ベッソン監督スヴェン・ニクヴィストの「レオン」(1994年)ではナタリー・ポートマンが一躍注目を浴び、日本でも国民的美少女コンテストなどもあるけど、戦後の美少女ブームってブルック・シールズから始まった? 「美少女」というとすぐに頭に浮かぶのはやっぱりブルック・シールズ。1917年、ニューオリンズのストーリーヴィル地区を舞台に、娼館に生まれたため12歳の幼さで肉体を売ることになる少女ヴァイオレットを描いたもの。 この地区は赤線地区であり、第一次世界大戦中の1917年にニューオーリンズ市政府の猛反対を押し切って米国連邦政府によって閉鎖される。 娼館では娼婦やその子供たちが、擬似家族のように暮らしている。 隠微な空気など微塵も無く、娼婦も客も大らかに春を謳歌するようなサロンのような蝶よ花よの雰囲気の中で、ヴァイオレットは無邪気に走り回り大きくなった。 ポール・トーマス・アンダーソンの「ブギーナイツ」(1997年)を思い出す。ジュリアン・ムーア演じるポルノ映画界の女王は、離婚した夫からは母親失格の烙印を押された薬物中毒者。監督ジャックの元で世間から隔絶し擬似家族のように暮らす彼らの陽炎のような栄光と挫折の日々を描いた「ブギーナイツ」娼館の中のそんな世界しか知らずに育ったヴイオレットにとって、初めて客をとるということは大人の女の仲間入りと同義語。商品としてオークションにかけられ、客たちは値を競い合う。娼館に暮らす大人たちは傷ましさをもってじっと見詰める。 競り落されたヴァイオレットと客のその時間が終るまで、皆はホールでまんじりともせずに待ち続ける… そんなルイ・マルの演出。そしてスヴェン・ニクヴィストのカメラによって写し撮られた映像。そしてなによりも、ブルック・シールズの子供でも大人でもなく、女の匂いを潜ませながらも少女だけが放つ魅力。 そしてヴァイオレットの母親で娼婦としてこの館で暮らすスーザン・サランドンがまたいい味を出している。 カメラマンとして娼婦達を撮る為にこの館に通うカメラマンにキース・キャラダイン。ヴァイオレットをいつしか愛し始める。 全裸でカメラの前に立つヴァイオレット役の10歳そこそこのブルック・シールズ。 製作年ではこの2年後の「青い珊瑚礁」では、子どもっ気の抜けた伸びやかな肢体を披露している。 ↓「青い珊瑚礁」のブルック・シールズ赤線地帯は閉鎖され、居場所を失った女たちはこの後どんな人生を過ごすのだろうか……。 馴染み客と結婚しすっかり堅気になった母親がヴァイオレットを迎えに来た。その年頃の堅気の娘らしいワンピースを着せられ、義父のカメラの前に立つヴァイオレットは笑いを求められても、笑おうとしてもその表情はぎこちなく強張る。 ラストでヴァイオレットがみせるこの表情がこの作品の中で一番傷ましい。
by mChouette
| 2011-12-13 00:00
| ■映画
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