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영화는 영화다
2008年/韓国/113分/PG-12 監督・脚本: チャン・フン かつては役者になるのが夢だったというヤクザのガンペ。原案はキム・ギドク。脚本・監督をしたチャン・フンは、キム・ギドク作品の助監督を経て、本作が彼の監督デビュー作。2作目となる「義兄弟」を劇場に観にいくにあたり、録画作品から本作を引っ張り出して鑑賞。公開時は韓国映画のリアルな暴力シーンもあったら嫌だなぁと、評価の高い作品だったけど気分が乗らずに観にいかなかった作品。 どれだけ凄惨な暴力も映画の中では監督の「カット」で終り、「カット」「カット」の声でいくつもいくつもテイクが撮られる。映画の中で主人公がかっこよく決めるセリフもシチュエーションも、カットの声で終了する。 「ヤクザはクズだ。」と裏社会に生きるガンペを見下すスタ。そのスタの映画の主人公気取りのスタのプライドをガンペはひっぺがしていく。 そんなガンペも共演女優のミナといつしか恋仲になり、映画が現実のガンペの世界を侵食し始める。しかしヒーロー気取りで現実を決めてみても、現実はそんなかっこよくは終らないし、終らないのが現実。ガンペはヤクザという世界の現実から完膚なきまでの手ひどいしっぺ返しをくらう。 そんな映画と現実の境界が曖昧になっていくガンペの内面を、刑務所にいる組織の会長とガンペが面会室の硝子越しに行う白丸と黒丸で碁をうつシーンでみせているのもまた面白い。 ![]() スタの白という映画の世界と、ガンペの黒の現実。 その白と黒の二人が本気でぶつかり合うラストの泥沼の対決シーン。 白と黒がぶつかり合ったグレイのなかで泥まみれになり本気のアクションシーンをみせる二人。シナリオどおりになるのかならないのか、監督さえも予測できない二人のアクションはまさに本気のリアル。 しかし映画は映画。さんざんガンペにコケにされてきたスタだけれど、最後は約束どおり勝つのはスタ。泥沼からスタが立ち上がりよろけながらカメラに向かって歩き出す。二人が見せた迫力ある映像に「カット」と言った監督さえも涙を浮かべる。そして泥の中で倒れこんだガンペの顔には不敵とも自嘲ともとれる笑い。 映画は「カット」の声でクランクアップとなり全て終了となるが、ならガンペの現実は? ガンペがスタに見せつけた現実。自分のしでかした落とし前のつけ方。 ガンペの顔に血しぶきが飛び散る。駆けつけた警官たちに取り押さえられ地面にねじ伏せられ手錠をかけられた不様ともいえる姿。 観ている観客も映画と現実というこのパラレルワールドに見事にはまってしまう演出も見事。そしてガンペとスタそれぞれが「己」という現実と向き合っていく様がじっくり描かれている。 ![]() 「カメラを見るな、俺に集中しろ。だからワンテンポ遅れるんだ。」撮影現場でいきがる主役のスタのアクションをいとも簡単に交わしていくガンペがスタに向かって吐いたセリフ。 スタを通して映画や役者を辛らつに描く一方で、泥塗れになりながらガンペ演じるソ・ジソプとスタを演じるカン・ジファン二人の役者の格闘シーンには熱ささえ覚える。 映画は映画だ。 たかが映画。 しかし、されど映画。 現実を映すところから始まった映画が、現実を模倣してストーリーが生れ、そこに新たな生命が吹き込まれ、映画という世界で、現実世界では見えない真実をそこから生み出そうとする映画に対する熱い思いさえ感じる。 またしても骨太な韓国映画に出会った。芝居がかっているのだけれど、それ以上のリアルさが感じられる。何故だろうか。滑稽さもまたリアルに映る。登場する役者たちのもつ泥臭いまでの存在感から来るのだろうか。 こんな韓国映画をみていてると、現実と夢想世界の境界をとっぱらい、辛辣な滑稽さとシリアスな現実と、そこに翻弄されるおろかな愛すべき人間達によって奏でられる狂想曲ともいえるフェリーニ作品を思い出す。「甘い生活」、 「8 1/2」などなど。 世界の名だたる映画からさまざまな栄養を吸収し、韓国社会を背景に若手映画人たちが自分たちの映画を精力的に生み出している韓国映画界にこれからも眼が離せない。 ![]()
by mchouette
| 2010-11-01 00:00
| ■映画
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