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MYSTIC RIVER
2003年/アメリカ/138分/PG-12 監督: クリント・イーストウッド 5月がクリント・イーストウッドの誕生月で80歳なんだそうだ。ボストンのとある町。 ジミーとディブとショーン。遊び友達だった3人の少年たちの一人ディブが、遊んでいる最中に車で連れ去られ、逃げ帰ったデイブは性的虐待を受けていた。ディブは家にこもり3人が遊ぶことはなくなった。 25年後。悪事から足をあらいスーパーマーケットを営むジミーの19歳の娘が殺害された。殺人課刑事になっていたショーンはこの事件の捜査を担当する。そしてディブが容疑者として捜査線上に浮上した。 被害者の父親、容疑者そして担当刑事。 少年時代の忌まわしい事件が、少年だった彼らの心に暗い影を落とし、川底の澱のように沈んでいた深い闇が殺人事件の捜査が進むにつれ残酷な形で浮かび上がってくる。 内容は陰鬱だけれど、今まで観てきたイーストウッド監督作品の中では、この「ミスティック・リバー」が一番好き。それと「許されざる者」。以降の作品も好きだけど、劇場鑑賞で大いに感動したものの、もう一度観たい!って気が沸くほどまでにはいかない作品もあるけれど、本作は観たいなぁって思ってDVDを引っ張り出してくることもある。もう一度鑑賞してブログにあげたいと思っていた作品。 人間の弱さや脆さ、見放された者の悲劇を、そしてそれを乗越えてなお生きていく人間の営みそして人生を静謐なまでのタッチで描き出した群像ドラマだといえるだろう。 最愛の娘を殺されたジミーにショーン・ペン。個性ある演技派ぞろいともいえる役者陣がみせる演技のぶつかり合い。 そんな彼らを神の視線のように空から見下ろした俯瞰映像。 そしてクリント・イーストウッドの抑えた演出。 殺人事件を引き金にして浮かび上がってくる澱のように沈んでいた過去を引きずって彼らがいるという残酷なまでの現実が、美しいまでに深く静かに語られていく。 ![]() 人間の人生は何気ない選択で変ってしまうもんだ。事情聴取するショーンにジミーが呟く。 「もしも、あの時…」呪縛のように彼らを捉え続け、それぞれに闇を引きずりながらそれぞれに違う生き方をし大人になった彼ら。 そういう風にしか生きられないという人間の弱さ、悲しさが胸に痛い。 少年時代。率先して悪さをけしかけたジミー。子供心にいけないことだと主張しながらもそれに加担するショーン。そして2人に引きずられるように加わったディブ。パレードを見物するジミーを見つけたショーンは、指銃でジミーに狙いを定める。そんなショーンに軽く笑い、その視線を遮るようにサングラスをするジミー。パレードにいる我が子を必死に捜し求めるディブの妻の悲痛な表情。 ラストは、そんな彼らそれぞれの人生の拭いきれないものを飲み込むように、覆い隠すようにたゆとう川が静かに映し出される。 無言のまま静かに横たわる川の姿は、川底に沈めたはずのものが、別の形になって再び彼らに新たな苦しみと悲しみをもたらすのだろう。そんな予感さえ抱かせるほど川底の暗さをも包み込んだ静かな映像だ。 輪廻転生。 悲しみと罪の連鎖は続いていく。 ![]() 本作は、第76回アカデミー賞で作品賞、監督賞を始めとした6部門にノミネートされ、ショーン・ペンが主演男優賞、ティム・ロビンスが助演男優賞を獲得。 観るたびに、ジミー、ショーンそしてディブのそれぞれの生き方に込められた深いテーマを見出す「ミスティック・リバー」 クリント・イーストウッドは本作の翌年には「ミリオンダラー・ベイビー」で「許されざる者」に次いで2度目のオスカーを手にし、 「父親たちの星条旗」 「硫黄島からの手紙」 「チェンジリング」そして「グラン・トリノ」 「インビクタス/負けざる者たち」と監督としての彼の手腕はますます冴えてくる。 久しぶりに再鑑賞して、彼の監督作品ほとんどを観てきて、「ミスティック・リバー」はその中でも秀逸かつ傑作なものではないだろうかと改めて思う。 たぶん他の監督だったら、同じ原作でも、最近の傾向にありがちな少年時代の過去をフラッシュバックや時系列遡りで描いたりと懲りすぎて、感情を観客に押しつけすぎたりして結局は台無しにしてしまうんだろうなって思う。イーストウッドの時系列に添って淡々と語り、役者達をじっくりと動かし、彼らのうちにある感情を彼らから滲み出させ…ここでも彼の演出の上手さに感心する。
by mchouette
| 2010-06-02 00:00
| ■映画
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