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フェデリコ・フェリーニ作品を 「81/2」 「甘い生活」 そして「道」と遡って鑑賞し、映画監督としての実質的な出発点ともいわれている「青春群像」を鑑賞。そして全ての作品をチエネッタ撮影所で撮り、チエネッタと映画人生を振り返り、フェリーニ(1920~1993)の映画への愛を語ったのが本作。 INTERVISTA 1987年/イタリア/106分夜の人気のないチネチッタ撮影所。ここでフェリーニと彼のスタッフたちは、カフカの『アメリカ』に着想を得た新作の冒頭シーンを撮影しようとしている。大きなライトを乗せた巨大なクレーンが高く高く上がっていく。ライトの光が月のように見えるんだそうだ。そんな撮影現場に日本のテレビ局の取材班がフェリーニへの密着取材とインタビューに訪れる。そして駆け出しの記者だった若い頃に初めてチネッタを訪れた映画との出会いを語りだす……。 チネッタはムッソリーニ政権下で建設されたイタリア初の大規模な映画撮影所。大規模な屋外セットやスタジオ、フィルム編集設備などが備えられているイタリア最大そしてヨーロッパでも有数の映画撮影所。 駆け出しの記者だったフェリーニがスター女優のインタビューで映画都市チネッタを訪れた衝撃は忘れられないと作中で語っている。 フェリーニの映画人生はこのチネッタで始まり、ここで「道」「甘い生活」「8 1/2」「サテリコン」「フェリーニのアマルコルド」などの作品を撮り続け、そして今、このチネッタで本作を撮っている。 セット撮影を排したネオリアリスモ映画を出発点としながらも、とりわけ中期以降は、「フェリーニのローマ」では、ローマの交通渋滞の撮影にわざわざ屋内セットを作ったというほどスタジオ撮影にこだわり、セット撮影を駆使して人工美の世界を構築したフェリーニ。彼の没後10年目に製作されたドキュメンタリー「フェリーニ大いなる嘘つき」ではそんなフェリーニの拘りが語られていてなかなかに面白い。 そんなチネッタと映画に対するフェリーニの思いを綴った作品。 イタリアの映画撮影所チネチッタ創立50周年を記念して製作された作品で、フェリーニ自ら本作を「心の赴くままなに語った映画への愛の告白」であり、「親しい友人達とする内緒話のような、淡々としているけれどとっても盛り上がる、そんな楽しいおしゃべりのような映画」と称している。 新作の撮影現場の映像。その撮影現場とフェリーニを取材する日本人クルーたちを描いたドキュメンタリータッチの映像。インタビューに答えチネッタを初めて訪れた若き日のフェリーニとチネッタを描いた映像。取材するチネッタでインドをテーマにした映画の撮影現場を描いた映像……。 インタビュに応じる形で綴られていくのかと思いきや、どんどんとフェリーニの映像世界の扉が次々と開けられ、撮影現場と思っていると、作品そのものだったり、万華鏡を観ているようにクルクルと変わりっていく。そしてなによりもワクワクするような楽しさは、そこここで繰り広げられる人間模様。セリフがあってもなくっても、てんでばらばらに動いていたり、ただそこにいるだけでも、一人一人が実に生き生きとそこにいて、生き生きと描かれている。 本作って、喩えるなら…… サーカス大好きなフェリーニ。 上を見上げると空中ブランコをしていて、あそこでは猛獣使いが鞭を振るってライオンをてなづけ、こっちではピエロたちの道化芝居も面白く、と思っていると見事な手品の披露が始まって…と思っているとマストロヤンニが突然に奇術師の格好で窓から現れ……とまあ目くるめくフェリーニサーカス団のとっておきの舞台を観ているような楽しさ。舞台裏を見ているかと思うと、いつの間にかそれが舞台の中央だったり……。 そんな中にも、フェリーニ作品の音楽を担当していたニノ・ロータへのオマージュだろう。フェリーニ作品の彼の楽曲が流れてくる。 そしてマストロヤンニと日本人取材班を伴ってフェリーニは、女優を引退し世間から隔絶したように暮らすアニタ・エクバーグを訪ねる。 マジシャンに扮したマストロヤンニが杖をふって表れた白い布に映し出される「甘い生活」のトレビの泉でもマストロヤンニとのシーンが映し出される。それを見つめるフェリーニ。マストロヤンニ。そしてそっと涙を拭うエクバーグ。 ![]() 突然の雷雨に屋外の巨大な木枠にビニールを被せた中に避難するキャスト、スタッフ達。今日はここで徹夜だとフェリーニが言う。身体を寄せ合い、それぞれにおしゃべりに興じる。外のコンテナートラックの中ではバンドスタッフ達が音楽を演奏している。なんとも楽しい時間。こんな雰囲気の中でフェリーニの作品は生れるんだろう。そんなことがしみじみと思われる映像。 夜が明け雨が上がり…と思っていると突然の原住民達の襲撃。木枠の中から皆それぞれに迎え撃つ。ええっ何なんだ? なにが始まったんだって思っていると、これもお芝居。 映画制作ってこんなカオスみたいな世界から生み出されるんだろう。 撮影が終了し、スタッフたちは「よいクリスマスを」と声をかけながらチネッタを去っていく。人気のないチネチッタのスタジオ。フェリーニの「さあ、やってみよう」の声に助監督がカチンコを叩く。「シーン1、テイク1」。 ここで思わず水野晴郎さんではないけれど「いやぁ、映画って本当にいいもんだなぁ」って胸の中でしみじみと呟いてしまう。 カンヌ映画祭40周年記念特別賞(フェデリコ・フェリーニ)
by mchouette
| 2010-06-01 00:00
| ■映画
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