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UNA GIORNATA PARTICOLARE
1977年/イタリア・フランス/106分 監督: エットレ・スコーラ 映像はローマ訪問のヒトラーと、熱狂的に迎えるイタリア国民のニュース映像で始まる。 第二次大戦勃発直前の1938年。同盟を結んだムッソリーニ政権下のローマをヒトラーが訪れ、ローマ市民全員がヒトラーとムッソリーニが対面する記念式典に参加するという歴史的な日。 6人の子供の母であるアントニエッタが暮らす高層アパートでも、管理人が式典に備え鉤十字のナチスドイツの旗とイタリア国旗を垂らし、ローマ中がファシズム一色に染まった一日でもあった。 イタリアはいい相手を選んだものだ。 お前達が大きくなったらこの日のことを子供達に話して聞かせるんだぞ。 式典に参加したアントニエッタの夫は、食卓の席で、共に参加した子供達に誇らしげに言う。 子供たちは興奮した声でドイツ軍の制服のかっこよさを褒める。 そんな夫や子供達の興奮を、心ここにあらずともいえる様子で食卓に座っているアントニエッタ。 食器を洗い、7人目はアドルフォだと夫に促されるも、戸棚から三銃士の本を取り出し、窓辺で読み続けながらも、視線は時として中庭をはさんだ向いの建物の窓からみえる部屋の住人の姿を目で追っている。 向かいの窓にすむ男は荷造りを済ませ一枚の絵を携え、迎えにきた二人の男と共に階段を下りていく。その姿を窓越しにじっと見つめ続けるアントニエッタ。連行された男がどこに送られるのか、こんな男がどういう処分を受けるのかを男の口から聞かされ、アントニエッタには想像できた。じっと見詰め続けるアントニエッタ。 そして夫が待つ寝室に向かい、部屋の灯りが消され、夫や子供達にとって、そしてアントニエッタにとっても、連行された向かいの窓の男にとっても、特別な一日だったその日が終る。 この映画を観終わった後は、作品の最後の一連のシークエンスを書きたくなる。 窓越しに男の姿をじっと見つめ続けるアントニエッタを演じるソフィア・ローレンの目。そして本を置き、寝室に向かい服を脱ぐまでの彼女の後ろ姿には、明日からはまた何の意味も持たない毎日が続く、そんな生活に疲れた女の背中。 女は世間がそうであるように妄信的にムッソリーニに傾倒し、夫の求めに応じ次々と子供を生み、夫と子供の世話に明け暮れ、浮気性の夫からは家政婦扱いにされ、今日もアパートの住民たちが式典に出席する為、着飾って出て行くのを見送りながら、夫や子供達が食べ散らかし脱ぎ散らかした部屋の片付けに一人残る。 ![]() 男の名はガブリエレ。アントニエッタの向かいの建物に暮らしている。「夫、父、兵士でない男は男ではない」と唱えるムッソリーニのファシズム政権下で、国を穢す者とされアナウンサーの職を追われ、愛する者とも会えず、他の同性愛者たちがそうであるようにいつサルデーニャ送りになるかもわからない。式典のこの日も孤独と不安の中、官憲からの逃れるように一人自室にこもって暮らしている。 世間のこの特別な一日から弾き出された男と女が、ある偶然から出会い、互いに抱いている疎外感や孤独感をいたわりあう様に結ばれる。 映画は二人がどのように出会い、どのように歩み寄っていったかをじっくりと描いている。誰もいないアパートの互いの部屋で、屋上の洗濯干し場で、マストロヤンニとソフィア・ローレンのほとんど二人きりの芝居といっていい「特別な一日」 「昨日・今日・明日」「あゝ結婚」そして「ひまわり」で彼らが演じてみせた二人とはまた違う空気がアントニエッタとガブリエレに流れる。 ![]() ![]() アントニエッタの視線で捉えた窓枠からの映像、高層アパートの視線を生かした映像が見事。 時には観るものの想像力をかきたて、そしてただ見つめ続けるしかないという一方通行の関係がドラマを生み出す。 ヒッチコック監督の「裏窓」 ![]() アントニエッタとがブリエレが暮らすアパートは、1937年に完成した低所得者向けの集合住宅のひとつで、竣工式にはムッソリーニも参列したというローマ北東部に実在するもの。中庭に面したガラス張りの階段部分が印象的で、二人の男に連行され階段を下りていくガブリエレの姿がすり硝子を通してアントニエッタに見える。
by mchouette
| 2010-05-19 00:00
| ■映画
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