![]() by mChouette 検索
カテゴリ
全体 ■映画 =映画:あ行 =映画:か行 =映画:さ行 =映画:た行 =映画:な行 =映画:は行 =映画:ま~わ行 ■映画・雑記 ■ドラマ ■展覧会・コンサート ■一冊の本 ■徒然なるままに… ■美味しいもの ■アウトドア・旅 ■勝手にバトン ■ご挨拶・お知らせ 未分類 最新の記事
その他のジャンル
|
アカデミー授賞式だのカンヌ映画祭だの、映画界は年中忙しい。
でもそのお陰で、CSやBSで過去の受賞作品が放映されるのは有難い。 心に留まっている作品でも、レンタルショップにいってわざわざというところまでもなく、こうして放映されるリストを観ていると懐かしいと再鑑賞する作品も少なくない。 この作品もそんな一つ。たまに思い出すけれど161分という長さにいつか観ようと思っている間に数十年が経ってしまっている。 原作者はアイザック・ディーネセンとあり、アフリカに滞在しコーヒー農園を経営していた自身の17年間を振り返り回想録としてまとめたもので、英語版は男性名のペンネームであるアイザック・ディネーセンで発表し、母国であるデンマーク語版は本名のカレン・ブリクセンで発表しているというちょっと複雑。 OUT OF AFRICA 1985年/アメリカ/161分 「カレン、君は男爵夫人になりたいだけなんだ。兄は君とは結婚しないよ。」 ブリクセン男爵の兄弟と交際し、本命だった兄の言動に立腹するカレンにそういった弟のプロア・ブリクセンにカレンは提案する。 「私は婚期を逃した女と世間から見られ、貴方はギャンブルで破産寸前。私には財産が、貴方には身分が。そして私たちは友達よ。結婚して二人でこの狭い世界を飛び出すのは悪くないでしょう。」 そしてカレンは新しい人生の夢と希望を持って、1913年、彼女の所有するンゴングの農園に新居を構えるべく、一足先に渡ったプロアの待つアフリカへと旅立った。 ![]() アフリカでは彼女は男爵夫人と呼ばれた。 男爵夫人…それがカレンにとっては彼女自身のアイデンティティでもあった。 男爵夫人としてアフリカで農園経営を始めたカレンが、火事で全てを失いアフリカを去るとき、見送りに来た召使のファラーに「私の名前を呼んでちょうだい」と頼む。 「カレン」 彼女の名前を呼んだファラーに微笑みを返すカレン。 広大なアフリカの自然の中で、自然に逆らい農園を経営し、ライオンにライフルを構え、鞭を持ち、夢中でライオンたちを追い払い、そしてアフリカの地で知り合った冒険家デニスが見せてくれたアフリカの壮大なる自然。夫との離婚、デニスとの間で育まれていった確かな愛。そしてデニスの死。この物語は、結婚に自らのアイデンティティを求めた一人の女性が、「カレン」という固有名詞として生きることに辿りつくまでを描いた一人の女性の心の軌跡を描いた物語だろう。 「君にはこれが必要だ」 そう言ってデニスがくれた皮のケースに入った方位磁石。 それは生きる方向を見失っていたカレンに対するデニスの愛。 デニスによって、デニスが教えてくれたアフリカに、カレンはゆっくりと自らの生き方、あり方に目ざめていったともいえるだろう。 そしてアフリカを去る時、いつもカレンに忠実につき従っていた召使のファラーにデニスの方位磁石を託す。それはアフリカ原住民達が背負わされる彼らの未来と重ね合わせると、このシーンに込められたものは重いだろう。 アフリカの地で、川を堰きとめ農園用の池を作らせたカレンが、火災で決壊した土嚢を戻そうとする使用人達を止め、「川に戻るだけよ」というシーンも印象的だ。 火災で農地を手放さざるを得なくなったカレンが、農場労働に従事していたキクユ族の土地だけは確保しようと、着任早々の新総督に跪いても直談判するシーンでのカレンのセリフもまた印象的だ。 「女が住みにくいこの土地で、男にお願いする時は跪かなければなりません。」 「私はアフリカに農園を持っている。」冒頭でアフリカに向う列車に乗るカレンの姿と共に誇らしげに語る独白が流れる。そして、たくさんの食器を持ってアフリカにやってき、ヨーロッパ流の生活を召使達にも強要し、自分の流儀を押し通そうとしてきたカレンが、アフリカを去る時、キクユ族のために自らを折って跪くカレンの姿に胸が打たれる。 私の農園は私のものではなく、それはアフリカから奪い取ったものであり、アフリカを植民地にし、アフリカの民を隷属させようとするイギリスと同じことであり、イギリスの植民地化政策に対する抗議の姿勢であるだろう。 ![]() デニスと共に生きたいと願い、彼との結婚を望むカレンに対し、束縛を嫌い孤独を愛し自由を求めるデニスとの関係も、互いに一歩も譲らぬ自我の前に破局を迎えた。 「君によって僕の孤独は崩壊した。」農園火災によって全てを失ったカレンの前にデニスが戻ってきた。 狭いヨーロッパ社会から抜け出そうとしたアフリカに希望を託したカレン。 孤独と自由を愛し冒険家としてアフリカに暮らすデニス。 女人禁制の英国人クラブ。 そしてアフリカにあってヨーロッパ社会の枠から抜け出さないプロア。 時代は20世紀初頭。 第一次対戦前夜。 本作はカレンを通してデニス、プロンそしてカレンをとりまく人々の生き方をも描かれている。 封建社会を引きずりながら近代社会に突入した近代人の自由と価値観を模索し続ける姿とも重なる。 劇場で観たときは、美しすぎるとも思われたアフリカの自然の姿や、いささか冗長すぎると思えた映像だったが、数十年ぶりに再鑑賞してみると、コレラの映像を通してアフリカの剥き出しの自然が、カレンがヨーロッパ社会で知らず知らずのうちに纏っていたものが、ゆっくりと剥がされ、カレン自身として裸になっていく過程がじっくりと読み取れる。 アフリカを去る時、召使に私の名前を呼んでと言ったカレン。 全てを持たない生き方が好きになったわと言うカレン。 カレン自身であることに辿りついた一人の女性のアフリカでの日々。 アフリカを離れ、自らを語り、デニスを語ったカレン・ブリクセンのアフリカでの日々を綴った「OUT OF AFRICA」 「愛と哀しみの果て」というこんなメロドラマチックな邦題はいささか似つかわしくないように思える。 今では役者より監督として知られているロバート・レッドフォード(1936年~)を知ったのは「明日に向かって撃て!」から。本作までの彼の出演作で観た作品をあげてみるとほとんど観ている。なにしろ「明日に向かって撃て!」は今も私の青春映画の金字塔的作品。 •「明日に向って撃て!」 Butch Cassidy and the Sundance Kid (1969) そしてメリル・ストリープ(1949年~)。 「ソフィーの選択」を観た後、「シルクウッド」ではガラリと違う女工役の彼女に驚き、蓮っ葉な煙草の吸い方に上手いなって思った、こんな何気ない仕草が妙に印象深く記憶に残っている。本作を再鑑賞してみて、最近はややもすると感情表現が妙に凝っているときもあるけれど、この頃のメリルは作品のたびに常に役者としての新鮮さが際立っていたように思う。 •「ディア・ハンター」 The Deer Hunter (1978) 二人のバイオグラフィーをみると役者として脂が乗っていた二人の共演作ともいえるだろうか。 そして夫役クラウス・マリア・ブランダウアー、そしてデニス役ロバート・レッドフォード。タイプの異なる役柄を演じる二人を相手に、アフリカで果敢に生きる女性像を演じぬいたメリルの演技には、セリフ以上の説得力を持ってカレンという一人の女性の生き方をみせてくれる。 ![]()
by mchouette
| 2010-05-18 00:00
| ■映画
| |||||||||
ファン申請 |
||