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THE MAN FROM LONDON
2007年/ハンガリー・ドイツ・フランス/138分 at;第七藝術劇場 監督: タル・ベーラ ある晩、静かな港で起こった殺人事件。原作は「メグレ警視」シリーズで知られているジョルジュ・シムノンの小説。 映画解説によれば、<「これは私たちの物語だ」とタル・ベーラが一瞬にして魅了された同名小説。「罪とは何か?」「罰とは何か?」と問いかけ、鋭い視点で心の奥底にある本質をえぐり出す物語>とあるけれど、観ていてそこまで把握できるほどの鑑賞眼も意識のないのだけれど、 登場する人物の寡黙な表情の内にある感情とか思いとか、頭の中を駆け巡るまとまりのつかない考えとか…彼らの寡黙な表情を捉えた数秒間の沈黙の映像に、彼らの言葉にならない胸のうちを思ってしまう。 タル・ベーラ監督。 「ヴェルクマイスター・ハーモニー」 (2000)で、その漆黒のような湿り気を帯びたモノクロ映像と、そして感情さえも排除したと思えるほど余分なものを削ぎ落とした緊張した映像に魅了され、そして本作が「ヴェルクマイスター・ハーモニー」から7年ぶりの新作。 寡黙なまでの映像といっていいだろうか。 眩しいばかりの陽光は人の存在さえも覆いつくすばかりに明るく、男が抱えてしまった闇は、鉛のような重さで重苦しい。 タル・ベーラ監督が創りだす光と影の映像は、登場人物の内面を無言のまま映像に浮かび上がらせる。 観るものは寡黙な映像から発せられる声にならない言葉を探り出す。 スクリーンに映し出される映像と、観るものの交感とでも言おうか。そんな至福の時を作品と共有した。 本作の公開記念として「ヴェルクマイスター・ハーモニー」も同時公開されていて、スクリーンで再鑑賞できたのも嬉しい。
by mchouette
| 2010-03-16 09:49
| ■映画
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