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THE YOUNG VICTORIA
2009年/イギリス・アメリカ/102分/ G at:梅田ガーデンシネマ 監督: ジャン=マルク・ヴァレイングランドはなんとも王位継承に悩まされる国なんだろう。 テューダー王家のヘンリー8世は世継ぎの男子を熱望し、ローマ教皇が認めた正妻のキャサリンと離婚し、アン・ブーリンと結婚するためローマ・カトリック教会と対立、離脱し、国王至上法を発布しイギリス国教会樹立した。イングランドの国教をめぐる物語がケイト・ブランシェット主演の「エリザベス」の大きな要のエピソードとして描かれていた。 イングランド王家は、テューダー王家からスチュアート王家、そしてヴィクトリア女王のハノーヴァー王家、そして現王室のウィンザー王家へと繋がっていくわけだけれど、現王室も王位についているのは女王エリザベス二世。 アン・ブーリンとヘンリー8世の間に生れたテューダー王朝最後の女王エリザベス一世が当時弱小国家であったイングランドの独立を維持し「よき女王エリザベス」と慕われ、そして時代を経て19世紀のヴィクトリア女王は初代インド女帝でもあり、彼女の時代には各国をつぎつぎと英国植民地として統治し一大植民地帝国を築き上げ、イギリスでもっとも輝かしい時代をつくりあげた女王といわれている。 世継ぎの男子に執着し続けたヘンリー8世も女性が頑張るイングランド王室など想像だにしてなかったことだろう。 ハノーヴァー王家も王位継承者たる男子が次々と亡くなり、ヴィクトリアは10歳にしてすでに唯一の王位継承者となり、伯父のウィリアム国王の死去、18歳で即位した、そんな若き日のヴィクトリアを描いたのが本作。 父の死後、父の侍従だったコンロイと母の籠の鳥のように暮らしていたヴィクトリアだけれど、階段をぴよんとはねて自己主張したり、母親が実質の権力者となる摂政令の署名を断固拒絶したり、なかなか勝気で独立心旺盛な女性として描かれている。 しかしまだまだ10代の若さ。誰を信頼していいのか、孤軍奮闘の心細さ。 伯父王の死で18歳で女王に君臨する重責の不安と、母とコンロイの手から自由となった解放感と、押し潰されそうになりながらも負けるもんかの勝気さと……若きヴィクトリアの素顔が、エミリー・ブラントを通して生き生きと描かれている。 権力の座を巡ってヴィクトリアに求婚する王侯貴族たち。 ベルギー国王の甥のアルバート公も、イングランドの支援を求める国王である伯父によってヴィクトリアの寵愛を得ることを至上命令としてロンドンに送り込まれた一人。 政略結婚で送り込まれたはずのアルバートと、そしてヴィクトリアは、権力をめぐるゲームの駒のように翻弄されてきた二人が、どれだけ信頼という絆に渇望していたか。政略結婚を目論んで出会った二人が、相思相愛となってしまったという。二人にとって愛こそが至上のもの。 世紀の愛で結ばれ、二人でイングランドを統治していく強い絆で結ばれ世界中のロイヤル・ファミリーの手本ともなったヴィクトリアとアルバート。 英国が最も繁栄した時代といわれるヴィクトリア朝時代。二人の愛を要に国内が安定していたからでもあるのだろう。ドイツ系のアルバートによる質実剛健の王室内の改革も功を奏したのだろう。そんなエピソードもちらりと描かれている。アルバートの誠実で堅信的な愛に支えられてのヴィクトリア朝でもあっただろう。 そんな二人の、世紀の愛というには、ヴィクトリアをとりまく権力相関図とでもいえる人間模様、コンロイからメルバーンへと、権力争いの軋轢、真実の愛とベルギー国王の思惑との間でアルバートにあっただろう確執など、二人が真実の愛で手を携えるまでの道程が、断片的、説明的過ぎ、映画作品としてはいささか拍子抜けが残念。 女王暗殺未遂事件のあと、「これからはお二人で統治を。」と潔く政権の座から引き下がるポール・ベタニー演じるメルバーン対する人物描写も今ひとつ。 このヴィクトリア女王。アルバートが42歳で腸チフスでなくなるまでの間、ほぼ毎年のように子供を生んでいる。生んだ子供達を次々とヨーロッパ各国に嫁がせ、晩年は「ヨーロッパの祖母」とも呼ばれ、在位64年81歳まで長生きしたというから、イギリスはやはり女系の国なのだろうか。
by mchouette
| 2010-01-19 08:51
| ■映画
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