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Z
1969年/フランス・アルジェリア/126分 監督: コンスタンチン・コスタ=ガヴラス 地中海に近いとある国が物語の舞台。 けれど本作が、1963年、コスタ=ガヴラス監督の故国ギリシャで起きた野党議員で自由主義者ランブスキの死が、軍と警察による暗殺であり、彼らがいかにしてこの暗殺事件を闇に葬り、彼らを告発した人々を抹殺していったかを如実に描いたものであることは、この映画の冒頭で「設定した人物等は意図したものである。」という挑戦的とも取れる言葉からも明らかだろう。 ギリシャではこの暗殺事件の後、軍によるクーデターにより国王は亡命、1968年から1974年まで軍事独裁政権時代があった。そして本作はギリシャでは上映禁止だったそうだ。 エンディングで独裁政権下で禁止されたものが語られていく。「Z」がなにを意味するかも語られている。 そしてアメリカは国王を擁立する中道派を支援し、クーデターを起した軍も反共ということで容認するという無節操さぶりをみせていた。 冒頭シーンは軍首脳部が政府高官たちを招いての会議。 農作物に被害を及ぼす害虫駆除から一転して、戦後、欧米からさまざまな思想が流入し、市民社会に蔓延している。これらは害虫と同じで、国家の敵であり、徹底的に一掃しなければならないと。台頭する左派勢力を前に軍力の弱体化を懸念し、彼らを壊滅させ、徹底した思想弾圧と統制を図ろうとする軍。 彼らは今日、集会を開く。 この国は民主主義国家だ。 集会を開くことは禁止はしない。 そして集会に反対することも禁止はしない。 この言葉が物語るのは、集会に対する徹底的な妨害工作。会場主は脅されて会場の使用を拒否し、集会を呼びかける集団に軍に雇われた男たちが暴力で殴りこみ、会場の前には集会に反対する市民たちが取り囲み彼らを挑発する一触即発の状態。取材に来たカメラマンや記者は強引に排除された。軍縮を訴え、当局の妨害と弾圧に抗議するZ氏の講演の後、会場の外に出たZ氏は、猛スピードで走ってきた車に乗っていた男の持つ棍棒で頭を激しく殴打され倒れる。その前に、Z氏と間違われた一人の議員が暴漢に襲われ半死半生の目にあっていた。 この間、警察署長はじめ政府高官たちはロシアのボリショイ・バレイ団の公演に出席していて現場は無政府状態。 Z氏暗殺までの前半はシリアスなタッチで淡々と描かれており、ファシズムの脅威がリアルに伝わってくる。 同時に、戦後の西側諸国で吹き荒れた反共の嵐がどれほどのものだったのかも生々しく伝わってくる。 それが後半、この事件を担当することになった、昼行灯のようにも見えたトラティニャン演じる予審判事が、医師たちによるZ氏解剖の結果、彼の死が殴打によるものであり、当局の発表と大きく食い違うことが明らかになってから、かっと目を見開いたかのごとく、事件の裏側に潜む軍と警察の陰謀と隠ぺい工作を暴いていくのも小気味よく、ジャック・ペラン演じる新聞記者も独自に情報収集に乗り出し、お奉行とその下で手足になって動く瓦版屋といった風で、陰惨で重苦しいこの政治的事件を、娯楽的テクニックでもって捕り物作品のような痛快さで描いている。 Z氏を撲殺した犯人が極右の秘密組織の一員であることを、巧みな誘導尋問で本人の口からまんまと引き出したシーンなどはあっぱれ。 上層部からの弾圧や脅しもろともせず、トラティニャン判事は次々と事件に関与した者たちを起訴処分にしていく。 しかし結末は…… 娯楽作品のようなメデタシではないところが、絵空事ではない厳しい現実。 ファシズムの怖さ、彼らのなんでもありのやり方に背筋が寒くなる。 本作は、ギリシャ出身でフランスで監督活動するコンスタンチン・コスタ=ガヴラスが政治的事件を題材に、異分子を徹底的に排除しようとする国家権力による弾圧、暴力、陰謀そしてそれに抵抗する人々を描いた「政治三部作」の第一作。 「Z<Z>」 (1969) 1963年、監督の故国ギリシャで起きた自由主義者ランブスキ暗殺事件に材を、平和主義者である野党議員ランブスキが軍縮を訴える平和集会で死んだ。交通事故として処理されたこの事件の背景を描いたヴァシリ・ヴァシリコスの原作を映画化した本作暗殺されるZ氏と呼ばれる議員にイヴ・モンタン。「告白<L'Aveu>」 (1970) 1951年にチェコ共産党の高官だったアルトゥール・ロンドンほか14名が逮捕され、2年近く監禁拷問され、身に覚えのない反逆行為の“自白”を強要されたあげく、仕組まれた裁判によって断罪されたスランスキー事件を体験した夫妻の共著を映画化したもの。夫妻役には実生活でも夫婦だったイヴ・モンタンとシモーヌ・シニョレ。「戒厳令<État de siège>」 (1972) 1970年、ウルグアイの首都であるモンテビデオで起こったイタリア系米国人のダン・アンソニー・ミトリオンがゲリラグループのトゥパマロスによって誘拐され最終的に殺害された事件をモデルにした作品。 ちなみに、コスタ=ガヴラス監督の娘は「ぜんぶ、フィデルのせい」で監督として長編デビューしたジュリー・ガブラス。この父にしてこの娘あり。政治を映像表現する娯楽的テクニックとセンスのDNAは受け継がれている。
by mchouette
| 2009-12-22 22:20
| ■映画
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