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VALS IM BASHIR
WALTZ WITH BASHIR 2008年/イスラエル・フランス・ドイツ・アメリカ/ Anime/90分/PG12ベトナム戦争以後、従軍兵のPTSDがクローズアップされ、それを描いた映画も多い。 冒頭で度肝を抜く、牙をむき、眼には憎悪をたぎらせ、涎をたらし、狂ったように町を疾走する26匹の犬がみせる映像は、PTSDにつながるかのような悪夢の一端を思わせる。 イスラエル軍兵士として従軍したレバノン戦争。イスラエル人のアリ・フォルマンを20数年ぶりに尋ねてきた旧友は、数年前から頻繁に見るようになったこの犬たちの夢を語り始める。 友人は犬たちは自分たちが関わったレバノン虐殺に繋がっているという。 敵であるパレスチナ・ゲリラを一掃する。青年時代のアリもイスラエル兵士として従軍した。しかしアリには友人が語るレバノン侵攻、それに続くパレスチナ人虐殺の記憶がない。 喪くしてしまった記憶を取り戻す為、アリはかつての戦友たちを訪ねまわる。 友人たちが語る20数年前のレバノン戦争の記憶は、しかし虐殺そのものの記憶は曖昧だ。 本作は監督自らのこの実体験を、友人たちの語る彼らの記憶の断片をアニメーションとして描いたドキュメンタリーといえるだろう。 イスラエル建国 テロを倒す 大義名分はいくらでも語れるけれど、自分たちが引き金を弾き、生み出された虐殺の光景は、かつて自分たちが味わったホロコーストと同じであり、ナチスと同じだという思いが、アリから無意識のうちにレバノン虐殺の事実を自ら封印してしまっていた。 精神破綻を引き起こさないための無意識の自己防衛反応がアリに過去の忌まわしい記憶を喪失させ、そして、20数年後、アリは自分たちが戦場で何を行ったのか、喪った戦争の記憶と向きあおうと、傷口を探し、こじ開けるという辛い作業でもあっただろう。 アリが記憶の底から掘り起こしアニメーションとして描かれた映像は、サブラ・シャティーラの虐殺を報じた短い記録ニュースの実写映像で最後を締め括られる。 ![]() アリ自身、アリのかつての戦友たちの記憶は淡々と語られていく。 生身の役者が演じる登場人物に比べると、彼ら一人一人が語る記憶の中の彼らに感情移入することはない。 しかし、いや、逆に、だからからかもしれない。 彼らが淡々と、語るあの場で味わった彼らの内面を追体験するような映像だ。 本作はアメリカ・アカデミー外国語映画賞にノミネートされ、批評家たちの間ではオスカー有力と目されていた作品だと受賞前からいわれていた作品だ。 審査員たちが選んだのは日本の「おくりびと」。 イスラエル・パレスチナ問題は解決の糸口もなく今もなお中東の戦火は続いている。アフガン戦争はもうすぐベトナム戦争の期間を超えるという。 20世紀が起した戦争の負の遺産を全て背負わされているともいえる中東情勢。戦争をテーマにした作品であるとともに、人間の魂を描いた作品といえるだろう。 賞取りレースで語るのではないけれど、本作こそ21世紀の映画作品としてオスカーに値する作品だと思う。 ![]()
by mchouette
| 2009-12-07 11:07
| ■映画
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