![]() by mChouette 検索
カテゴリ
全体 ■映画 =映画:あ行 =映画:か行 =映画:さ行 =映画:た行 =映画:な行 =映画:は行 =映画:ま~わ行 ■映画・雑記 ■ドラマ ■展覧会・コンサート ■一冊の本 ■徒然なるままに… ■美味しいもの ■アウトドア・旅 ■勝手にバトン ■ご挨拶・お知らせ 未分類 最新の記事
その他のジャンル
|
久しぶりにウキウキ気分で劇場まで足を運びたくなって、映画の楽しさを味わって劇場を出た映画!
LES PLAGES D'AGNES THE BEACHES OF AGNES at:第七芸術劇場 アニエス・ヴァルダ。 ずっとおかっぱ頭で、どこか悪戯っ子のような無邪気な笑顔と、何ものにも囚われない自由闊達な発想と、それでいて物事の本質をしっかりと捉える鋭い眼差しを持っている人。 彼女の辛辣で、でもユニークでユーモラスな視点と発想と鋭さは、手持ちカメラをもって、飽食のフランスをシニカルに描いたドキュメンタリー「落穂拾い」でもキラキラと輝いていた。 そんな81歳のアニエスが、自らの生い立ちを語り、映画を語り、映画作りを語り、そしてそこで愛した人たちを語るシネ・エッセーが本作「アニエスの浜辺」 語ると書いたけれど、その映像世界は、アニエスのユーモラスでとってもユニークなイマージュの翼が大きく羽根をのばし、現実と、映画の世界と、過去の記憶と、彼女が愛した人々、映画人たちの間を自由闊達に行き交い、知らず知らずのうちにアニエス・ワールドに引きずり込まれ、夢中になってスクリーンに魅入っている。 写真学校に入学し、写真家として出発したアニエス。 ジェラール・フィリップの写真も数多く手がけている。 写真展では壁一面の彼の写真が。 みんな死んだわ。 こんな写真を見るとジャック・ドゥミを思い出すの。 そういって涙ぐむアニエス。 映画の世界に入ったきっかけを彼女はこんな風に語っていた。 「ゴダールが「僕たちも映画をつくって儲けよう」って言い出して『勝手にしやがれ』を作って、それがヒットしたの。こんな風にさらりとフランス映画界のヌーヴェル・ヴァーグを語る。 「5時から7時までのクレオ」のアーカイブ映像では蝶ネクタイをしてサングラスを外した伊達男になったゴダールも登場する。 アニエスの追憶にあるのは浜辺。 エイズで道半ばでこの世を去った最愛の夫ジャック・ドゥミ。 ドゥミともよく砂浜を歩いたわ。 私もドゥミも潮が引いていくところが好きなの。 その砂浜に鏡を並べ、砂浜に置かれた鏡を波が打ち寄せ撫でては退いていく。 キャメラに映しだされた海原。それは浜辺に置かれた鏡に映し出された海原。その鏡の背景に海原が広がる。 鏡の中の風景を鏡が映し、その鏡を別の鏡が映し出す。 浜辺と鏡。こんな風にして紡がれていくアニエスのシネエッセー。 ![]() エイズを発症したジャック・ドゥミは脚本執筆に専念し、自分の子どもの頃を書き綴った。 僕にはもうこの映画を撮る事はできない。君が撮るんだ。 そういってアニエスが撮影に臨んだのが「ジャック・ドゥミの少年期」 撮影現場で、左手はキャメラの上に、そして右手は傍らに座るドゥミと手をつなぎ…そんな撮影現場の光景に胸がじーんとなってしまう。 カトリーヌ・ドヌーブとミッシェル・ピッコリで撮った、失敗したという映画。その撮影フィルムをほぐしてブラインドにし、フィルムのブライドに囲まれた空間に座るアニエス・ヴァルダ。 いつも映画の中にいる。波が引いた後の静けさにも似たラストシーン。そんな映像に一人座るアニエス。語り終えてなおジャック・ドゥミを思い続けているのだろう。そんな風に感じさせるラスト映像のアニエス・ヴァルダ。 私が知っているアニエス・ヴァルダは「5時から7時までのクレオ」(1961)「幸福」(1964)、「ベトナムから遠く離れて」(1967)、「歌う女、歌わない女」(1977)、「アニエスv.によるジェーンb.」(1987)、「ジャック・ドゥミの少年期」(1991)、そして私は好きなんだけど、アニエスが言うには映画的にはこけた映画という「百一夜」(1994)、「落穂拾い」(2000)、「落ち穂拾・二年後」(2002)。 彼女の映像には、理論とか観念とかに囚われない、彼女の揺るぎない確固たる感性があふれているように思う。 その映像のまえには理論とかイデオロギーといったものは影を潜める。 ヌーヴェル・ヴァーグ作家といった修飾は彼女には当てはまらないし、そんな括弧で括るにはアニエスはどこまでも自由な人だと思う。 彼女の感性そのものが革命的。 それが彼女のヌーヴェル・ヴァーグだろう。 彼女の映像には”魂”という言葉よりも、温かく、時には熱い血潮が流れる心臓、"ハート”の言葉がぴったりくるように思う。 そんな彼女のハートを感じさせるアニエス自身の語りと、彼女の茶目っ気たっぷりの映像と、そして何よりもおかっぱ頭のチャーミングな彼女がいて、春の日差しのようなアニエスのオーラをたっぷり浴びて、アニエス・ワールドで心ゆくまで遊んだ!そんな気持ちで映画館を出た。 ![]()
by mchouette
| 2009-11-04 10:14
| ■映画
| |||||||||
ファン申請 |
||