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TERMINATOR SALVATION
2009年/アメリカ/114分 at:梅田ブルグ 監督: マックG 原題の「SALVATION」とは、■(罪と罰からの)救い ■ (損害・危険・破壊などからの)救済、 救出、 保護といった意味をもつ言葉で、この「SALVATION」は本作のテーマとして様々な意味を帯びて描かれている。 人類自らが開発したネットワークシステムの頂点ともいうべきスカイネットが地球を支配し、人類滅亡を目論み引き起こした“審判の日”核戦争。人類は自らの手で人類滅亡へのシナリオとなるシステムを生み出してしまった。前作「ターミネーター3」で描かれた審判の日。 シリーズ一作目「ターミネーター」」では人類抵抗軍のリーダーであるジョン・コナーから託され、ジョンの母となるサラを守るため未来からやってきたカイル・リースとサラの物語。スカイネットが送り込んだ暗殺マシーン・ターミネーターからサラを守り、彼はサラの中に未来の生命を遺して死んでいった。サラは生れてきた我が子ジョンに、カイルから、そして未来のジョンから託された使命を教えこむ。そして人類滅亡を意味する審判の日がくることを。 ここから始まった「ターミネーター」シリーズは、核戦争が起きる前の現代の地球を舞台に、ジョン・コナーはじめ彼につながる人間を、過去という現代という時間の中で抹殺しようとスカイネットが送り込んだ殺人ロボットとの闘いを描いた物語。 「ターミネーター3」ではスカイネットが送り込んだハイブリッドな暗殺ロボットに対し、人類軍に捕獲されジョンを守る為にプログラムを変更された現代に送り込まれたシュワルツェネッガー演じるターミネーターは、2では少年だった彼と母が戦った相手であり、3では人間的感情を持たぬロボットとはいえ、自分を守る為に闘う彼にロボット以上の、父親的な愛着を抱かせる存在として描かれていた。 そして本作「ターミネーター4」の世界は、「ターミネーター3」に続く核戦争が起きた荒廃した地球が舞台で、生残った人類を一掃せんとするスカイネットと、ジョン・コナーやケイトたち生残った人類で組織された人類抵抗軍との間で繰り広げられる熾烈な闘いの世界だった。 人類を守り生き抜くための闘いが、いつしかスカイネット全滅が最優先となっていった。 スカイネットの弱点ともいえるデータを入手した抵抗軍司令部は、スカイネットの基地に捕虜として捕まっている人々の救出よりも基地への総攻撃を最優先する。「これは戦争だ。犠牲はやむをえないことだ。」コナーの反対に司令部は冷たく言い放つ。 その捕虜の中には後にジョンの父となるカイル少年も含まれていた。彼はスカイネット暗殺リストの第一番目に上がっていた。2番目がジョン・コナー。 「我々は人間だ。機械とは違う。スカイネットを攻撃するだけなら我々は機械と同じだ。捕虜たちを見殺しにすれば、人類に未来はない。」 無線で世界中に散らばる抵抗軍部隊に攻撃中止を呼びかけるジョン・コナー。 コナーの必死の説得に呼応して、司令部の攻撃命令に対して命令拒否をみせる各部隊。 そしてコナーは捕虜救出と基地爆破のためにスカイネット本部に向かった。 ジョン・コナー演じるクリスチャン・ベイル中心の内容かと思いきや。 人間の熱い血が脈打つ心臓をもち、人間だった頃の記憶を持ち、しかしその肉体は強靭なロボットとして生まれ変わったマーカス・ライト。彼の存在が哀しい。そしてこの哀しみが本作に流れるテーマだろう。 人間にとって彼はロボット以外の何ものでもない。 「俺は人間だ!」ジョン・コナーを前にそう叫ぶ彼の目には必死なものがある。 彼は人間か、ロボットか? 人間の敵か、味方か? 何の為にここに現れた? 少年の頃から未来から送り込まれてきた暗殺マシンと戦い続けてきたジョン・コナーにとってロボットは自分を殺そうとする敵以外の何ものでもない。マーカスを人間として信頼するか。あるいは敵と見なすか。コナーの心は揺らぐ。 この揺らぎはジョン・コナー自身が抱える光が見えないことに対する苦悩の揺らぎでもあっただろう。 しかしマーカスに助けられ、彼の中で強く脈打つ鼓動の音を知っている女性戦士は言い切る。「彼は人間よ!」 核戦争後の地球で目ざめたマーカスが初めて出会った人間がカイル少年。捕まったカイルを助けるためにスカイネット基地に向うマーカス。そのマーカスの後を追ってコナーも基地に向う。新しく生まれ変われるなら……死刑囚だったカイルが、癌に冒された女性科学者からの強い要望で献体に同意したのも、自ら犯した罪からの救済の意思があったからだろう。しかしマーカス蘇生の真の目的は、マーカスの願いとは異なるものだった。 そして、瀕死のジョンを前にマーカスが自らに下した決断とは、それは再び人間として生きる道だった! 本作の魅力は、図らずも人間と機械のハーフとして甦ったマーカス・ライトが抱いている「SALVATION」が悲痛な思いのキーワードとしてあることだろう。そして、マーカスの人間であるという強い心が、未来への希望の光としてジョン・コナーに受け継がれたことだろう。 マーカス・ライトの存在がこの物語をとてもヒューマンなドラマにしている。 本作のジョン・コナーはまだ苦悩する存在だった。 母親のサラによって刻み込まれた人類を救うという使命の重さと、終わりのない戦いの中で仲間たちが次々と死んでいく日々に。袋小路の中でサラが遺したテープから必死に答を見出そうとしていた。 「SALVATION」 マーカスは罪からの救済を願い、ジョンは人類の救済を願い、マーカスの強い意思と、人間であろうとする熱い心は、進むべき道に苦悩していたジョン・コナーに受け継がれ、そしてマーカスとジョンという二人の男を知るカイルが戦士として成長し、サラを守るために未来から核戦争前の世界にやってくる。 本作は、「ターミネーター3」に続く物語であり、シリーズの始まりである「ターミネーター」につながっていくのかと思うと、ちょっと感動してしまう。 終わりの見えない機械との戦いに明け暮れた「ターミネーター・シリーズ」を超えて、本作は「SALVATION」をキーワードとして、マーカスからジョンへ、そしてジョンからカイル、さらには生まれてくるジョンの子どもへと続いていく人間の希望の光を描いた作品ともいえるんじゃないだろうか。
そして本作では今までのシリーズのオマージュを思わせるシーンが登場するのは懐かしい。 冒頭でジョン・コナーがターミネーターに襲われる、地面を這って彼に迫る姿は「ターミネーター」のラスト近くで襲われるあのシーンと重なるし、マーカスとカイルたちがやってきた廃屋同然のガソリンスタンドのあの構図は、ジョンを身ごもったサラが立ち寄って、ポラロイド写真を撮ってもらったあのガソリン・スタンドのシーンと重なるし、なんといってもシュワルツェネッガーが若くなっての登場には驚いてしまう。本当によく似ている。 そしてマーカスに助けられながら行動を共にするカイルをみていると、「ターミネーター」でカイルから教えられてサバイバルと戦いの術を身につけていくサラと重なったりする。 それから本作ではマーカス・ライト演じたオーストラリア出身のサム・ワーシントンが魅力的だったのはいうまでもないけれど、もう一人、カイルが連れていた口の聞けない黒人少女スターがなかなかの素晴らしい働きをする。コナーが格闘の間に落とした爆破スイッチを素早く拾い上げ、救出ヘリの中でコナーに黙って渡すなんて彼女が一番の功労者ではないかしら。冷静に回りをじっと観察していて、他にもこの女の子いい動きしている。 マーカスのむき出しになった金属の手をスターがそっと握り締めるラストの場面なんてジーンとさせられた。
by mchouette
| 2009-06-17 00:00
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