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ベルンハルト・シュリンク原作「朗読者」をスティーブン・ダルドリー監督(「リトル・ダンサー」「めぐりあう時間たち」)が映画化。邦題「愛を読むひと」が6月19日から公開される。
原作の訳者あとがきでメガホンはアンソニー・ミンゲラとあったけれど、彼は製作者側にまわり、監督は誰なんだろうと思っていた。そしてミンゲラ監督の急死に驚き、さらには製作陣のシドニー・ポラックも他界。そしてハンナ役は誰に?と思っていたらニコール・キッドマンの名があがったときは「ゲッ!」と思ったけれど、ケイト・ウィンスレットに決定。もともとケイトに決まっていたのが、『レボリューショナリー・ロード/燃え尽きるまで』の撮影スケジュールとあわなかったためにニコールに役がいき、ニコールの妊娠で再びケイトがハンナ役にと決まったのだそうだ。ずいぶんと製作までには二転三転産みの苦しみがあったような本作の映画化。本作でケイトのオスカー受賞は嬉しいニュースだ。 すでに2回も読んでいるのだから映画公開前に読まなくても、と思いながら、やはり、あのときの僕、そしてハンナに出会いたくなり、僕の気持ちに近づきたくて本に手が伸びてしまった。 ハンナが毅然とすればするほど、ハンナの心情にさらに思いがいき、読み返すたびに胸に感じる痛みは強くなる一方で、今回は少し距離をおいてその時々の僕や僕の内面、ハンナの気持ちをみつめられたように思う。 僕と私自身と重ね合わせ、さらに僕の心の襞の感触を感じながら読んでいた。 原作は原作、映画は映画と思っているけれど、読みながらそれぞれのハンナにケイトを重ねあわせ情景を思い浮かべながら読み進んでいた。 15歳の僕が出会ったハンナ。僕の朗読を聴いている時のハンナ。法学部の学生だった僕が見つめ続けた法廷でのハンナ。そして刑務所の中庭で再会したハンナ……そして遠い記憶を辿り、いまもハンナと向き合い続ける中年になった僕とレイフ・ファインズの静かな雰囲気を重ねてしまう。 ハンナと僕の物語を軸に、映画はどこまで掘り下げ、どこまで掬い取って描いているのだろうか。 戦後ドイツに生れた僕と、ハンナを通して向き合ったドイツのナチの時代。僕の親たちの時代。 僕の中で止まってしまった時間のように、ハンナという過去が生き続け、どんな風に過去とつながる現在の自分と向き合い折り合いをつけていけるんだろうか。 文字で綴られた「朗読者」を味わい、 そして映像と音と生身の役者の演技で綴られた「愛を読むひと」を味わいたいと思う。
by mchouette
| 2009-06-05 00:00
| ■一冊の本
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