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THE OTHER BOLEYN GIRL
2008年/イギリス・アメリカ/115分 at:TOHOシネマズ梅田 英国王室に繋がる物語だけれど、主役となるヘンリー8世を演じるエリック・バナはオーストラリア、アン・ブーリンを演じるナタリー・ポートマンはイスラエル、そして妹のメアリー・ブーリンを演じるスカーレット・ヨハンソンはデンマーク系だとか。主役3人にイギリス人が誰も入っていないというのも面白い。 「エリザベス」のケイト・ブランシェットもオーストラリアだからヘンリー8世を演じたエリック・バナと繋がってるんだ、などとどうでもいい、あほな事を考える。 批評サイトロッテントマトでは、90のレビュー数で40%という評価で、「ソープオペラのような作品」と評されたそうだ。 確かに、ヨーロッパの歴史を大きく揺り動かした一大スキャンダルとして知られるイングランド国王ヘンリー8世の結婚と世継ぎ問題を背景に、国王の寵愛をめぐり権力欲にまみれた愛憎ドラマ、そして豪華絢爛なコスチューム。 歴史物としてみれば史実描写の弱さもあり物語としてもデフォルメされているところもありで、男性からみたら物足りないところはあるかもしれないけれど、こういうのって女性は案外と好きなんですよね。 日本のテレビドラマ『大奥』のイングランド王室ヴァージョンかと、そういう眼で観れば、「大奥」でも然りだけれど、国王ヘンリー8世が目の前に甘い餌をぶら下げられて、アンに押し切られる形でカトリック教会と断絶するなど、国王としてそのキャラがいささか弱い気もするし、史実はどうなんだろうとも思うけれど、メインは姉妹だし、エリック・バナも良かったから別段気にもならない。 愛を求めた妹のメアリー。 プライドにかけても妹と同じ愛人の座でなく王妃の座を求めた姉のアン。 次男だったヘンリー8世が、メアリーに「2番目の子供の気持が分かる。2番目はいつも陰の存在だ」と言ったその言葉に、つねに姉のアンをたててその後ろに控えていたメアリーは目を潤ませて王に身を任せる。 ブーリン家の長女として勝気なアンは、ヘンリーが選んだのが自分ではなく妹のメアリーであったということに、彼女の誇りはずたずたに引き裂かれる。 アンがその自己顕示の強さと先走った勝気さでヘンリーの寵愛を取り逃がし、メアリーが選ばれ、ほとぼりが冷めるまでフランス王室に追いやられるとき、母親は言う。「フランスの王室の女たちがどのように男を手繰っているのか、しっかりと学びなさい」そういって娘を送り出す。 父や叔父の権力欲にまきこまれ、中の良かったブーリン家姉妹の骨肉の争いの引き金をアンが引いた。 フランスで手練手管を身につけたアンが、ヘンリーに食い込んでいくのをみて、メアリーの運命はどうなるの?と結構ドキドキしながら見ていた。 史実によるとアンはヘンリー8世の愛を6年間も拒んだという。 姉のアンがダメなら妹のメアリーを、という王の寵愛をなんとしてでも獲得しようとする欲に憑かれたブーリン家。史実ではブーリン家はもともとは農民で、娘を国王に差し出すことで代々繁栄を手中におさめてきた家だそうだ。 誰であれ世継ぎを産めば、権力を我が手にはイングランドに限らずどこの国も同じ。そのために暗殺、密告、裏切りは日常茶飯事の世界。 ヘンリー8世も処刑されたアンの後も4人も妻をもち、梅毒が元で1547年57歳の短い生涯を終えている。6番目の最後の王妃となったキャサリン・パーによって王位継承権を否認され庶子扱いのままになっていた第一王妃の娘メアリーと、アンの娘エリザベスの二人をプリンセスとして復権させている。 ナタリー・ポートマンが、その眼に勝気な気性をみなぎらせ、妹メアリーを蹴落として城から放逐する傲慢さを見せながら、妹のメアリーをやはり一番信頼し、弱音を吐くのもメアリーの前。 権力闘争から外れ素直で純真に生きたメアリーを、スカーレット・ヨハンソンがおっとりとしているけれど、神の教えと人間としてのけじめはしっかりと持った芯の強さを持った女性をみせている。 アンが処刑された後、アンが産み落とした娘エリザベスを自分の手で育てると言って、赤ん坊のエリザベスを抱き、群がっている貴族たちの間を毅然とした足取りで王室を後にするシーンなどもなかなかの見せ場だろう。 実在のメアリーは夫の死後、貧しい貴族と結婚したが幸せな一生を送ったという。 ナタリー・ポートマンとスカーレット・ヨハンソン 今までに彼女たちにはなかった役どころがとても新鮮だった。 ヨハンソンは子役時代の「のら猫の日記」とか「真珠の耳飾りの少女」最近ではウディ・アレンと組んだ「マッチ・ポイント」や「タロットゲーム殺人事件」などしっかりした演技をする女優と思っていたけれど、本作のポートマンもなかなかの演技を見せていた。 キャスティングは二人ともはまり役だったのではないでしょうか 二人ともクラシカルな顔立ちで並んだ横顔が美しかった。 二人の母親役には「イングリッシュ・ペイシェント」や「ルパン」のクリスティン・スコット・トーマス。凛とした美しさを見せていた。 若いときに観た「1000日のアン」は今となってはほとんど記憶に残っていないが、こんな映画をみたらもう一度見たいと思う。この映画ではヘンリー8世はリチャード・バートン。 この作品のアンは運命に翻弄された悲劇の王妃として描かれていたように思う。 ↓「1000日のアン」(1969)でアンを演じたジュヌヴィエーヴ・ビュジョルド。この映画をみてからもう一度「エリザベス」(1998)を見たらまた面白いだろうと思う。 ラストはイングランド・ノーフォークの草原を無邪気に走り回る幼いエリザベスの姿が映され、「エリザベス」の冒頭シーンで侍女たちと伸びやかにダンスに興じているエリザベスの姿と繋がる。 監督: ジャスティン・チャドウィック 製作: アリソン・オーウェン 製作総指揮: スコット・ルーディン/デヴィッド・M・トンプソン 原作: フィリッパ・グレゴリー『ブーリン家の姉妹』(集英社刊) 脚本: ピーター・モーガン 撮影: キアラン・マクギガン 音楽: ポール・カンテロン 出演: ナタリー・ポートマン/スカーレット・ヨハンソン/エリック・バナ/デヴィッド・モリッシー/クリスティン・スコット・トーマス/マーク・ライランス/ジム・スタージェス
by mchouette
| 2008-10-28 00:00
| ■映画
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