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過激すぎるほどの暑さから一転、秋を感じるような朝夕の涼しさは一体何なんだろうと思う。
何かが狂い始めている。とっくに狂っているのだろうか……。 とはいえ、涼しくなると脳内リズムも落着いて、ちょっとヘビーに手ごたえのある本でも読んでみようかという気がわいてきて、久しぶりに書店の文芸コーナーを覗いてみた。 平野啓一郎の久々の1500枚長編作品・「決壊」上下巻が刊行されていた。 匿名でのブログ、鬱、引きこもり、いじめ、少年犯罪、そして無差別殺人──。何故、人は人を殺すのか? 彼は自身のブログ<平野啓一郎公式ブログ>で、 <『決壊』刊行後、この一月半ほどの間に、数多くの感想と接することが出来て、改めて色々なことを考えました。 とりわけ、終わり方については、様々な意見がありました。 あれをどう解釈するかは、もちろん、個々の読者に委ねられていますが、作者としては、もう一度、「決壊」というタイトルとあわせて、最後の一文を読み直してもらいたいなと何度か感じました。何が起こっているのか。> こう語り、本書について興味深いメッセージをさらに記している。 精緻に複合的に組み立てられた人間社会のメカニズムの中で、ある箇所において過剰にその螺子を締めつけられた歪がさらに次の歪を生み出す力となって作用し、とんでもないところでその螺子が外れ、ぎしぎしとした不協和音と予測不能な脈絡のない動きがあちこちで起こり、いつかきっとその箍がバ~ンと外れて、ばらばらに分解してしまう日がくるのではないかと、そんなことさえ時として考えてしまう。そこに在る人間の心の有り様を思う。 1975年生まれの平野啓一郎は、この現代社会とそこに生きる人間をどのように捉えているのだろうか。 私自身、読み終わったとき何を感じとれるだろうか! デビュー作「日蝕」以降、「葬送」「一月物語」「高瀬川」「滴り落ちる時計たちの波紋」「顔のない裸体たち」と彼が発表してきた小説を読み続けてきた。 人間の内面の微かな揺れさえも、そのありかを見極め、言葉にしていこうとする彼の筆致に、今回もまた確かな手ごたえを感じつつ、上巻の半分ほど読みすすんでいる。
by mchouette
| 2008-08-26 00:00
| ■一冊の本
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